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財産評価

2017年4月10日 月曜日

相続税財産評価Q&A45 貸宅地④

相続税財産評価 貸宅地④

Q58
 私が相続した貸宅地は正面路線価50万円の一方道路に面しており、借地権割合は60%とされています。ところが、同じ路線の近隣では路線価が60万円で借地権割合が70%となっています。比較しますと、相続した土地は50万円×(1-60%)=20万円に対し、近隣では60万円×(1-70%)=18万円となり路線価は低いにもかかわらず貸宅地としては高い評価額になってしまいます。このような場合でも20万円として評価しなければなりませんか?
A58
 路線価方式による土地の評価は、路線価がベースとなり個々の土地の道路付けや形状等により価値が評価に織り込まれます。しかし、路線価が低いにもかかわらず、借地権割合が異なり貸宅地としての評価額は逆転する現象が生じることがあります。更地としての評価が低いにもかかわらず貸宅地としては評価が高くなるのは不合理であると考えられます。
 このような場合には、近隣の路線価60万円及び借地権割合70%を採用し貸宅地としての評価額は18万円として計算することが認められています。

Q59
 借地権の設定に際し権利金等を収受する慣行のない地域においては、借地権は相続財産として評価しないこととされています。では、このような地域において貸宅地を評価する場合、借地権を控除することはできないのでしょうか?
A59
 借地権の取引慣行がない地域においては借地権の価額は評価しませんが、貸宅地を評価する場合においては、借地権割合を20%として計算した借地権の価額を控除して評価することとされています。借地権の取引慣行がないばあいでも、土地所有者にとっては自己が所有する土地を自由に使用収益できないことを考慮してこのように取り扱われています。

Q60
 二方の路線に面した貸宅地で、それぞれの路線に付された借地権割合が異なります。この場合には、どの様にして評価するのでしょうか?
Q60
 貸宅地の評価に用いられる借地権割合は、正面路線に付された借地権割合によって評価します。

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2017年4月3日 月曜日

相続税財産評価Q&A44 貸宅地③

相続税財産評価 貸宅地③

Q57  
 建物、庭及び駐車場を一括して利用することを目的として土地を賃貸した場合において、借地権の及ぶ範囲とはどこまででしょうか?庭や駐車場も貸宅地として借地権を控除して問題ありませんか?
 また、1筆の宅地の上に複数の借地人が存する場合にはどのような単位で評価すればいいのでしょうか?

A57
相続税法上の借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または賃借権をいい、借地権の及ぶ建物とは、土地に定着して建設された永続性を有する建物で、社会通念上主たる賃貸目的とされるものをいいます。「建物の所有を目的とする」とは、土地を使用する主な目的が建物を所有するということを意味します。
借地の一部を建物に使用し、その他を駐車場等別の用途に使用している場合においても、建物所有が主であり、それ以外の用途が付属的であると判断される場合には、借地借家法の適用があります。逆に、建物所有が付属的であれば、借地借家法は適用されません。相続税法では、構築物の所有を目的とする土地の賃貸借は、賃借権として評価されます。

借地権の及ぶ範囲については必ずしも建物の直接的な敷地に限られるものではなく、民法、借地借家法、都市計画法あるいは建築基準法等土地を使用する場合に影響を及ぼすこととなる制限等の解釈基準やその契約内容によって判断することとなります。建物と駐車場設備とが、建物そのもの所有の目的を達成、維持するために一体となって機能していると客観的に認められる場合には、敷地全体に借地権が及ぶものと考えられます。

宅地の評価は一筆ごとではなく、利用単位となっている1区画の宅地ごとに評価することになっており、借地権のように宅地の上に存する権利についても同じとされています。相続税法上、借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数あるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地として評価するよう定められています。

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2017年3月28日 火曜日

相続税財産評価Q&A43 貸宅地②

貸宅地②

Q56
 私は、自分が社長を務める同族会社に土地を賃貸し会社はその土地の上に建物を建てて事業を営んでいます。借地権設定時には権利金は収受していませんが、特に権利金の認定課税は受けていません。このような場合でも、貸宅地として借地権価額を控除して差し支えありませんか?

