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2016年9月2日 金曜日

民法親族編その9・・・協議離婚①

民法親族編その9

1、協議離婚
協議離婚とは、夫婦の間で離婚しようという意思の合致があった場合に成立する離婚です。男女がお互いの意思の合致によって婚姻することができるのと同様に、婚姻を解消させようというお互いの意思が合致すれば、婚姻関係を解消することができます。

2、離婚の届け出
 協議離婚は、戸籍法の定めに従って役所に届け出ることで効力を生じます。離婚する夫婦の間に未成年の子がいる場合は、夫婦のいずれか一方を親権者と定めて離婚届け出書に記載します。

 協議離婚の届け出は、その提出に本人が出頭する必要はなく郵送でも構いません。また届出書も本人が自書する必要はありません。そのため、夫婦の一方には離婚の意思がない場合でも、他方が離婚届出書を偽造して届け出ることがありえます。このような可能性のある場合は、戸籍実務で行われている協議離婚不受理申し出によって、離婚届の受理を防ぐことができます。不受理申し出がある場合は、役所で離婚の届け出の受理を拒絶することが可能となります。

3、離婚の無効
 協議離婚が無効になるケースとは、離婚届出の時点で当事者に離婚する意思がない場合です。当事者の一方、あるいは双方が知らない間に無断で離婚の届け出が提出されたり、離婚の合意はしても、届け出前に意志が変わったときなどがこのケースに当たります。

 民法では「無効な行為は追認しても遡及効はなく新たに行ったこととする」としています。しかし、この無効な離婚については、追認することができるとしています。
 判例によると、無効な離婚を届け出た後、離婚という現実があり、しかも離婚の事実が継続し、当事者も離婚の届け出を有効とする意思を持っている場合には遡及効を認めています。つまり、このケースでは、離婚届け出の時点に遡って離婚が認められるわけです。

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2016年8月29日 月曜日

相続税財産評価Q&Aその18

Q27
 正面の路線と裏面の路線とに挟まれた宅地の評価はどのようにおこなうのでしょうか、その理由も併せて説明してください。

A27
 正面と裏面に路線がある宅地の価額は、角地と同様に正面と裏面の2系統の路線に接しているため、間口が広く出入りの便が良くなり採光・通風にも有利です。ただし、角地と異なり2系統の路線が交差していないため便利さはわずかに劣ると考えられています。
 そこで、相続税財産評価通達の付表3に二方路線影響加算率が定められ、裏面の路線価に乗じて評価することとなります。

 具体的には次の(1)と(2)の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した金額が評価額となります。

(1) 正面路線の路線価×奥行価格補正率
(2) 裏面路線の路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率

Q28
 三方を路線に囲まれた三角形の土地の場合、どの路線が側方路線および二方路線となりますか?

A28
 三方を路線に囲まれた三角地の場合には、正面路線に対していずれも側方に路線があり裏面がないため二方路線は存在しません。なお、正面路線とは、3路線について財産評価基本通達15(奥行価格補正)を適用した金額のうち、最も高い路線をいいます。
 
 三角地の場合次のように評価します。
(1) 正面路線の路線価×奥行価格補正率
(2) 側方路線の路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率
(3) もう一方の側方路線の路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率
(4) {(1)+(2)+(3)}×その宅地の地積

また、三角形の宅地の場合には、不整形地に該当するため(4)の合計額に、財産評価通達20(不整形地の評価)の規定を適用した不整形地補正率(後述)を乗じて評価します。

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2016年8月26日 金曜日

民法親族編その8 婚姻⑥ 

民法親族編その8

1、 婚姻費用の分担
婚姻費用とは、未成熟の子を含む夫婦共同体の維持に必要な費用のことで、衣食住などの日常の生活の費用、子供の養育に関する費用、交際費、娯楽費、医療費などがあります。これらの費用の分担は、通常は夫婦間の合意によって決定されますが、別居や離婚のときなどの時に問題となります。相手方が履行しない時など夫婦間で決められないときは、家庭裁判所に申し立ててその審判によって決定することもできます。

*夫婦が別居する場合において、婚姻関係が事実上破たんしていても婚姻が解消されない限り婚姻費用は分担しなければなりません。このような場合でも、夫婦の協力扶助義務はなくならないためです。
 ただし、別居の原因について責任のある有責配偶者から請求があった場合には、裁判所の判断は分かれているようです。

2、 日常家事債務
 夫婦と未成熟の子の共同生活で、日常的に必要な事柄を日常家事と呼びます。第三者に対して、この日常家事に関する債務を負った場合は、夫婦は連帯して責任を取らなければなりません。この規定は、夫婦別産制の例外とも言える考え方です。夫婦の一方と取引した第三者の保護と、家事処理の便宜を調整した決まりと言えます。

