財産評価
2018年1月22日 月曜日
小規模宅地の「家なき子」特例厳格化
小規模宅地特例平成30年4月1日以降厳格化
記事提供:エヌピー通信社
2018年度税制改正大綱で、不動産を使った代表的な相続税対策である「小規模宅地特例」について、適用要件が厳格化されることになりました。同特例は、一定規模以下の宅地にかかる相続税評価額を引き下げる制度。被相続人が住んでいた土地なら330平方メートルまでの部分の課税価格が8割、貸付事業に使っていた土地なら200平方メートルまでの部分の価格が5割、それ以外の事業のための土地なら400平方メートルまでの価格が8割引となります。
制度の本来の趣旨は、住んでいた家を相続税負担によって出ていかざるを得なくなることにならないよう、宅地に大幅な評価減を認めることで残された家族の生活を守るものです。ただし親から宅地を相続する子が親と同居していなくても、持ち家がない時には、特例が適用されることになっています。
そこで、子がもともと持っていた自分の家を親族らに贈与した上で借り受け、形式上の「家なき子」となって特例措置を使う税逃れが横行していました。特例適用による税収減の概算は16年度で1350億円と、3年で実に倍近くまで伸びているのが実情です。
こうした経緯を踏まえ18年度大綱では、(1)相続開始前3年以内に、3親等以内の親族か関係のある法人が所有する家に住んでいたことのある人、(2)相続開始時に住んでいた家を、過去に所有していたことがある人――については、小規模宅地の特例を認めないとしました。見直しの内容は18年4月以降に相続や遺贈で取得した宅地に適用されます。大綱では、「本来の趣旨を逸脱した悪用を防止する」と強い口調で、見直しの理由を説明しています。
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|2018年1月15日 月曜日
相続税財産評価Q71 雑種地②
相続税財産評価 雑種地② 評価方法
Q87
市街化区域内にある雑種地を評価する場合の基本的な考え方を教えてください。
A87
(1)基本的な考え方
市街化区域は市街地を形成している地域又は優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域ですから、言い換えれば宅地化している地域又は宅地化を図るべき地域です。
評価対象地である雑種地の現況が、駐車場、テニスコート等のように宅地に類似する場合は、隣接又は付近の宅地の価額を基に評価対象地との位置、形状等の条件の格差を考慮して評価します(評基通82)。
(2)宅地比準方式
雑種地を宅地比準方式で評価する場合には、当該雑種地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額から当該雑種地を宅地に転用するとした場合において通常必要と認められる1 ㎡あたりの造成費に相当する金額として、国税局長の定める金額を控除した金額に、当該雑種地の地積を乗じて計算します。
この場合において、評価対象である雑種地と付近の宅地(比準宅地)との形状による条件の較差については、次の区分により、それぞれに掲げる方法により算定することが相当であると考えられます。
・路線価地域・・・評価する雑種地の地区区分について定められている画地調整率を参
考にして評価する方法
・倍率地域 ・・・路線価地域の普通住宅地区の画地調整率を参考にして計算する方法
なお、青空駐車場として利用されている土地は、登記簿上の地目がたとえ宅地であっても、その土地は財産評価基本通達上は雑種地に該当します。しかし、雑種地の価額はその地域の現況に応じて評価しますから、その現況が宅地と何ら変わるところがないような通常の青空駐車場の価額は、宅地と全く同じように評価することになります。
また、雑種地の現況が農地や山林、原野であると認められる場合には、市街地農地や市街地山林、市街地原野の評価方法に準じて評価することになります。つまり、雑種地の現況地目に応じて通常通り評価通達に則って評価計算を行うことになります。
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|2017年12月18日 月曜日
小規模宅地特例に照準
記事提供:エヌピー通信社
貸付用不動産にかかる相続税を最大5割減らせる「小規模宅地の特例」の適用条件が厳しくなりそうです。会計検査院は特例が本来の趣旨に沿わないかたちで利用されていることを指摘し、国に制度の見直しを求めました。
会計検査院が公表した資料には、小規模宅地の特例を利用して税負担を大幅に減らした相続人の事例が紹介されています。Aさんは不動産貸付業に使われていた約200平方メートルの土地の半分を相続。特例を利用して課税価格を半額の2579万9800円に減らし、その土地にかかる相続税額を大幅に圧縮。そしてAさんは、申告期限の1カ月半後に土地を6450万円で売却しました。
Aさんの一連の行為は現行制度の枠内で行われているものですが、会計検査院は「問題あり」という判断を下しています。Aさんの利用法は制度の本来の趣旨にそぐわないと見ているためです。
小規模宅地の特例の趣旨は、居住用または事業用の建物がある土地に重い税金をかけられてしまうと、納税資金を確保するためにその不動産の売却を迫られ、生活や事業のための場所から離れることを余儀なくされるおそれがあるため、税負担を軽減するというものです。検査院が特に問題視したのは、不動産貸付業に使われていた土地を相続して特例を利用した人が、その事業を短期で辞めてしまっている点です。宅地を手放さずに済むようにする目的の特例が、相続後すぐに売却した人に適用されていることを検査院は問題と見ているわけです。
検査院の指摘は国の施策に多大な影響を与えます。これまでどおりの制度内容だと趣旨にそぐわないケースでも使われていると国に判断され、来年以降の税制改正で新たな適用条件が付け加えられる可能性は十分あります。
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|2017年11月21日 火曜日
相続税財産評価Q&A70 雑種地①
相続税財産評価 雑種地①
Q86
相続税財産評価における雑種地とは、どのような土地でしょうか?
