財産評価
2016年6月28日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその10
Q15 路線価設定がされる路線とは、いわゆる公道だけが対象となるのでしょうか?具体的にはどのようなものか説明してください。
A15 路線価の設定される路線とは、不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいうものとされています。公道や私道の区別は関係なく、法律に規定する道路(道路法に規定する道路または建築基準法に規定する道路)には限られていません。
したがって、路線価の設定される路線には、法律上の道路に該当しなくとも次のような事情で不特定多数の者の通行の用に供されている道路が含まれることがあります。
(1)水路にふたを設置して暗渠とし通行可能な道(通称青線)
(2)農道で通行可能な道(通称赤線)
(3)私有地内で、不特定多数の者の通行を黙認していたため事実上の道路として存在するもの
Q16 路線価を評定するうえでの標準的な宅地とは、どのようなものでしょうか?
A16 財産評価通達において路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに設定されます。そして、次の四つの事項すべてに該当する標準的な宅地を想定して、その画地の、路線への接面状況、形状等を考慮して1平方メートル当たりの標準価額が評定されています。
(1)その路線のほぼ中央にあること
(2)その一連の宅地に共通している地勢にあること
(3)その路線だけに面していること
(4)その路線に面している宅地の標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形または正方形のものであること
これらの四つの事項は、その路線価に対してなんらの補正も必要としないための条件ということができます。
現実に土地を評価する場合には、このような標準的な画地は少なく大部分の土地については、その接面道路の状況や形状等を考慮して一定の補正が必要となってきます。
このように四つの事項については補正のいらない次のような条件を想定しているといえます。
(1)(3)については、角地や二法路線などの影響がない正面路線のみに接している画 地
(2)については、がけ地を有さない平坦な形勢の画地
(4)については、奥行が長すぎたり短すぎたりせず、間口が極端に狭いものや奥行に比して間口が狭いものを除いた画地
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|2016年6月21日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその9
Q14 登記簿上の地積(公募面積)と実際に測量をした場合の面積(実測面積)との差があるかどうかついては、どのように確認したらいいのでしょうか?
A14 土地の登記簿の表題部には所在・地番・地積・地目が記載されています。また、その土地1筆ごとの位置・形状・区画を明確にした地図として公図が法務局には備え付けられています。
登記は不動産取引の安全と権利関係の安定のためにあり、登記簿は権利の移動と権利の対象である不動産の実態を正確に表示しなければなりません。しかし、現在の登記簿表題部に記載されている地積と備え付けの公図は、明治の地租改正によって行われた測量の結果に基づいており、必ずしも正確なものではありません。当時の測量技術の未熟さもありますが、地租徴収の目的で行われた測量であり、課税される側の立場としてはできるだけ地租を少なくするために、実際の面積より狭くしようとしたためにいわゆる縄のび(公募面積より実測面積が広い場合)が発生したといわれています。
現在不動産取引を行う場合には、売主は土地家屋調査士に対象地について隣接地の所有者の境界承諾を取り付けた実測図を作成してもらい、この実測面積により売買価額を確定させるのが一般的です。買主はこの隣接所有者の境界承諾を取り付けた実測図の交付を受けることで、将来発生するかもしれない境界と越境問題に対する担保とし、物件の範囲を確保することになります。ただし、売買に際して実測図を作成した場合に登記面積と誤差があったとしても、縄縮み(実測面積が公募面積より狭い場合)の場合で支払う税額が大きい場合を除き地積更正をするのは稀です。
したがって、地積更正をした不動産と対象になる不動産について過去に売買が行われておりそのときに作成した正確な実測図と境界承諾書がある場合を除くと、実測面積と公募面積の差を確認することはできないということになります。
なお、取引当事者以外の人が、法務局で実測面積と公募面積とが一致していることを確認することができるのは、調査対象の土地が地積更正・分筆・合筆がされている場合で、申告の際に提示された地積測量図を閲覧することができます。
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|2016年6月17日 金曜日
相続税財産評価Q&Aその8
Q12 財産評価通達によれば、「宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。)を評価単位とする。」と規定されていますが、「利用の単位」とは、住んでいる人ごとに1単位となるのでしょうか?
A12 ここでいう、「利用の単位」とは、自用地、貸地、貸家の用に供しているといった区分によることとされています。したがって、必ずしも、住んでいる人ごとに、1単位とするものではありません。
① 所有する宅地を自ら使用している場合は、その全体を1画地として評価します。(自用地) なお、宅地の一部を居住の用、他の部分を自らが行う事業の用に供していても、全体を自用地として評価します。また、宅地の一部を自己が使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合も、全体を自用地として評価します。
② 宅地の一部に借地権を設定し、他の部分を自己が使用している場合は、それぞれを1画地として評価します。(自己が使用する部分は自用地、他の部分は貸宅地)。 なお、借地権の設定が複数のものに対して行われている場合は、それぞれについて、1画地として評価します。
③ 宅地の一部を貸家の敷地とし、他の部分を自己が使用している場合は、それぞれを1画地として評価します(自己が使用する部分は自用地、他の部分は貸家建付地)。 なお、貸家が数棟ある場合は、各棟の敷地ごとに1画地として評価します。
Q13 「1画地」と「一団の土地」の違いはなんですか?1画地の土地だが1団の土地ではない場合があるのでしょうか?
