財産評価
2018年4月9日 月曜日
相続税財産評価Q&A76 家屋の評価③
相続税財産評価 家屋の評価③
Q76
相続財産に家屋と門があります。門の価額は家屋の価額の5%しかありませんが、課税財産から除外することができますか?
A76
門、塀、庭園設備等は、構造上家屋と一体となっているものと異なり、固定資産税の評価上、家屋の価額に含まれていません。したがって、それぞれ個別に評価しなければなりません。
評価方法としては、「再建築価額‐経過年数に応じた減価の額」の算式で求められ、この場合の再建築価額とは、課税時期においてその財産を新たに建築又は設備するために要する費用の額の合計額をいいます。
この方法により求められる価額について、あくまでも門等は家屋あっての門等であるため、家屋の評価水準と門等の評価水準が著しくバランスを失した状態で評価することは不合理であると考えられます。つまり、この評価額を算出する際に家屋との評価水準につきバランスを考慮することを「家屋の価額との均衡を考慮」するといい、相続税の課税財産に算入するかどうかの基準ではありません。
Q77
私は父より土地家屋の贈与を受けました。家屋には父自慢の庭石があります。庭石の評価として業者の店頭価額の70%を付してもよろしいでしょうか。
A77
庭園設備は固定資産税の家屋の評点数の基礎に含まれていないため、家屋と一体として評価することはできず、別個に評価しなければなりません。ただし、庭園設備といっても、一般家庭の庭から天下の名園と称されるものまで千差万別です。財産評価上は「庭園設備」と規定する以上相当高額な客観価値を有するものを対象としていると解すべきで、一般の住宅にあるものは土地の価額に吸収されていると考えられます。
庭園設備は、調達価額に基づきその100分の70に相当する価額によって評価することとされています。ここにいう調達価額とは、課税時期においてその財産をその財産の現状により取得する場合の価額をいいますので、庭石等については、業者の店頭価額だけではなく、庭先への搬入費、据伺費等の付随費用を含めた価額により評価するものとされています。
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|2018年3月19日 月曜日
相続税財産評価Q&A75 家屋の評価②
相続税財産評価 家屋の評価②
Q75 建物附属設備(電気設備、エレベーター設備)は建物の固定資産税評価額に含まれているのでしょうか?
ビルを保有する会社の場合、固定資産台帳では建物と建物附属設備(電気設備、エレベーター設備)に分かれています。相続税の評価を行う場合、建物は固定資産税評価額により評価しますが、建物附属設備はどうすればよいのでしょうか。建物の固定資産税評価額の中に含まれているだろうということで、付属設備の評価額はゼロとしてよいのでしょうか。
A75 建物と構造上一体となっている電気設備、ガス設備は建物の価額に含めて評価します。
建物の所有者が有する附属設備(電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備等でその建物に取り付けられ、その建物と構造上一体となっているもの)は、固定資産税における建物の価額を評価する場合の評点数の付設上考慮されることになっていますので、相続税の評価においては別個にこれを取り出して評価をすることとはしていません。ただし、電気設備の範囲からネオンサイン、投光器、スポットライト、電話機、電話交換機及びタイムレコーダーは除かれています。
質問の場合、電気設備、エレベーター設備は上記のとおり建物の固定資産税評価額の中に含まれておりますので別個の評価は不要となります。
しかし、次のようなものは建物と構造上一体となっていないものとして、別個に評価する必要があります。
①冷暖房設備のうちルームクーラーのように、取り付け・取り外しが可能なもの
②電球、カーテンなどの消耗品に属するもの
③屋外に設置された給水塔、ガス及び水道の配管、独立煙突
①・②は家庭用動産として、③は構築物として家屋とは別個に評価することとなります。
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|2018年2月27日 火曜日
相続税財産評価Q&A74 家屋の評価①
相続税財産評価 家屋の評価①
Q90
父は死亡前に家屋を増築するため、建築業者と500万円で工事請負契約を締結し、その工事が約2分の1程度完成したときに死亡しました。死亡までに父が建築業者に支払った金額は250万円です。
この場合、この増築中の家屋はどのように評価するのでしょうか、
なお、この家屋の従前の固定資産税評価額は2,000万円で、付近には状況の類似した家屋はありません。
A90
従前の家屋の相続税評価額に、増築に係る部分の価額(費用原価の70%相当額)を加算して評価します。
家屋の評価は原則として、固定資産税評価額に一定倍率を乗じて評価します。また、建築中の家屋については工事進行度合いに応ずる費用相当額の70%相当額で評価します。しかし、ご質問のように増築中の家屋については固定資産税評価額が付されていないため、評価基本通達にその評価方法が示されていないことから、評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)に基づき評価することとなります。
この「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の価額」は、従前の家屋の固定資産税評価額にその増築に係る部分の価額として、その増築に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基としてその付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増築に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合にはその固定資産税評価額)により評価することになります。
