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財産評価

2017年9月25日 月曜日

相続税財産評価Q&A63 農地⑦

相続税財産評価 農地⑦
Q79
 父は、所有する農地を他人に賃貸して耕作を依頼しています。このような場合相続税の評価はどのようにするのでしょうか?また、市民農園として貸し付けられている場合には評価の仕方は異なるのでしょうか?
A79
 農地の賃貸借については、農地法により農業委員会の許可が必要になります。許可を得てなされた賃貸借については、相続税評価上耕作権等として農地等の評価額から控除されます。しかし、農業委員会の許可を得ないで他人に耕作してもらっているいわゆる闇小作も少なくないようです。闇小作については、相続税評価上考慮しないこととされています。

(1) 耕作権の目的となっている農地の価額は、次の算式のとおりです。
 農地としての自用地価額-耕作権の価額=耕作権の目的となっている農地の価額

(2)耕作権の価額
 ① 純農地及び中間農地
  農地としての自用地価額×耕作権割合*100分の50
 ② 市街地農地及び市街地周辺農地
  その農地が転用される場合に通常支払われる離作料の額等を斟酌して評価します。ただし、離作料等の額が不明な場合には、各国税局が定める耕作権割合によって差し支えないものとされており、実務上は自用農地の価額に定められた耕作権割合を乗じた価額によります。
 耕作権割合・・・東京国税局=100分の35、関信越国税局=100分の30

市民農園として貸し付けられている場合には、耕作権の目的となっている農地には該当しません。したがって、耕作権の価額を控除することはできません。しかし、市民農園として貸し付けている間、農地の所有者は自ら使用することができないため、一定の減価をすることができます。具体的には、賃借権の残存期間に応じてその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を控除します。

また、地方自治法の規定により条例で設置される市民農園であるなど一定要件を満たす場合には、残存期間が20年以下の法定地上権割合に相当する20%の斟酌をすることとして差し支えないとされています。

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2017年9月11日 月曜日

相続税財産評価Q&A62 農地⑥

相続税財産評価 農地⑥
Q78
 市街地農地を所有しています。宅地比準方式により評価すると面積も広いためかなり高額な評価となりますが、広大地の評価の適用はないのでしょうか?また、生産緑地の場合、生産緑地としての控除割合の適用と広大地の評価と重複して適用することはできますか?
A78
 市街地農地は、その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価格をベースに宅地造成費を控除して算出します。面積も広いため評価額の総額は大きくなりがちです。そして、面積が広ければ広大地の評価が適用される可能性が高いのです。市街地農地及び市街地周辺農地の評価にあたっては、常に広大地評価の適用を検討するべきです。

 財産評価通達40-2では下記のとおりです。
「市街地周辺農地及び市街地農地が宅地であるとした場合において、広大地に該当するときは、宅地比準方式の評価方法にかかわらず広大地の評価の定めに準じて評価する。
 *市街地周辺農地の場合には、広大地の評価の定めに準じて評価した価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
 ただし、広大地の評価の定めに準じて評価した価額が、宅地比準方式によって評価した価額を上回る場合には、宅地比準方式の定めによって評価することに留意する。」

 生産緑地には、行為制限があるため宅地開発が認められておらず、開発を前提とする広大地の適用は認められないのではという疑義があります。しかし、生産緑地は、市街地農地と同様に宅地比準方式による評価額を基礎としているため、宅地としての価格調整を行う必要があります。したがって、広大地に該当するのであれば、広大地の評価と生産緑地の評価減との重複適用が可能です。

生産緑地の評価減は、被相続人が主たる農業従事者であった場合、行為制限が解除され控除割合は5%にすぎません。常に広大地評価の適用の可能性を検討すべきですし、広大地の評価を適用した後に生産緑地の評価減は適用漏れが多いので注意が必要です
 

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2017年9月4日 月曜日

相続税財産評価Q&A61 農地⑤

相続税財産評価 農地⑤
Q77
 生産緑地の農業の主たる従事者が死亡すると生産緑地規制は解除されます。そのため、相続の場合は、自動的に課税時期において買取申出できる生産緑地に該当し、控除割合は5%になると考えられます。課税時期において買取申出できない生産緑地に該当するケースとはどのような場合でしょうか?

