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財産評価

2017年6月26日 月曜日

相続税財産評価Q&A54 借地権②

相続税財産評価 借地権②

Q69
 財産評価通達27のただし書きによれば、借地権は、その「取引慣行があると認められる地域」以外では評価しなくてよいのですか?また、「取引慣行があると認められる地域」以外の地域とは具体的にどのような地域なのでしょうか?
A69
 借地権は、それ自体が取引の対象とされ、また、借地契約に際し一定の権利金の授受が慣行化していることからその経済的価値に着目して財産として課税対象とされています。そのため借地権の「取引慣行があると認められる地域」以外の地域では評価しないこととされています。また、そのような地域でも貸宅地を評価する場合においては、借地権割合を20%として計算した借地権の価額を控除して評価することとされています(Q59参照)。

 相続税財産評価上の借地権の取引慣行があると認められる地域とは、国税庁が定める路線価図にAからGの借地権割合が付されている地域および倍率表に借地権割合が記載されている地域であり、路線価図にAからGの記号がない地域および倍率表に借地権割合の記載がない地域が「取引慣行があると認められる地域」以外の地域とされています。

 具体的には、借地法借家法の適用のある借地権という権利があっても、借地権価格が成立していない地域で、借地権の設定にあたって権利金等の授受所慣行がない地域、借地権付き建物の売買にあたって、その価格は建物価格のみの価格で、借地権が取引の対象に含まれない地域、建物が不要になった場合に取り壊して地主に無償で返還することが当然とされている地域等が取引慣行がない地域に該当します。

 無償で借りたものは無償で返還する。また、不要になったものは返却するのが当たり前である、と考えている土地柄で、現在でも多くの地域で見ることができます。財産評価通達のただし書きは、このような地域性を示したもので、経済的に借り得があっても地域性として借地権の取引慣行がない場合を認めているものと考えます。

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2017年6月19日 月曜日

相続税財産評価Q&A53 借地権①

相続税財産評価 借地権①
Q68
相続税の財産評価では借地権はどのように定義づけられていますか?また、借地権の評価は、必ず国税庁が定める借地権割合により評価しなければならないのでしょうか?

A68
借地権とは、借地借家法により、「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいう」と定義されています。したがって、建物所有を目的としない駐車場等は含まれません。その範囲は財産評価通達9に示され、定期借地権等は一般の借地権とは別の評価方法によることとされています。そして、地上権や賃借権ではない使用貸借契約に基づくものも借地権としては取り扱いません。
また、不動産鑑定評価基準では、「借地権の価格は、借地法に基づき土地を使用収益することにより借地人に帰属する経済的利益を貨幣額で表示したものである。」と定義されています。

財産評価基本通達は、借地権価格については、自用地の価格に借地権割合を乗じて評価しますが、これは自用地の価格に対して一定の割合で借地権の売買価格が決定されているとの認識の基にその割合を示したもので、地代の低さによる借り得部分も考慮したものと考えられています。
おおむね、借地権について売買が成立している地域(取引慣行がある地域)については地代が地価に対して低廉であり、今後も低廉な状態が継続するであろうと予測されることから、借り得は、価格割合以上発生していると思われますが、例外的に極めて高額な地代を収受している場合もあり、その場合不動産鑑定評価において借地権価格は割合価格より低くなる可能性もあります。しかしながら、基本通達は「割合を乗じて計算した金額によって評価する」としています。

なお、最近の不動産市場においては、地主との関係のわずらわしさ等から借地権の取引に際して売買当事者が合意する借地権割合(借地権の売買においては更地価格でまず合意し、次に借地権割合により価格を決定する場合が多い。)は国税庁が定めている借地権割合を下回る確率が高いと考えられています。

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2017年6月12日 月曜日

相続税財産評価Q&A52 使用貸借

相続税財産評価 使用貸借
Q67
 この度、父親が所有する土地の上に自宅を建築することになりました。土地を借りるにあたって権利金や地代のやり取りはせず、無償で使用することとします。このような場合、借地権の贈与として贈与税は課税されるのでしょうか?

