民法親族編
2016年8月19日 金曜日
民法親族編その7 婚姻⑤
民法親族編その7 婚姻⑤
1、 婚姻の法律的効果
結婚の成立により、夫婦は同じ性(法律上は氏)を称することとなります。また、夫婦は同居し、互いに協力・扶助すべきこと、未成年者は結婚により成年に達したとみなされることなどの効果および権利義務が発生します。さらに、夫婦共同生活に必要な費用(婚姻費用)は互いに分担することとしています。
2、 基本は夫婦別産制
民法は、夫婦であっても財産関係については別産制を採用しています。したがって、夫婦の一方が婚姻前から持っていた財産や、婚姻中でも自分の名義で取得した財産は,その者の特有の財産となります。また婚姻中には、夫婦どちらの物か不明の財産が生まれることがありますが、この場合には夫婦の共有財産と推定されます。
夫婦別産制では、夫婦の一方が財産を取得した場合、その財産取得や維持に配偶者の協力があったときはどうすべきか問題が生じます。具体的には夫の給与収入について、妻の貢献をどこまで認めるかということになります。この点について判例は、夫婦の一方が取得した財産に対する配偶者の協力は、財産分与請求権、相続権、扶養請求権によって処理されるとしています。
*専業主婦の預金は夫の財産か?
相続税の現場では、家族名義の預金が被相続人の財産ではないかとして税務署から指摘を受けることがあります。その状況はケーズバイケースですし、確かに被相続人が家族の名義を使っただけと思われる状況もあります。その中で問題となるケースにいわゆるへそくりも含めて専業主婦が婚姻後に蓄積した預金について、夫の預金ないしは夫婦共有の財産ではないかと指摘されることがあります。
名義預金か否かの判断基準に、資金の出所(誰が原資を得たのか)、管理運用(印鑑や通帳の作成者の作成・保管、通帳の出し入れを行っていたか)、果実の取得(利息や運用益をだれが取得していたのか)について検討されます。詳細は別な機会に説明しますが、夫婦間での贈与はなかなか認められないこともあり実務では注意が必要です。
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