財産評価
2016年10月25日 火曜日
相続税財産評価Q&A25
相続税財産評価Q&A25
Q35
建築基準法上の道路との間に水路が介在する場合、その宅地はどのように評価すればいいのか教えてください。
A35
宅地と道路との間に水路が介在する場合、市区町村役場の河川課等に確認のうえ、通行路橋設置のための占有許可等を得たうえで、建築基準法第43条ただし書きにより接道義務を充足し、建物建築が認められる場合もあります。
現況において、すでに通行路橋等が設置されており接道義務を充足しているのであれば宅地と通行路橋一体地として、逆に現況通行路橋等は設置されていないが通行路橋設置のための占用許可が得られるのであれば、「無道路地」としての評価をすることになります。
評価対象地、水路および道路の位置関係によって通行路橋設置及び接道義務の扱いは異なりますが、次のような形態が想定されます。
(1) 水路上に占用許可等を得て通行路橋が設置されている場合
宅地と通行路橋一体の旗竿地状の「不整形地」として評価します。なお、宅地の地積に橋部分は含みません。
(2) 宅地と道路との間に水路が介在するが、通行路橋が設置されていない場合
通行路橋設置のための占有許可等が得られるのであれば「無道路地」として評価します。
(3) 宅地内に水路が介在し、利用を分断している場合
別個の宅地として扱い、通常の評価または無道路地等として評価します。
(4) 宅地の正面に接続する道路とは別に側面または背後に水路が介在する場合
宅地の接する道路を正面路線とし接道義務を満たす宅地として通常に評価します。この場合、占有許可等を得られた通行路橋がなければ側方路線影響加算や二方路線影響加算の適用は不要と考えられます。
(5) 占用許可等が得られない場合や水路幅が大きく通行路橋の設置が現実的でない場合
評価対象地と他の道路との位置関係等を考慮し、当該他の道路を正面路線とし、無道路地等として評価することが妥当と考えられます。
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|2016年10月17日 月曜日
相続税財産評価Q&A24
相続税財産評価Q&A24
Q34
無道路地としての評価対象地と利用している路線との間の土地の所有者が第三者であるか親族等であるかによって、無道路地として評価することに問題が生じますでしょうか?
A34
宅地の評価に当たっては、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)を評価単位として、評価することとなっています。したがって質問のように評価対象地が路線に接していない宅地に該当するのであれば、原則として、無道路地としての評価をすることになります。
しかし、財産評価基本通達7‐2(1)注書に、「贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を1画地とする。」と規定されています。
この規定の「著しく不合理であると認められる分割」の具体例として、無道路地、帯状地、著しく狭隘な土地等が考えられます。例えば、道路に接する部分を奥行短小の帯状地として、道路に接しない部分とに分割した場合は、それぞれ奥行短小による補正(奥行価格補正率)と無道路地による補正をねらったものです。このような分割をする合理的な理由は、補正による評価減以外には考えられませんから分割前の一体の土地として評価します。
したがって、質問の場合も贈与または遺産分割に際し土地を分泌することにより無道路地の状況が生じたとすれば、著しく不合理であると認められ無道路地の評価はできないものと考えられます。
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|2016年10月11日 火曜日
相続税財産評価Q&A23
相続税財産評価Q&A23
Q33
無道路地の評価額は、不整形地としての評価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価することとされています。
そこで、評価減できる「100分の40以内の相当と認める金額」の判断基準は、具体的にどのようになっていますか?