したがって、ご質問の場合、
①従前の家屋の評価額・・・2.000万円(固定資産税評価額×1.0)
②増築部分の評価額・・・500万円×1/2(工事進行度合)×70/100=175万円
③①+②=2,175万円
となります。
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|2018年2月20日 火曜日
相続税財産評価Q73 雑種地④
相続税財産評価Q73 雑種地④
Q89
駐車場の敷地を借り受けています。この敷地にアスファルト舗装をしておりますが、地上権に準ずる権利として、賃借権を評価すべきでしょうか?なお、権利金の授受及び賃借権の登記はありません。
A89
アスファルト舗装だけでは、堅固な構築物の所有を目的とする地上権に準ずる権利とはなりません。
雑種地の価額の評価上控除すべき賃借権の価額は、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価することを原則とします。しかし、簡便的に地上権に準ずる権利と地上権に準ずる賃借権以外の賃借権とに区分して、それぞれ評価することも認められています。
(1)地上権に準ずる賃借権
雑種地の賃借権を地上権に準ずるものとして評価できるものの具体例は、①賃借権につき登記がされているもの、②設定の対価として権利金等の授受がされているもの、③堅固な構築物の所有を目的とするものの3つが例示されています。このことから、地上権に準ずる権利としての賃借権は、地上権と比較しても十分法的に保護されるべき権利でなければなりません。具体例としては、バッティングセンター、立体駐車場、アンテナ塔など堅固な建物・構築物の敷地が挙げられます。
賃借権の評価額は、その雑種地の自用地としての価額に、賃借権の残存期間に応じ次に掲げる割合を乗じて計算した金額とされています。
・残存期間が5年以下・・・5%
・ 5年超10年以下・・・10%
・ 10年超15年以下・・・15%
・ 15年超 ・・・20%
(2)地上権に準ずる賃借権以外の賃借権
地上権に準ずる賃借権以外の賃借権に該当する具体例としては、法人などに一括で貸している駐車場、資材置き場、中古車展示場用地、コインパーキング、トランクルーム(レンタルコンテナ、貸し倉庫)などの簡易なプレハブなどの敷地が挙げられます。
質問の場合のアスファルト舗装だけでは、法的に保護されるべき賃借権として不十分であり、地上権に準ずる賃借権以外の賃借権として評価すべきであると思われます。
この場合の賃借権の評価額は、その雑種地の自用地としての価額に、賃借権の残存期間に応じ(1)に掲げる割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額とされています。
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|2018年1月29日 月曜日
相続税財産評価Q72 雑種地③市街化調整区域内
相続税財産評価 雑種地③ 評価方法(市街化調整区域内)
Q88
市街化調整区域内の雑種地の評価方法について教えてください。
A88
(1)基本的な考え方
雑種地(ゴルフ場用地、遊園地等用地、鉄軌道用地を除きます)の価額は原則として、その雑種地の現況に応じ評価対象雑種地と状況が煩似する付近の土地について評価した1㎡当たりの価額を基礎とし、この土地と評価対象雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して算定した価額に、その雑種地の地積を乗じて評価します。
(2)評価対象雑種地と状況が類似している土地の価額
市街化調整区域内に存する雑種地を評価する場合に、状況が類似している土地の地目を判定するときは、評価対象地の周囲の状況に応じて下記によります。
①農地比準、山林比準又は原野比準により評価する場合
その雑種地の周囲の状況が純農地、純山林、純原野である場合には、通常は宅地化への期待益を含まないことから付近の宅地の価額を比準するのではなく、付近の純農地、純山林又は純原野の価額を基礎として位置、形状等の条件の差を考慮して評価することになります
②宅地比準により評価する場合とその斟酌割合
その雑種地の周囲の状況が宅地に類似するものとして「宅地比準」により評価する場合には、付近の宅地価額(近傍宅地価格)を基礎とします。しかし、評価対象地は市街化調整区域内に存する現況雑種地として、課悦時期において立地基準や建築不可、用途制限等の法的規制を受けることから、既に建物敷地の用に供され有効利用されている宅地とは評価の前提を異にしています。そこで、この差を「勘酌割合(減価率)」として評価に織り込むこととされています。
{近傍宅地の1㎡あたりの価額×評価対象地の画地調整率×(1-斟酌割合)
-1㎡あたりの宅地造成費}×地積
宅地比準における法的規制等(開発行為の可否、建築制限、位置等)に係るしんしゃく割合(減価率)は、市街化の影響度と雑種地の利用状況によって個別に判定することになりますが、下記のしんしゃく割合によっても差し支えありません。
イ 家屋の建築が全くできない場合・・・50%
ロ 沿道サービス施設や物品小売業店舗の建築が可能な場合・・・30%
ハ 宅地と同様の取引実態がある地域、条例指定区域内にある場合・・・0%
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