財産評価
2016年8月1日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその15
相続税財産評価その15
Q22
正面の路線の他に側方の路線に接するいわゆる角地の評価については、どのような補正をするのかその理由も併せて説明してください。
A22
正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」といいます。)の価額は、次の①と②の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
① 正面路線(原則として奥行価格補正を行って求めた1㎡当たりの価額の高い方の路線をいいます。)の路線価に基づき計算した価額
② 側方路線(正面路線以外の路線をいう)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づき計算した価額に財産評価基本通達付表2の側方路線影響加算率表に求める加算率を乗じて計算した価額
角地についてこのような加算を行う理由は、角地は、正面と側面に異なる2系統の路線があるため、利用間口が大きくなって出入りの便がよくなるほか、採光、通風にも有利になるため、側方路線の影響を受け正面路線だけに接する画地よりも価額が高くなると考えられています。
また、角地であるが故の有利さのうち、通風採光に好都合という点は、宅地をどのように利用するにあたっても必ずプラスの要素となるが、ビル街区や高度商業地区では、出入りの便が良くなって、異なる系統の路線における人の流れを容易に吸収することができるが、閑静を必要とする住宅地では、必ずしも大きなプラスの要素となるものではないと考えられ、したがって、側方路線影響加算率もその宅地がどのような地区に存在しているかによって、異にすることとされています。
なお、準角地は、角地が異なる2系統の路線が交差する地点に位置するのとは異なり、1系統の路線の屈折部の内側に位置するものであり、通風採光の有利さも人の出入りの便利さも角地の場合に比べて低下すると考えられています。したがって、側方路線影響加算率は、角地の場合より低く定められています。
*純角地・・・交差点ではなく単に1系統の路線の屈折部に位置する角地
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|2016年7月25日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその14
Q20
正面に接する路線に2種類の異なる路線価が設定されている場合、どのように評価すればいいのでしょうか?
A20
一の路線に二以上の路線価が付されている場合には、それぞれの路線価に接する距離に応じて加重平均して正面路線価を求め、この正面路線価を基に奥行価格補正等の画地補正を行って評価することとしています。
*例 40万円のA路線に10メートル、45万円のB路線に15メートル接している場合は、次のように計算します。
(40万円×10m+45万円×15m)÷(10m+15m)=43万円となります。
Q21
普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区のように、2以上の地区にまたがった宅地の評価はどのように行えばいいのでしょうか?
A21
二以上の地区にまたがった路線に接する宅地の評価は、原則として面積等に応じていずれか一の地区を判定し、判定した地区の画地調整率によって評価することとされています。
具体的には、面積の広い地区に所在するものとし、その地区区分に応じた画地調整率を用います。また、正面路線価は二以上付されているのでA20のとおり接する距離に応じて加重平均して算出します。
ただし、それぞれの地区ごとに合理的に区分し、それぞれの地区の画地調整率を用いて評価しその合計額をもって算出することができる場合には、その方法によっても差し支えないこととされています。Qの場合は、普通商業・併用地区内の路線価に対し同地区の奥行価格低減率を乗じてその地区内の地積を乗じます。次に普通住宅地区でも同様に路線価に同地区の奥行価格逓減率を乗じて地区内の地積を乗じます。それぞれの評価額の合計がその宅地の評価額となります。
したがって、実務的には両方の方法で評価していずれか有利な方法を選択することとなります。
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|2016年7月19日 火曜日
相続税財産評価Q&A その13
Q19 宅地を路線価方式で評価する場合、個々の宅地の路線価に各種の補正を加えて評価していくそうですが、奥行価格補正についてどのようなものか説明してください。
また、実際に奥行距離を求める場合はどのようにして行うのでしょうか。
A19 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じた「奥行価格補正率表」に定める補正率を乗じて計算した1㎡当たりの価格にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
宅地の価額は、路線からの距離が長い部分(奥行きが深い部分)は低くなり、路線からの距離が短い部分(奥行きが浅い部分)は高くなります。また、路線からの距離が短い(奥行きが短い)部分だけしか有しない宅地の価額は標準的な宅地に比較して低くなります。このような宅地の価格形成要素を織り込んで路線価方式による宅地の評価を行う必要があるために、路線価の調整的役割を有しているのが奥行価格補正率です。
奥行価格補正率は、財産評価通達において付表の1に定められています。宅地の所在する地域の区分ごとに、0.80から1.00まで1%刻みで規定されています。普通住宅地域を例にとると、4メートル未満が最短で0.9となり、4メートル以上から2メートルごとに割合が上昇します。10メートル以上、24メートル未満が1.0で補正がありません。つまりこの長さが普通住宅地区における標準的な宅地の奥行というわけです。24メートル以上から4メートル刻みで0・99から補正が大きくなり100メートル以上で0.8まで補正されます。
