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2018年7月30日 月曜日

相続税財産評価Q&A89 非上場株③

相続税財産評価Q&A 非上場株③

Q89
取引相場のない株式の評価に当たり,大会社,中会社,小会社のいずれに該当するかの判定の基準の一つである従業員数の数え方は,どのように行いますか。
また,下記の場合については,どのように考えるのでしょうか。
産休などで休職している場合
出向・転籍している場合

A89
従業員とは,評価会社に使用されている個人(評価会社の役員のうち一定の者を除きます。)で賃金を支払われる者をいいます。従業員数は,課税時期の直前期末以前1年間における従業員の人数をいい、具体的には,従業員をその勤務状況によって区分し,下記の合計によります。

直前期末以前1年間継続して勤務していた従業員(1週間当たりの所定労働時間が30時間未満の者を除く。)の数=A
                  
1週間当たりの所定労働時間が30時間未満の者については、年間労働時間数1,800時間をもって従業員1名とし、これらの者の全員の年間労働時間数を1,800で除して得た数=B

①産休などで休職している場合
産休などで休職している場合には,労働基準法等により,賃金等が保証されますが,直前期末以前1年間継続勤務していた者ではありませんので,上記表のBの区分に該当し,従業員数を計算することになります。
②出向・転籍している場合
従業員とは,評価会社との雇用契約に基づいて使用される個人で,賃金を支払われる者をいいます。したがって,出向であれば,出向元法人との間に雇用関係があるので,出向元法人において,原則として,上記表のAの区分に該当するものとして,従業員数をカウントすることになります。
また,転籍であれば,転籍先法人との間に雇用関係がありますので,基本的に,転籍先法人において,従業員数のカウントを行うことになります。しかし,課税時期の直前期末以前1年間において転籍した場合には,上記表のBの区分に該当するものとして,従業員数のカウントを行います。

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2018年7月27日 金曜日

国税庁:悪質な滞納事例を公表!

 国税庁では、新規発生滞納の抑制及び滞納整理の促進を図っており、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となる訴訟を提起したり、滞納処分免脱罪による告発を活用して、積極的に滞納整理に取り組んでいます。

 原告訴訟に関しては、2016年度は158件(前年度156件)の訴訟を提起し、その内訳は、「差押債権取立」18件、「供託金取立等」6件、「その他(債権届出など)」129件のほか、とくに悪質な事案で用いられる「名義変更・詐害行為」が5件となりました。
 そして、係属事件を含め154件が終結し、国側勝訴は33件、取下げが5件、その他が116件で、国側敗訴は0件となりました。

 また、財産の隠ぺいなどにより滞納処分の執行を免れようとする悪質な滞納者に対しては、「滞納処分免脱罪」の告発を行うなど、厳正に対処しています。
 同免脱罪の罰則は、3年以下の懲役か250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科とされてます。

悪質な滞納事例をみてみますと、ブロック工事業を営む滞納者Aは、税務調査で売上除外を指摘され、申告所得税等の修正申告を行いましたが、Aは修正申告時点では自宅不動産以外には財産がなく、他方で多数の債権者に財産の価額を上回る債務を負っていました。
 そのため、滞納国税約500万円を一括納付できず、自宅不動産の担保提供を申し出ていたましが、不動産の登記簿を確認したところ、登記簿名義を長女に移していました。
 さらに、Aは長女から返済期限のない借入をしており、国税を納付できなくなることを知りながら、借入の返済として自宅不動産を長女に譲り渡したことを把握しました。

 多数の債権者のうち、あえて長女にした返済は、他の債権者を害する行為と判断し、長女を被告として詐害行為取消訴訟を提起した結果、勝訴判決を受けた税務署長は、自宅不動産をA名義に戻した上で、差押え(約300万円)を行い、国税の徴収を確保しました。
 なお、上記の詐害行為取消訴訟とは、国が滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うものです

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2018年7月23日 月曜日

相続税財産評価Q&A88 非上場株②

相続税財産評価Q&A 非上場株②

Q88
取引相場のない株式の評価に当たり,大会社,中会社,小会社のいずれに該当するかの判定の基準の一つである総資産価額は,株主総会で承認を受けた貸借対照表上の総資産価額のことを指すのでしょうか。
また,下記の項目については,どう調整するのでしょうか。
①減価償却を実行していない場合
②圧縮記帳で圧縮引当金を計上している場合
③貸倒引当金を計上している場合
④土地購入時の付随費用を損金経理し,別表四で加算調整を行った場合

