ブログ
2016年9月23日 金曜日
民法親族編その12…裁判離婚②
民法親族編その12
1、 離婚原因
裁判離婚では、離婚原因と認められる理由として、
(1)配偶者に不貞行為があった。
(2)配偶者から悪意で遺棄された。
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでない。
(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない。
(5)その他婚姻が続けられない重大な理由があるとき。
以上の五つを挙げています。
ただし、裁判所は、(1)から(4)までの理由があった場合でも、回復の見込みがあると判断したときは離婚の請求を棄却することもあります。
離婚の原因というのは、さまざまなことが考えられますが、民法上は5つに限定しています。その中で(5)その他婚姻が続けられない重大な理由があるときとは、例えば、暴行・虐待、異常な性生活の強要、重大な疾病ないし身体的欠陥、性格の不一致などが挙げられます。また、性交不能も婚姻を継続しがたい重大な理由になり、慰謝料請求も認められることがあります。
2、 有責配偶者は離婚請求不可
夫婦の間に離婚原因があったとしても、離婚原因を作った配偶者(有責配偶者)の側からは離婚請求はできません。これを認めると、不貞行為などを行った配偶者の勝手な離婚請求を許すことになるからです。
ただし裁判所は、夫婦の別居生活が長期に及び、そして夫婦の間には未成熟の子供がいないという場合に限り、有責配偶者からの離婚請求も認められるとしています。しかし、相手方の配偶者が、離婚によって精神的、社会的、経済的に過酷な状況に置かれるおそれのあるときには認められません。
有責配偶者からの離婚請求として離婚が認められなかった例として、ダブル不倫をしている夫婦の一方が離婚請求した事件で、破たんの責任は後から不倫をした夫側にあり妻の不倫は解決済みの問題であるとして離婚請求が棄却されています。また、嫁と姑の対立が原因離婚が争われた事件で、夫婦対立の主な原因は離婚請求した夫側にあり、妻は反省して夫の元に戻る希望を持っていること等を理由として離婚請求は認められませんでした。
投稿者 記事URL
|2016年9月16日 金曜日
民法親族編その11…裁判離婚①
民法親族編その11…裁判離婚①
1、 裁判離婚の前提条件
裁判上の離婚に訴えるためには、相手方が離婚に応じないという事実だけでなく、民法に定める五つの離婚原因のうちいずれかの存在が必要になります。
配偶者が協議離婚に応じない場合の手段として「裁判所に離婚の訴えを起こして婚姻関係を解消した」とはよく聞く話です。しかし、裁判による離婚にはいくつかの規定や段取りがあります。
まず最初に、離婚を裁判に持ち込むための前提条件として、民法の定める離婚原因が相手方にある必要があります。また、離婚の協議が整わないからといって、すぐに裁判所に訴えを提起できるわけではなく、最初に家庭裁判所に調停をもとめなければなりません(調停前置主義)。その後の裁判離婚は、婚姻事件や養子縁組事件、親子関係の事件に関する特別法である人事訴訟手続法が適用されます。
離婚の成立によって、離婚による復氏、未成年者があるときは親権者の決定、財産分与、有責配偶者への慰謝料請求などの法律的効果が生じます。なお、復氏した者でも離婚の際に称していた氏を使いたい場合には、離婚の日から3か月以内に届け出をすればしようできます。
財産分与は、主として夫婦生活共同中の共通財産の清算という意味を持ちますが、離婚によって生活ができなくなる配偶者の一時的な扶養という意味もあります。
2、 調停前置主義
協議離婚が成立しない場合には、最初に調停を申し立てなければなりません。調停は、家事審判官と家事調停委員により構成される調停委員会で行われます。調停により離婚の合意が成立すると調書が作成され、この時点で離婚が成立します。これがいわゆる調停離婚です。
調停が成立しない場合でも、家庭裁判所は職権で審判をすることができます。これは当事者の間に離婚についての合意はあるが、離婚に伴う財産分与や、子の監護の方法などに意見の食い違いがあって離婚が成立しない場合などの解決を図る方法で、審判離婚といいます。
この調停でも決着がつかない場合に、初めて裁判ということになります。
投稿者 記事URL
|2016年9月12日 月曜日
相続税財産評価Q&A20
相続税財産評価Q&A20
Q30
間口が狭小な宅地についてはどのような評価を行うのでしょうか?また、間口の求め方も合わせて説明してください。
A30
間口が狭小な宅地(不整形地及び無道路地を除く。)は、奥行距離に応ずる減価のほか、付表6の「間口狭小補正率表」に定める補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価することとされています。