A86
1、雑種地の定義
相続税評価において雑種地とは、①宅地、②田、③畑、④山林、⑤原野、⑥牧場、⑦池沼、⑧鉱泉地以外の土地をいうこととされています。
その実態は多種多様であり、具体例として、駐車場、資材置場、ゴルフ場、遊園地、運動場、競馬場、野球場、テニスコート、ドッグラン敷地、鉄軌道用地、変電所敷地、不毛地、砂地、土取場跡等がありこのように多種多様な雑種地ですが、財産評価基本通達上は、次の区分の評価方法を定めています。
①ゴルフ場(評基通83)
②遊園地等(評基通83-2)
③文化財建造物である構築物の敷地(評基通83-3)
④鉄軌道用地(評基通84)
⑤①~④以外の雑種地(評基通82)
2、評価単位
土地の評価は原則として地目ごとに行いますが、雑種地の場合はやや注意が必要です。雑種地の場合は、「利用状況ごと」に評価単位を分けるのが原則です。例えば、資材置き場と駐車場のように雑種地どうしが隣あっていても、利用状況が異なるため評価単位は別々になります。ただし、市街化区域と非線引き都市計画区域にある場合は、利用状況が異なってもまとめて評価した方が合理的である場合はまとめて評価します。市街化調整区域にある場合は、原則通り利用状況ごとに評価単位を分けます
雑種地は、利用の単位となっている「一団の雑種地」ごとに評価します。一団の雑種地とは、同一の目的に供されている雑種地をいい、必ずしも1筆ごとではなく1筆の雑種地が2つ以上の目的に利用されている場合や、2筆以上からなる一団の雑種地も考えられます。未利用地状の雑種地はその全体が一団の雑種地となります。
また一団の雑種地は物理的に一体として利用されているか否かで判定しますので、道路や水路等で分断されている場合には、分断されているごとに別評価単位として扱います
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|2017年11月14日 火曜日
相続税財産評価Q&A69 山林⑥(特別緑地保全地区)
相続税財産評価 山林⑥(特別緑地保全地区)
Q85
特別緑地保全地区に指定された山林の相続税評価はどのようになりますか?
A85
1、特別緑地保全地区内にある山林(農地)の評価
「特別緑地保全地区」とは、都市緑地法第12 条の規定により都市計画区域内において、樹林地、草地、水辺地などの土地が、単独若しくは一体となって、又はこれらに隣接している土地と一体となって、良好な自然環境を形成している「緑地」で、無秩序な市街化の防止や、公害又は災害の防止となるもの、伝統的・文化的意義を有するもの、風致景観が優れているもの、動植物の生育地等となるもののいずれかに該当するものが、指定の対象となります。
この「特別緑地保全地区」内にある山林は、現状凍結的な利用制限により他用途への転用が制限されていますので、地区内における立木の伐採制限は、森林法上の伐採制限である禁伐に近いものと考えられます。このため、財産評価基本通達50-2 は、「特別緑地保全地区」内にある山林は、法による制限がない場合の山林の価額から、その価額に100 分の80 を乗じて計算した金額を控除して評価することとしています。ただし、林業を営むために立木の伐採が認められる山林で、かつ、純山林に該当するものは除かれます。
なお、特別緑地保全地区には農地が含まれる場合があります。この場合の農地の評価額ですが、下記のとおりです。
市街地農地・・・市街地農地価額×(1-0.8)
市街地周辺農地・・・市街地農地価額×(1-0.8)*市街地周辺農地の80%斟酌無し
中間農地及び純農地・・・農地価額*特別緑地保全地域による斟酌無し
2、その他の法規制による伐採制限がある山林(林地)の評価
森林法による保安林や自然公園法、都市緑地法のほかにも、自然環境保全法、絶滅危惧野生動植物の保存に関する法律、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律などによる伐採制限があります。
このような山林についても、法による制限がない場合の山林の価額から、その価額に一定の控除割合を乗じて計算した価額を控除した価額によって評価します。
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