A88
相続税関係個別通達「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価証明書の様式及び記載方法等について」によりますと,会社規模の区分の判定を行う場合の「総資産価額」は,課税時期の直前期末における各資産の確定決算上の帳簿価額の合計額となります。
①減価償却を実行していない場合
減価償却を実行していない場合であっても,償却限度額相当額を総資産価額から控除する必要はありません。前述したとおり,総資産価額とは,確定決算上の帳簿価額をいうのですから,確定した決算で減価償却費の計上を行っていない場合には,当然,調整する必要はありません。
②圧縮記帳引当金又は圧縮記帳積立金を計上している場合
圧縮記帳引当金を損金経理により計上している場合には,その金額は,総資産価額から控除する必要はありません。このことは,前述した相続税関係個別通達の注書として記載されております。また,利益又は剰余金の処分により圧縮記帳積立金として積み立てた金額及び圧縮特別勘定として繰り入れた金額も,同様に,総資産価額から控除する必要はありません。
③貸倒引当金を借方に計上している場合
貸倒引当金を計上している場合には,その金額は,総資産価額から控除しません。上記②と同様に,個別通達の注書に記載されております。したがって,借方に計上している場合又は直接控除して注記している場合には,貸借対照表の資産の部の合計金額は,貸倒引当金勘定の金額が控除されていますので,注意が必要となります。
④土地購入時の付随費用を損金経理し,別表四で加算調整を行った場合
土地を購入した際の仲介手数料等の付随費用は,土地の取得価額を構成します。その金額を損金経理した場合には,その金額は,税務調整項目として,別表四にて加算処理を行う必要がありますが,会社規模の区分の判定を行う場合の「総資産価額」は,あくまで,課税時期の直前期末における各資産の確定決算上の帳簿価額の合計額をいいますので,総資産価額に加算する必要はありません。

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2018年7月20日 金曜日

税制改正で相続税申告書の添付書類の見直し!

 2018年度税制改正において、相続税申告の添付書類の改正も行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から法務省が行っている法定相続情報証明制度で取得が可能な法定相続情報一覧図についても、一定の条件をもとに添付書類として認められております。
 これまでは相続税の申告書には、戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていました。

 しかし、2018年4月1日以後は、戸籍の謄本に代えて、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)あるいは戸籍の謄本又は法定相続情報一覧図の写しをコピー機で複写したもののいずれかの書類を添付することができるようになりました。
 ただし、被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となりますので、該当されます方はご注意ください。

 法定相続情報一覧図の写しとは、相続登記の促進を目的として、2017年5月から全国の法務局で運用を開始した法定相続情報証明制度を利用することで交付を受けることができる証明書をいい、戸籍に基づいて、法定相続人が誰であるかを登記官が証明したものです。
 相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍関係の書類等一式を何度も提出する必要がなくなりました。

 これまで相続人は、遺産に係る相続手続きに際し、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係の書類等一式を全て揃えた上で、同じ書類を管轄の異なる登記所や各金融機関など、相続手続きを取り扱う各種窓口に何度も提出する必要がありましたが、法定相続情報一覧図の写しは、様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人・手続きの担当部署双方の負担の軽減が期待されています。

 なお、法定相続情報一覧図の写しは、相続人等が亡くなった人の本籍地・最後の住所地、申出人(相続人など)の住所地などを管轄する法務局のいずれかで、必要種類と合わせて申出をすることで、無料で交付を受けられます。

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2018年7月13日 金曜日

中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

 中小企業庁は、2018年度税制改正において改正された中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充をPRしております。
 事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制は、今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として抜本的に拡充されました。
 主な内容として、対象株式数・猶予割合の拡大、対象者の拡大、雇用要件の弾力化、新たな減免制度の創設などがあります。

 改正前は、先代経営者から贈与・相続により取得した非上場株式等のうち、議決権株式総数の2/3に達する部分までの株式等が対象(贈与・相続前から後継者が既に保有していた部分は対象外)でしたが、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大したことで、事業承継時の贈与税・相続税の負担が軽減されます。
 また、改正前は事業承継後5年間平均で雇用の8割維持が求められ、雇用8割を維持できなかった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要がありました。

 しかし、改正後はこの雇用要件を実質的に撤廃したことで、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予が継続可能(雇用維持ができなかった理由が経営悪化又は正当なものと認められない場合、認定支援機関の指導・助言を受ける必要あり)になります。
 そして、改正前は一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象でしたが、改正後は親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者への承継も対象になり、中小企業経営の実状に合わせた多様な事業承継を支援します。
 最大3人までの後継者が対象となりますが、複数人で承継する場合は、議決権割合の10%以上を有し、かつ、議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限られます。

 さらに、改正前は後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、過大な税負担が生じる可能性がありましたが、改正後は売却額や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することから、経営環境の変化による将来の不安が軽減されております。

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