画地の価値は、通風、採光、出入りの便などによって左右されますが、間口の広狭によって影響される度合いが非常に大きいといわれます。二方路線地、側方路線地、三方路線地などは路線に接する間口が広いため、宅地としての利用効率が大きいと考えられることにより、側方路線加算や二方路線影響加算などが行われるのです。
これに対して、間口が狭小な画地は「宅地としての利用効率が低下しているのであるから通常規模の間口を有する画地を基として付けられている路線価額を、その利用効率の低下している程度に応じて減額する必要がある。間口狭小補正率は、このような利用効率低下、すなわち、価格低下の度合いを計数化したものである。」とされ、判例でも、「課税の公平・簡素化の観点から間口の狭小による利用率の低下を画地の評価に定率化して反映させたものであり特に不合理な点は認められない。」と解されています。
間口について財産評価通達には具体的な定義の定めがありませんが、質疑応答事例において、「原則として道路と接する部分の距離」とされています。ただし、次のような例外があります。
(1)角切がある場合には角切がないものとした場合の直線距離によります。
(2)旗状敷地などの通路部分については、例外として幅員を間口距離とすることも認められています。
(3)屈折路に面している場合には、道路に実際に接している部分の間口と想定整形地の間口のいずれか短い距離によります。
投稿者 記事URL
|2016年9月9日 金曜日
民法親族編その10…協議離婚②
民法親族編その10…協議離婚②
4、離婚の取り消し
詐欺や脅迫によってなされた離婚は取り消すことができます。ただし、詐欺や強迫による離婚を取り消すことができるのは、当事者がだまされたことが分かったときから3ヵ月以内とされています。
離婚取り消しは、婚姻取り消しと異なり、その効果は届け出の時点に遡及します。
5、離婚の効果
離婚によって、当事者は再婚が可能となりますし、離婚成立と同時に婚姻関係も消滅します。同じく、夫婦財産関係も消滅します。しかし、日常家事などで婚姻中に発生した債務に関する連帯責任は消滅しません。また協議離婚した者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求できます。この規定は裁判離婚にも準用されています。財産分与について当事者の意見が整わないときは、家庭裁判所が審判します。
*離婚に伴う慰謝料・および財産分与に関して税金はどうなるでしょうか?まず慰謝料についてですが、社会通念上相当と認められる金額であれば所得税・贈与税が課されることはありません。財産分与も同様に相当な金額の範囲内であれば所得税・贈与税が課されることはありません。
ただし、財産分与で土地または家屋を対象とした場合は、分与した側に譲渡所得に該当するものとして所得税および住民税が課税される可能性があります。たとえば財産分与として自宅の土地建物を配偶者に引き渡した場合、次のような取り扱いとなります。
(1) その土地建物の時価を売却価格とみなします。
(2) 取得時の購入価格から建物の償却費相当額(非業務用の場合1.5倍)を差し引いた金額を(取得費という。)算出します。
(3) (1)-(2)=譲渡所得の金額(自宅の場合3,000万円までは居住用財産の譲渡所得の特別控除を差し引くことができます。
(4) 譲渡所得×税率=所得税及び住民税
税率・・・長期譲渡所得(購入後5年超)20%(居住用の軽減税率あり)
短期譲渡所得(5年以下)40%の範囲内
地価が上昇傾向にある都心部では、離婚にともなう財産分与で分与した側に思わぬ譲渡所得税が課せられるケースもあるので注意が必要です。
投稿者 記事URL
|2016年9月6日 火曜日
相続税財産評価Q&A19
相続税財産評価Q&A19
Q29
相続税財産評価通達の「不整形地」とはどのような土地をいうのでしょうか?また、その評価についても説明してください。
A29
「不整形地」とは、特に通達上の定義はありませんが、その画地の形状が悪いことによって、画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できない宅地をいうものと解されます。したがってこのような不整形地の利用価値は整形地に比して低くなります。そのため、不整形地については、標準的な整形地としての価額である路線価を不整形の程度に応じた補正(以下「不整形地補正」という。)をおこなって、その価額を評価することとされています。
不整形地の価額は、まず、不整形地の形状等により4類型を具体的に示し、いずれか有利な方法により、不整形地補正率適用前の価額を求めることができることとされています。
(1)不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
(2)不整形地の地積を間口距離で除した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法 *計算上の奥行距離が想定整形地の奥行距離を超える場合には、想定整形地の奥行距離を限度とします。
(3)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