A56
相続による貸宅地または借地権の評価は、相続税法で定める評価方法によって評価されることになります。すなわち、貸宅地の評価は、通常の権利金の授受の慣行のある地域においては、自用地価額から借地権の価額を控除した金額で評価することとされています。     
ただし、無償返還の届出を提出している場合や相当の地代をやり取りしている場合には自用地価額の80%が貸宅地の評価額となります。また、会社の株式の評価上、純資産価額の計算において借地権の価額を計上することになります。

借地権の評価については、権利金の授受の有無によって次のようになります。
① 通常の権利金及び通常の地代の授受がある場合
  自用地価額×借地権割合
通常の権利金の授受がない場合
  自用地価額×借地権割合×(1-Aの割合)

A=(実際地代年額-通常地代年額)÷(相当地代年額-実際地代年額)

借地権の設定に際し権利金を収受する慣行のある地域においては、権利金のやり取りがなければ原則として権利金の認定課税があります。権利金の認定課税を回避するために無償返還の届出を提出するか権利金の収受に代え相当の地代を支払うことも認められています。
相当の地代を支払う場合には、相当の地代の額を3年ごとに見直して地価が上昇すればそれに応じて地代も引き上げるのが原則です。このケースで相続が発生した場合には、借地権の価額は20%として控除します。3年ごとに見直す方法に代え当初設定した相当の地代を据え置く方法も認められています。このケースで相続が発生した場合には、上記②の地代の金額によって借地権の価額を計算することとなります。

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2017年3月21日 火曜日

相続税財産評価Q&A42 貸宅地①

相続税財産評価   貸宅地①

Q54
 借地権の目的となっている宅地の価額は、「自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額」とされていますが、借地権の及ぶ建物の範囲とはどこまででしょうか?
A54
相続税の財産評価上、借地権とは、借地借家法の規定による建物の所有を目的とするとする地上権または土地の賃借権をいうものとされています。ここでいう建物とは、一般的には土地に定着して建設された永続性のある建物で、屋蓋・周壁を有し、住居・営業・貯蔵等の用に供される独立した不動産をいうものとされています。
したがって、建物以外の構築物等に使用する目的の賃借権は借地権には該当しませんし、駐車場・資材置き場等に使用することを目的とする賃借権も同様です。
さらに、賃借したゴルフ練習場用地に事務所等の建物があったとしても、その建物の所有目的が従たる賃借目的であることから借地権はないものとして取り扱われます。

Q55
 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約を締結してから10日後に相続が発生しました。相続開始時点では建物の建築は始まっておらず更地状態です。このような場合でも借地権の価額を控除できるのでしょうか?

A55
民法上、賃貸借とは当事者の一方が相手方に所有物を使用収益させることを約し、相手方がその賃料を支払うことを約することによって成立する契約をいいます。そして、この契約が成立することにより賃借人は目的物の使用収益権を有することになりますので、借地権は土地の賃貸借契約が締結された時点より発生するものと考えられます。

土地の賃貸借契約を締結する場合には、借主が建物を建築することを承諾し土地の使用目的等を契約書に定めているはずです。また、権利金等を支払う取引上の慣行のある地域においては、契約締結時に権利金の授受及び保証金等の差し入れがあるのが通常です。

このように賃貸借契約時に客観的な取引が行われた状況があれば、建物建築前の更地状態であっても貸宅地としての評価ができると思われます。

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2017年3月13日 月曜日

相続税財産評価Q&A41 利用価値の著しく低下した土地

利用価値の著しく低下した土地
Q53
相続税財産評価通達には直接規定されていないものの、高低差があったり、騒音・臭気等があったり実務上取引価額が低下する場合があります。このような利用価値の著しく低下した宅地については、評価額の引き下げが認められるそうですが、具体的に教えてください。

A53
 普通住宅地区にある宅地で、次に掲げるようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況から見て、著しく低下していると認められる場合には、その宅地の評価額から10%を控除することができます。
1、 道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
2、 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
3、 震動の甚だしい宅地
4、 騒音、日照阻害、臭気、忌み等によりその取引金額に影響を受けると認められるもの

 また、宅地比準方式によって評価する農地又は山林について、その農地又は山林を宅地に転用する場合において、造成費用を投下してもなお宅地としての利用価値が著しく低下していると認められる部分を有するものについても同様の取り扱いが認められています。

その他に、著しく傾斜している土地、湿潤な宅地、その地域の標準的な宅地に比して著しく狭隘な宅地でその地域における宅地としての通常の用途に供することができないと認められるもの等が旧東京国税局通達に掲げられていました。

それ以外にも、財産評価通達に直接の定めはありませんが、①土壌汚染地や②埋蔵文化財包蔵地について実務上評価減が認められています。

① 土壌汚染地として評価することができるのは、課税時期において評価対象地の土壌汚染が判明している土地です。したがって、専門機関に依頼の上土壌汚染の有無を立証し除去・浄化費用を見積りしなければなりません。

② 埋蔵文化財包蔵地評価することができるのは、発掘調査費用が価格形成に重大な影響を及ぼす事情に該当する土地です。この場合も、業者に依頼して発掘調査の必要の有無及び調査費用を見積もりしなければなりません。

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