A67
親族間の土地や建物の貸借については、地代のやり取りはせず無償で使用収益する場合が多くあります。いわゆる使用貸借の場合、使用に伴う権利(使用借権)は、借地法借家法で保護されず極めて弱い権利なので税務上はゼロとして評価されます。したがって、質問の場合、贈与税の課税はありません。また、使用貸借により土地を貸付けている場合の土地の評価は借地権価額を控除しないいわゆる自用地としての評価額とされます。

民法において、「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用および収益をした後に返還することを約して相手方からあるものを受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定しています。また、「当事者が返還の時期並びに使用および収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる」と規定しており、使用貸借契約は、代表的な方務契約であるとされています。
なお、借主が目的物に係る通常の費用負担をした場合においても無償の範囲に含まれます。例えば、目的物が土地である場合その土地の固定資産税を借主が負担した場合が該当します。

使用貸借により借り受けた土地の上に建物を建築し、その建物が貸し付けられている場合、その建物賃借人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権から独立したものではなく、建物所有者の敷地利用権の範囲内に従属したものと解されるため、自用地として評価した価額になります。

一方、親が土地又は借地権を所有し、その上に親がアパートを建て、そのアパートを子に贈与して子は土地を使用貸借により借りていた。その後、親の死亡により子が土地又は借地権を相続したという場合には、この土地の評価は、貸家建付地評価となります。
これは、以前から居住している建物賃借人の敷地利用権の権能には変化がないと解されるからです。

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2017年5月29日 月曜日

相続税財産評価Q&A51 貸家建付地③

相続税財産評価Q&A 貸家建付地③

Q66
2階建ての建物について、2階部分をアパートとして賃貸し、1階は自己の居住用としています。この場合に敷地の相続税評価の計算上貸家建付地部分について「賃貸割合」を算出するうえで、供用部分はどのように計算すればいいでしょうか

A66
 貸家建付地の相続税評価額について、賃貸割合を計算するときは、「その家屋の各独立部分の床面積の合計」に対する「賃貸されている各独立部分の床面積の合計」の割合で算出します。「各独立部分」とは、「構造上区分された数個の部分の各部分」をいいます。つまり、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど、独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。
 なお、外部に接する出入口を有しない部分であっても、供用で使用すべき廊下、会談、エレベーター等の共用部分のみを通って外部と出入りすることができる構造となっているものは、上記の「独立した出入口を有するもの」に該当します。

 通常は、上記「各独立部分」の合計額で案分しますから、供用部分は、分子、分母ともその計算から除かれます。しかし、質問の場合は、2階がすべて貸付用、1階はすべて自用となっているケースですが、例えば、当初から1階は自用、2階のみをアパート用として使用することを予定し、その構造で建築した建物の場合、アパートは一般的に供用部分が広いこともあり、2階の住人のみ使う供用部分が、1階の住民のみ使う供用部分よりはるかに大きくなります。
 財産評価通達の賃貸割合の算式ではそのことが考慮されていません。そのために賃貸割合が異常に低くなり、不合理な結果となります。このような場合は、通常の計算に代えて、1階及び2階の住民のみ使用する供用部分を、分母分子の独立部分に加えて賃貸割合を計算する方法が認められる余地があると考えられます。

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2017年5月22日 月曜日

相続税財産評価Q&A50 貸家建付地②

相続税財産評価 貸家建付地②
Q64
 私が所有するアパート2棟(各々8室)のうち、A棟については、2室が空室で入居者を募集中です。また、もう1棟のB棟についても新築後2か月でまだ半分しか埋まっていません。
 この場合には、貸家建付地として評価するとき空室分は除いて評価しなければなりませんか?

A64
 貸家建付地の評価においては、賃貸割合を乗じて計算をすることとされています。これは建物の一部を貸家とそれ以外に区分して使用することがあるからです。たとえば1階を貸家に2階を自用に使用するような場合です。
 賃貸割合は、「その家屋の各独立部分の床面積の合計に対する賃貸されている各独立部分の床面積の合計の割合」で算出します。この場合の賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、一時的に賃貸されなかったと認められるものを含むこととして差し支えありません。
ただし、この適用のためには課税庁では以下の条件が必要と考えられています。
課税時期前に継続的に賃貸していたこと。
賃借人が退去したのち、速やかに次の賃借人の募集をするとともに空室になっている間他の用途に使用しないこと。
空室の期間が短期間であること

 問題となるのは、空室部分が継続的に賃貸されていたとみられるかどうかということと、空室の期間が一時的かどうかということです。A棟については、空室の期間が問題となります。一時的な空室であればともかく、長期にわたって空室になっているのであれば継続的に賃貸しているとはいえず、2室分は賃貸されている床面積に入れることはできない可能性があります。

 また、B棟の2室については、新築から2か月程度空室ということですが、空室の期間は長期間とは言えませんが、貸室としての実績はいまだなく、上記1に該当しないので継続的に賃貸されていた部分とはみられません。そのため、空室部分は「賃貸されている床面積」に入れることはできないと考えられます。

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