財産評価
2017年3月28日 火曜日
相続税財産評価Q&A43 貸宅地②
貸宅地②
Q56
私は、自分が社長を務める同族会社に土地を賃貸し会社はその土地の上に建物を建てて事業を営んでいます。借地権設定時には権利金は収受していませんが、特に権利金の認定課税は受けていません。このような場合でも、貸宅地として借地権価額を控除して差し支えありませんか?
A56
相続による貸宅地または借地権の評価は、相続税法で定める評価方法によって評価されることになります。すなわち、貸宅地の評価は、通常の権利金の授受の慣行のある地域においては、自用地価額から借地権の価額を控除した金額で評価することとされています。
ただし、無償返還の届出を提出している場合や相当の地代をやり取りしている場合には自用地価額の80%が貸宅地の評価額となります。また、会社の株式の評価上、純資産価額の計算において借地権の価額を計上することになります。
借地権の評価については、権利金の授受の有無によって次のようになります。
① 通常の権利金及び通常の地代の授受がある場合
自用地価額×借地権割合
② 通常の権利金の授受がない場合
自用地価額×借地権割合×(1-Aの割合)
A=(実際地代年額-通常地代年額)÷(相当地代年額-実際地代年額)
借地権の設定に際し権利金を収受する慣行のある地域においては、権利金のやり取りがなければ原則として権利金の認定課税があります。権利金の認定課税を回避するために無償返還の届出を提出するか権利金の収受に代え相当の地代を支払うことも認められています。
相当の地代を支払う場合には、相当の地代の額を3年ごとに見直して地価が上昇すればそれに応じて地代も引き上げるのが原則です。このケースで相続が発生した場合には、借地権の価額は20%として控除します。3年ごとに見直す方法に代え当初設定した相当の地代を据え置く方法も認められています。このケースで相続が発生した場合には、上記②の地代の金額によって借地権の価額を計算することとなります。
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|2017年3月21日 火曜日
相続税財産評価Q&A42 貸宅地①
相続税財産評価 貸宅地①
Q54
借地権の目的となっている宅地の価額は、「自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額」とされていますが、借地権の及ぶ建物の範囲とはどこまででしょうか?
A54
相続税の財産評価上、借地権とは、借地借家法の規定による建物の所有を目的とするとする地上権または土地の賃借権をいうものとされています。ここでいう建物とは、一般的には土地に定着して建設された永続性のある建物で、屋蓋・周壁を有し、住居・営業・貯蔵等の用に供される独立した不動産をいうものとされています。
したがって、建物以外の構築物等に使用する目的の賃借権は借地権には該当しませんし、駐車場・資材置き場等に使用することを目的とする賃借権も同様です。
さらに、賃借したゴルフ練習場用地に事務所等の建物があったとしても、その建物の所有目的が従たる賃借目的であることから借地権はないものとして取り扱われます。
Q55
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約を締結してから10日後に相続が発生しました。相続開始時点では建物の建築は始まっておらず更地状態です。このような場合でも借地権の価額を控除できるのでしょうか?
A55
民法上、賃貸借とは当事者の一方が相手方に所有物を使用収益させることを約し、相手方がその賃料を支払うことを約することによって成立する契約をいいます。そして、この契約が成立することにより賃借人は目的物の使用収益権を有することになりますので、借地権は土地の賃貸借契約が締結された時点より発生するものと考えられます。
土地の賃貸借契約を締結する場合には、借主が建物を建築することを承諾し土地の使用目的等を契約書に定めているはずです。また、権利金等を支払う取引上の慣行のある地域においては、契約締結時に権利金の授受及び保証金等の差し入れがあるのが通常です。
このように賃貸借契約時に客観的な取引が行われた状況があれば、建物建築前の更地状態であっても貸宅地としての評価ができると思われます。
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|2017年3月13日 月曜日
相続税財産評価Q&A41 利用価値の著しく低下した土地
利用価値の著しく低下した土地
Q53
相続税財産評価通達には直接規定されていないものの、高低差があったり、騒音・臭気等があったり実務上取引価額が低下する場合があります。このような利用価値の著しく低下した宅地については、評価額の引き下げが認められるそうですが、具体的に教えてください。
A53
普通住宅地区にある宅地で、次に掲げるようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況から見て、著しく低下していると認められる場合には、その宅地の評価額から10%を控除することができます。
1、 道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
2、 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
3、 震動の甚だしい宅地
4、 騒音、日照阻害、臭気、忌み等によりその取引金額に影響を受けると認められるもの
また、宅地比準方式によって評価する農地又は山林について、その農地又は山林を宅地に転用する場合において、造成費用を投下してもなお宅地としての利用価値が著しく低下していると認められる部分を有するものについても同様の取り扱いが認められています。
その他に、著しく傾斜している土地、湿潤な宅地、その地域の標準的な宅地に比して著しく狭隘な宅地でその地域における宅地としての通常の用途に供することができないと認められるもの等が旧東京国税局通達に掲げられていました。
それ以外にも、財産評価通達に直接の定めはありませんが、①土壌汚染地や②埋蔵文化財包蔵地について実務上評価減が認められています。
① 土壌汚染地として評価することができるのは、課税時期において評価対象地の土壌汚染が判明している土地です。したがって、専門機関に依頼の上土壌汚染の有無を立証し除去・浄化費用を見積りしなければなりません。
② 埋蔵文化財包蔵地評価することができるのは、発掘調査費用が価格形成に重大な影響を及ぼす事情に該当する土地です。この場合も、業者に依頼して発掘調査の必要の有無及び調査費用を見積もりしなければなりません。
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