 この日常家事とは、生活必需品の購入、家屋の賃貸借契約の締結などのほか、生活必需品の購入のための借金契約なども含まれます。
 また、夫婦が連帯して責任を負うということですが、これは夫婦の一方が締結した契約については、他の一方も連帯債務者としての責任を負うという意味になります。例えば、日常的な食料品代のため、食料品店に代金債務を負った場合は、購入したのが妻であってもその支払い責任は夫にもあるということです。

 ただし、日常家事の範囲外の行為については、配偶者は責任を負いません。日常家事の範囲かどうかは難しい問題になりますが、例えば妻が高価な宝石を購入した場合などでは、原則として夫は支払い義務を負いません。

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2016年8月22日 月曜日

相続税財産評価Q&Aその17

Q25
 宅地の一部だけが側方路線に接している場合は、側方路線影響加算はどのように影響しますか?

A25
 宅地の一部だけが側方路線に接している場合、側方路線の影響を受けているのは路線に接している部分だけと考えられます。したがって、宅地のうち側方の長さ(側方路線を正面路線とした場合の想定整形地の間口距離)のうち側方路線に接している距離で案分して評価します。

 例えば、側方路線に接している部分の距離が10mで接していない部分の距離が15mとすると次の通りです。
側方路線の路線価×側方路線影響加算率×10m÷(10m+15m)
=側方路線影響加算

Q26
 私の所有する宅地は路線と路線が交差する二方の路線に接していますが、路線が交差するいわゆる交差点に接する近辺は他人の土地でありその部分が凹んだ形状をしています。
 このような場合でも角地として側方路線影響加算を行うのでしょうか?

A26
 側方路線影響加算は、角地としての有利さ(Q22参照)を評価して加算するものです。正面と側方の路線に接していても角地部分がかけているような宅地の場合には、現実に角地としての効用を有しません。

 このような場合には、側方路線影響加算ではなく、二方路線影響加算を行うのが実情に即しているといえます。

Q27
 それでは、二方路線影響加算について説明してください。

A27
 正面と裏面(正面以外の路線で側方路線に該当しないもの)に路線がある宅地の価額は、次の①と②の合計額に宅地の地積を乗じて計算した価額によります。

① 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額
② 裏面路線の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額に、財産評価通達付表3の二方路線影響加算率を乗じて計算した金額

また、二方路線影響加算の場合もQ23~25の取り扱いは同様です。

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2016年8月19日 金曜日

民法親族編その7 婚姻⑤

民法親族編その7 婚姻⑤
1、 婚姻の法律的効果
 結婚の成立により、夫婦は同じ性(法律上は氏)を称することとなります。また、夫婦は同居し、互いに協力・扶助すべきこと、未成年者は結婚により成年に達したとみなされることなどの効果および権利義務が発生します。さらに、夫婦共同生活に必要な費用(婚姻費用)は互いに分担することとしています。

2、 基本は夫婦別産制
 民法は、夫婦であっても財産関係については別産制を採用しています。したがって、夫婦の一方が婚姻前から持っていた財産や、婚姻中でも自分の名義で取得した財産は,その者の特有の財産となります。また婚姻中には、夫婦どちらの物か不明の財産が生まれることがありますが、この場合には夫婦の共有財産と推定されます。
 夫婦別産制では、夫婦の一方が財産を取得した場合、その財産取得や維持に配偶者の協力があったときはどうすべきか問題が生じます。具体的には夫の給与収入について、妻の貢献をどこまで認めるかということになります。この点について判例は、夫婦の一方が取得した財産に対する配偶者の協力は、財産分与請求権、相続権、扶養請求権によって処理されるとしています。

*専業主婦の預金は夫の財産か?
 相続税の現場では、家族名義の預金が被相続人の財産ではないかとして税務署から指摘を受けることがあります。その状況はケーズバイケースですし、確かに被相続人が家族の名義を使っただけと思われる状況もあります。その中で問題となるケースにいわゆるへそくりも含めて専業主婦が婚姻後に蓄積した預金について、夫の預金ないしは夫婦共有の財産ではないかと指摘されることがあります。
 名義預金か否かの判断基準に、資金の出所(誰が原資を得たのか)、管理運用(印鑑や通帳の作成者の作成・保管、通帳の出し入れを行っていたか)、果実の取得(利息や運用益をだれが取得していたのか)について検討されます。詳細は別な機会に説明しますが、夫婦間での贈与はなかなか認められないこともあり実務では注意が必要です。

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