A33
不整形地としての評価額から減額できる「100分の40以内の相当と認める金額」は建築基準法等の法令において、無道路地についての接道義務の要件に基づいて、最小限の通路を設けるとした場合のその通路に相当する部分の評価額とされています。つまり、接道義務を満たすために、建築基準法上の道路に達するまでの最小限の通路を開設するものと仮定し、その通路の相続税評価額を買収費用として控除するものです。通路に相当する部分の金額は、実際に利用している路線の路線価を基に計算しますが、その際、奥行価格補正等を行う必要はありません。
この通路は、原則、接道義務を充足するものとして間口2mとなりますが、安全性等の観点から自治体によっては条例で、路地状敷地について条件を付加している場合があります。自治体によって内容が異なるため評価対象地の存する自治体への確認が必要になります。
*参考
「東京都建築安全条例」
建築物の敷地が路地上部分のみによって道路に接する場合には、その敷地の路地上部分の幅員は、路地上部分の長さに応じて、次の表に掲げる幅員以上としなければならない。
路地上部分の長さが20m以下・・・2m
20m超・・・3m
「横浜市建築基準条例」
建築物の敷地が路地上部分のみによって道路に接する場合には、その敷地の路地上部分の幅員は、路地上部分の長さに応じて、次の表に掲げる数値としなければならない。
路地上部分の長さが15m以下・・・2m
15m超25m以下・・・3m
25m超・・・4m
この取り扱いは、通常の路線価で道路用地を取得できることを前提にしていますが、隣地倍地と言われる場合もありますので問題が残ると考えられます。
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|2016年10月3日 月曜日
相続税財産評価Q&A22
相続税財産評価Q&A22
Q32
無道路地に該当する場合、相当な減額ができるそうですが、無道路地とはどのようなものか説明してください。
A32
無道路地とは、建築基準法上の道路に直接面していない宅地をいいます。さらに、相続税財産評価通達では、建築基準法上の道路に接している場合でも、接道1mなどいわゆる接道義務を満たしていない宅地も無道路地として評価します。
公図上道路に接していない土地について、具体的には次のようなケースが想定されます。
(1) 建築基準法上の道路までのほかの土地も被相続人等が所有している場合
→ 無道路地として評価しません。接道義務を満たしているものとして不整形地の評価を行います。
(2) 他人の土地に駐車場など賃借権を設定し対象土地と一体で使用している場合
→ 無道路地として評価しません。一体で使用している土地を一団の宅地として評価したうえでそれぞれ宅地と権利とで評価します。
(3) 他人の土地の通行地役権や賃借権などを設定し、通行の用に供している場合
→ 無道路地として評価しません。不整形地として一体で評価したうえでそれぞれ宅地と権利とで評価します。
(4) 準公道または共用的通路には接面するが、その通路が建築基準法上の道路に該当しない場合
→ 無道路地として評価します。ただし、その通路が建築基準法上の道路に該当しないにもかかわらず、路線価が付されている場合があります。この場合には、無道路地として評価はできませんが、接道義務を満たさず建築はできないため路線価にその減価要因が加味されているかどうか確認する必要があります。
(5) 建築基準法上の道路に接しているものの、接道長が足りず接道義務を満たしていない場合
→ 無道路地として評価します。接道義務を充足するだけの道路開設費用を控除します。
(6) 事実上他人の土地を出入りの便に供しているが、通行地役権、賃借権、囲繞地通行権等の法的権利を有しない場合
→ 無道路地として評価します。
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|2016年9月26日 月曜日
相続税財産評価Q&A21
相続税財産評価Q&A21
Q31
間口に比して奥行が長大な宅地はどのような評価を行うのでしょうか?また、不整形地の評価との関係についても合わせて説明してください。
A31
間口に比して奥行が長大な宅地(不整形地及び無道路地を除く。)については、奥行距離に応ずる減価のほか、付表6の「間口狭小補正率表」または付表7の「奥行長大補正率表」に定める補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価することとされています。
奥行長大補正率については、「路線価は、間口と奥行との関係が均衡のとれた画地における価格として付けられているものであり、奥行価格補正率も間口と奥行とが均衡のとれた画地を前提として定められている。奥行が長大で、奥行と間口との均衡が取れていない画地は、宅地としての利用効率が低下する。このため、奥行と間口との均衡が取れていない画地を評価する場合には、奥行価格補正率を乗じた後の価額に、さらに奥行長大補正率を乗じて評価することにしている。すなわち、奥行長大補正率は、間口に対する奥行の割合が大きくなるにつれて(奥行きが長大になるにつれて)、価格の低下する割合を計数化したものにほかならない。」とされています。
不整形地が、間口狭小又は奥行長大でもある場合には、不整形地補正による減額を行い、間口狭小又は奥行長大による減額は重ねて適用できません。これは、不整形地補正には間口狭小や奥行長大であることによる評価減も織り込んで行われるからです。無道路地の場合も同様です。相続税財産評価通達上、間口狭小又は奥行長大補正を行う宅地の定義で不整形地及び無道路地が除かれるのはこのためです。
実務上このような土地の不整形による減額は、不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じた割合①と、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じた割合②と両方を計算したうえでいずれか少ない割合(0.6を限度)を不整形地の減額割合として選択することになります。
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