A13 土地の価額は、原則として宅地、田、畑、山林等の地目別に評価することとされています。 しかし、一体として利用されている土地が、複数の地目からなる場合は、その土地全体が、そのうち主たる地目からなるものとして、その全体を一つの評価単位として評価します。この場合のその土地全体のことを「一団の土地」といいます。 これは、地目ごとに区分して評価すると、その土地が一体として利用されていることによる効用が評価上表現されなくなってしまうことを回避するためなのです。
一方、「1画地」とは、あくまで宅地の評価に際しての評価単位であり、隣接する複数の筆からなる宅地で、利用状況が同じ場合は、その複数の筆を一つの評価単位とすることになりますが、これを「1画地」といいます。
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|2016年6月14日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその7
Q10 登記簿の地目は農地となっているのですが、現況が次のような場合の地目はどのように判断したらよろしいのでしょうか?
① 現状は工作もせず、放置している状態の土地
② 砂利を敷いて駐車場として利用している土地
A10 財産評価基本通達7では、「地目は課税時期の現況によって判定すると規定されています。
では、Qのような場合はどう判断するのでしょうか。
まず、農地とは、耕作の目的に供される土地をいい、耕作とは、その土地において作物を栽培することをいいます。
また、耕作の目的に供される土地とは、現に耕作に供されている土地はもちろん、現在は耕作されていなくても、客観的に見ていつでも耕作できるような、その現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地をも含むとされています(昭和27年12月29日付27農地第5129号「農地法の施行について」農林事務次官通達第2条関係一)。
したがって、①現状は耕作していなくても、いつでも耕作できるような客観的状態と認められれば、農地として判定します。
また、②の土地のように、駐車場として利用している土地については、原則として雑種地として判定することになります。
Q11 共同ビルの敷地に供されている宅地について、複数に分筆済みの1筆の所有者に相続が発生した場合どのように評価すればいいのでしょうか?
A11 共同ビルの敷地が、共有ではなく分筆され別々の所有者が所有している場合には、下記の方法によります。
① まず、共同ビルの敷地全体を1画地として評価します。
② 次に、分筆された宅地ごとにそれぞれ1画地として個別の評価額を算出します。
③ 最後に①の敷地全体の評価額を、個別の評価額の比で按分することによりそれぞれの筆ごとの評価額を算出します。
複数に分筆された共同ビルの敷地の評価は、面積比ではなく、評価額の比で按分してそれぞれの土地の評価額を算出します。
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|2016年6月7日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその6
Q8 地目の異なる土地が一体として利用されている場合どのように評価するのでしょうか?
A8 土地の評価は、原則として、宅地、田、畑などの9種類の地目別に評価します。この場合の地目は、登記簿上の地目ではなく、課税時期における現況によって判定します。
この地目別の評価という原則に固執しますと、2以上の地目からなる土地を一体利用している場合、一体利用する効用が評価額に反映されなくなります。そのため、2以上の地目を一体として利用している場合は、そのうち「主たる地目」からなるものとして、その一団の土地ごとに評価します。
Q9 A8で2以上の異なる地目の一団の土地を評価する場合、「主たる地目」とは、どのように判断するのでしょうか?
A9 財産評価基本通達7の(注)において、「地目の判定については、不動産登記事務取扱手続準則第117条及び118条に準じて行う。」と規定されています。
その中の第118条においては、「次に掲げる地目は、次の各号により定めるものとする。」と記されていますが、そのうちの一部を取り上げると次のとおりです。
・遊園地、運動場、ゴルフ場及び飛行場については、
イ、建物の利用を主とする建物敷地以外の部分が建物に付随する庭園に過ぎないと認められる場合には、その全部を一段として宅地とする。
ロ、一部に建物がある場合でも、建物敷地以外の土地の利用を主とし、建物はその付随的なものにすぎないと認められるときは、その全部を一団として雑種地とする。ただし、道路、溝渠その他により建物敷地として判然区分し得る状況にあるものは、これを区分して宅地としても差し支えない。
・テニスコート、プールについては、宅地に接続するものは宅地とし、その他は雑種地とする。
・牧畜のために使用する建物の敷地、牧草栽培地及び林地等で牧場内にあるものは、すべて牧場とする。
すなわち、「主たる地目」とは、その個々の物件の利用による効用によって判断されるものであるといえます。
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