財産評価
2018年7月23日 月曜日
相続税財産評価Q&A88 非上場株②
相続税財産評価Q&A 非上場株②
Q88
取引相場のない株式の評価に当たり,大会社,中会社,小会社のいずれに該当するかの判定の基準の一つである総資産価額は,株主総会で承認を受けた貸借対照表上の総資産価額のことを指すのでしょうか。
また,下記の項目については,どう調整するのでしょうか。
①減価償却を実行していない場合
②圧縮記帳で圧縮引当金を計上している場合
③貸倒引当金を計上している場合
④土地購入時の付随費用を損金経理し,別表四で加算調整を行った場合
A88
相続税関係個別通達「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価証明書の様式及び記載方法等について」によりますと,会社規模の区分の判定を行う場合の「総資産価額」は,課税時期の直前期末における各資産の確定決算上の帳簿価額の合計額となります。
①減価償却を実行していない場合
減価償却を実行していない場合であっても,償却限度額相当額を総資産価額から控除する必要はありません。前述したとおり,総資産価額とは,確定決算上の帳簿価額をいうのですから,確定した決算で減価償却費の計上を行っていない場合には,当然,調整する必要はありません。
②圧縮記帳引当金又は圧縮記帳積立金を計上している場合
圧縮記帳引当金を損金経理により計上している場合には,その金額は,総資産価額から控除する必要はありません。このことは,前述した相続税関係個別通達の注書として記載されております。また,利益又は剰余金の処分により圧縮記帳積立金として積み立てた金額及び圧縮特別勘定として繰り入れた金額も,同様に,総資産価額から控除する必要はありません。
③貸倒引当金を借方に計上している場合
貸倒引当金を計上している場合には,その金額は,総資産価額から控除しません。上記②と同様に,個別通達の注書に記載されております。したがって,借方に計上している場合又は直接控除して注記している場合には,貸借対照表の資産の部の合計金額は,貸倒引当金勘定の金額が控除されていますので,注意が必要となります。
④土地購入時の付随費用を損金経理し,別表四で加算調整を行った場合
土地を購入した際の仲介手数料等の付随費用は,土地の取得価額を構成します。その金額を損金経理した場合には,その金額は,税務調整項目として,別表四にて加算処理を行う必要がありますが,会社規模の区分の判定を行う場合の「総資産価額」は,あくまで,課税時期の直前期末における各資産の確定決算上の帳簿価額の合計額をいいますので,総資産価額に加算する必要はありません。
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