A77
1、生産緑地法
 (1)生産緑地
 生産緑地とは、生産緑地法により定められた生産緑地地区の区域内の土地又は森林をいい、市街化区域内にある農地等で、一定条件に該当する一団のものの区域について、都市計画によって「生産緑地地区」として定められた農地をいいます。生産緑地は、農地として維持管理が必要で農地以外として転用・転売は認められないなど制限があります。 
(2)生産緑地の買取りの申出制度
 生産緑地は、次のような場合には市町村長に対して買取の申出を行うことができます。
① 生産緑地の指定から30年を経過したとき
② 主たる農業の従事者が死亡した時
③ 主たる農業従事者に農業に従事することができない重大な事由が生じたとき
(3)行為制限の解除
  前述の買取申出日から3日月以内に市町村長の買取りがなされない等の場合には行為制限が解除されます。

2、生産緑地の相続税評価方法
生産緑地の価額は、次の算式によって評価します。
「その土地が生産緑地でないものとして評価した価額」×(1-下記控除割合)

① その土地が生産緑地でないものとして評価した価額は、Q60の市街地農地と同様に評価します。
控除割合
イ 課税時期において市町村長に対し買取申出できない生産緑地
 課税時期から買取の申出をすることができる日までの期間に応じて10%~35%の割合
ロ 課税時期において市町村長に対し買取の申出が行われていた生産緑地又は買取申出できる生産緑地
 100分の5

生産緑地が小作地の場合など、農地の所有者と主たる農業の従事者が異なる場合で農地の所有者が死亡した場合には、課税時期において市町村長に対し買取申出できない生産緑地に該当します。

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2017年8月28日 月曜日

相続税財産評価Q&A60 農地④

相続税財産評価Q&A60 農地④
Q76
 市街地農地及び市街地周辺農地の評価方法について教えてください。
A76
1、市街地農地
市街地農地の価額は、原則として次の宅地比準方式によって評価します。
(その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価格-1㎡当たりの宅地造成費)×地積=市街地農地の相続税評価額

(1) その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価格は次によります。
①  路線価が定められている地域
路線価を基に画地調整を行った金額
②  国税局長により倍率が定められている地域
近傍宅地*の1㎡当たりの固定資産税評価額×倍率
  *評価しようとする農地に最も近接し、かつ、用途、道路からの位置や形状等が最も類似する宅地をいいます。市街地農地の場合、路線価が付されていないいわゆる倍率地域に該当するケースは極めて少ないと思われます。

(2) 宅地造成費
  宅地造成費の金額は、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額が、概ね同一と認められる地域ごとにまた年分ごとに各国税局長が定めることになっており、国税局のホームページで公開されています。

 ただし、急傾斜地や蓮田の様に宅地造成費が大きく、宅地であるとした場合の1㎡当たりの価格を超えるときは、宅地比準で計算することは合理性に欠けるため、純農地の価格に比準して評価することができます。

2、市街地周辺農地
市街地周辺農地の価額は、市街地農地同様原則として宅地比準方式により評価します。
その農地が市街地農地であるものとした場合の評価額×80%=市街地周辺農地の相続税評価額

3、評価単位
(1)宅地比準方式により評価する農地の評価単位
市街地農地及び市街地周辺農地の評価単位は、宅地と同様に利用の単位となっている一団の農地ごとに評価します。
ただし、一団の農地のうちに市街地農地と生産緑地が存する場合には、それぞれを区分して評価単位とします。
(2) 耕作権等他人の権利が設定されている農地
 同一人に貸し付けられている部分ごとに、1利用単位として評価します。

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2017年8月21日 月曜日

相続税財産評価Q&A59 農地③

相続税財産評価 農地③
Q75
 純農地及び中間農地の相続税評価の仕方について教えてください。また、地目が山林で、現況が畑だった場合どのように評価すればいいのか具体的に説明してください。
A75
 純農地及び中間農地の相続税評価方法は、倍率方式によって評価します。具体的には下記のとおりです。
「その純農地又は中間農地の固定資産税評価額×倍率=相続税評価額」

純農地及び中間農地の評価単位は耕作の単位となっている1枚の農地ごとに評価します。耕作の単位とは、課税時期の現況により、田又は畑の別に、かつ、畔や畝等により区分された農作物の栽培単位をいいます。
したがって、1枚の農地は、必ずしも1筆の農地からなるとは限らず、2筆以上の農地からなる場合や逆に1筆の農地が2枚以上の農地として利用されている場合もあります。

評価面積は実際の面積によります。農地や山林は縄伸びが多いので注意が必要です。実際の地積と土地登記簿上の地積が異なる宅地を倍率方式で評価する場合には、次の算式によって実際の地積に対応する固定資産税評価額を求め、これに倍率を乗じて相続税評価額を計算することになります。
 その宅地の固定資産税評価額 × (実際の地積/土地課税台帳の地籍)
ただし、すべての土地について実測を要求しているのではなく、縄伸びの多い農地や山林について、航空写真による地積の測定、その地域における平均的な縄伸び割合の適用等の方法によって、実際地積を把握することも差し支えないものとされています。

質問の場合のように登記上の地目と現況が異なった場合には、課税時期の現況の地目により評価します。
倍率方式による評価の場合には、現況地目である畑の近傍地の固定資産税評価額を把握する必要があります。被相続人が、付近に畑を所有していればその価格を、なければ管轄市区町村の固定資産税課で確認することになります。
近傍畑の固定資産税評価額の単価に地積を乗じ、該当する地域の畑の倍率をかけて評価します。

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