(4)近似整形地と隣接する整形地とを合わせた後の全体の整形地を基として計算する方法
次に、不整形地補正率適用前の価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、財産評価基本通達付表5の「不整形地補正率表」に定める補正率を乗じて計算した価額により評価します。
かげ地割合による不整形地補正は、専門的な不整形地の評価上勘案すべき不整形の程度、位置及び地積の大小の各要素を織り込み、不整形地補正率を画一的、統一的に算定するための指針として恣意性を排除し、納税者間の課税の公平、評価方法の簡素化を図るために公表されているものである(仙台地裁平成17年3月24日判決)とされています。
投稿者 記事URL
|カテゴリ一覧
最近のブログ記事
月別アーカイブ
- 2021年3月 (2)
- 2021年2月 (3)
- 2021年1月 (3)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (2)
- 2020年10月 (5)
- 2020年9月 (4)
- 2020年8月 (3)
- 2020年7月 (3)
- 2020年6月 (4)
- 2020年5月 (5)
- 2020年4月 (3)
- 2020年3月 (4)
- 2020年2月 (2)
- 2020年1月 (4)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (4)
- 2019年10月 (3)
- 2019年9月 (4)
- 2019年8月 (4)
- 2019年7月 (3)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (3)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (4)
- 2019年1月 (3)
- 2018年12月 (4)
- 2018年11月 (4)
- 2018年10月 (5)
- 2018年9月 (5)
- 2018年8月 (7)
- 2018年7月 (8)
- 2018年6月 (8)
- 2018年5月 (7)
- 2018年4月 (8)
- 2018年3月 (5)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (7)
- 2017年12月 (7)
- 2017年11月 (7)
- 2017年10月 (8)
- 2017年9月 (8)
- 2017年8月 (6)
- 2017年7月 (8)
- 2017年6月 (9)
- 2017年5月 (8)
- 2017年4月 (8)
- 2017年3月 (9)
- 2017年2月 (7)
- 2017年1月 (8)
- 2016年12月 (9)
- 2016年11月 (9)
- 2016年10月 (8)
- 2016年9月 (8)
- 2016年8月 (7)
- 2016年7月 (9)
- 2016年6月 (6)
- 2016年5月 (4)
- 2016年3月 (3)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (2)
- 2015年12月 (3)
- 2015年11月 (3)
- 2015年10月 (3)
- 2015年9月 (3)
- 2015年8月 (6)
- 2015年7月 (5)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (6)
- 2015年4月 (8)
- 2015年3月 (5)
- 2015年2月 (3)
- 2015年1月 (6)
- 2014年12月 (6)
- 2014年11月 (5)
- 2014年10月 (5)
- 2014年9月 (3)
- 2014年8月 (2)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (3)
- 2014年5月 (2)
- 2014年4月 (1)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (1)
- 2014年1月 (1)
- 2013年12月 (4)
- 2013年11月 (1)
- 2013年10月 (1)
- 2013年4月 (1)
- 2013年3月 (6)
- 2013年2月 (9)
- 2013年1月 (3)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (7)
- 2012年10月 (3)
- 2012年9月 (7)
- 2012年8月 (3)
- 2012年7月 (10)
- 2012年6月 (7)
- 2012年5月 (6)
- 2012年4月 (4)
- 2012年3月 (2)
- 2012年2月 (7)
- 2012年1月 (7)
- 2011年12月 (11)
- 2011年11月 (9)
- 2011年10月 (8)