なお、奥行きが100メートルを超える宅地については最大の補正率が固定されていますが、奥行が100メートルを超えるような特異な宅地については、奥行価格補正率による路線価方式による通常の評価は合理的でないとする判例があります。
奥行距離は、原則として正面路線に対して垂線的な奥行距離によります。ただし、奥行き距離が一様でない不整形地については、その不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積を間口距離で除して求めます。
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|2016年7月11日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその12
Q18 私道で路線価が付されていない道路にのみ接する宅地を評価する場合には、税務署でその道路について路線価(特定路線価)を設定してもらえるそうですが、その手続きにについて説明してください。
A18 路線価は、不特定多数の者の通行の用に供されている道路に設定しており、いわゆる行き止まりの私道については路線価が付されていません。そこで、そのような宅地を評価する必要があるときは、納税義務者からの申出等に基づいて、その宅地を所轄する税務署長が「特定路線価」を設定することができます。
この特定路線価は、設定しようとする道路に接続する路線及びその道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、その道路の状況、地区の区別等を考慮して評定することとされています。
具体的な手続きとしては、「特定路線価設定申出書」に設定を必要とする理由、特定路線価により評価する土地、その道路の所在地、状況等の明細、物件案内図、地形図などを記載して税務署長に申し出ることになっています。道路の状況とは、道路幅、舗装の状況、道路の連続性、上下水道との社会資本の整備状況、用途地域等をいい、これらの事情を斟酌することとなります。
この特定路線価は、路線価の設定されていない道路にのみ接している宅地を評価するための路線価であることから、路線価の設定されていない道路と路線価の設定されている道路とに接している宅地の評価に当たっては、その路線価の設定されていない道路に設定された特定路線価についての「側方路線影響加算」、「二方路線影響加算」または「三方または四方路線影響加算」の適用はありません。つまりこのような場合には「特定路線価」を一切考慮しないということです。
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|2016年7月5日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその11
Q17 路線価方式により評価する場合、宅地の所在する一定の地区ごとに区分が定められていますがどのようなものか説明してください。
A17 路線価方式により評価する地域(以下「路線価地域」という)については、宅地の利用状況がおおむね同一とされる一定の地域ごとに、国税局長が7つの地区(*④と⑤は同じ地区区分とされています。)を定めるものとされています。これは、宅地の所在する各地域の宅地の利用状況により宅地の価格形成に影響する度合いが異なるので、価格形成要因の異なる地区ごとに区分を行う必要があるためです。
① ビル街区・・・大都市(政令指定都市規模)内の容積率の高い地区にあって、高層の大型オフィスビル、店舗等が街区を形成し、かつ、敷地規模が大きい地区とされています。
② 高度商業地区・・・大都市の都心もしくは副都心または地方中核都市の都心等における商業地域内で容積率の高い地域にあって、中高層の百貨店、専門店等が連たんする高度小売商業地区または中高層の事務所等が連たんする高度業務地区とされています。
③ 繁華街地区・・・大都市または地方中核都市において各種小売店舗が連たんする著名な商業地または飲食店舗、レジャー施設等が多い歓楽街など、人通りが多い繁華性の高い中心的な商業地区をいい、高度商業地域と異なり比較的狭い幅員の街路に中低層の平均的に小さい規模の建物が連たんしている地区とされています。
④ 普通商業地区・・・商業地域もしくは近隣商業地域内にあって、または住居地域もしくは準工業地域の幹線道路沿いにあって、中低層の店舗、事務所等が連たんする商業地区とされています。
⑤ 併用住宅地区・・・この地区は、商業地区の周辺部(主として近隣商業地域内)または、または住居地域もしくは準工業地域の幹線道路沿いにあって、住宅が混在する小規模の店舗、事務所等の低層利用の建物が多い地区とされています。
⑥ 普通住宅地区・・・主として、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域または準工業地域内で主として住居用建物が連続している地区とされています。
⑦ 中小工場地区・・・主として、準工業地域、工業地域または工業専用地域内にあって、敷地規模が9,000㎡程度までの工場、倉庫、流通センター、研究開発施設等が集中している地区とされています。
⑧大工場地区・・・主として、準工業地域、工業地域または工業専用地域内にあって、敷地規模が9,000㎡を超える工場、倉庫、流通センター、研究開発施設等が集中している地区または単独で30,000㎡以上の敷地規模のある画地によって形成されている地区(ただし、用途地域が定められていない地区にあっても、工業団地、流通団地等においては、一画地の平均規模が9,000㎡以上の団地は代行所地区に該当する)とされています。
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