財産評価
2017年5月15日 月曜日
相続税財産評価Q&A49 貸家建付地①
相続税財産評価 貸家建付地①
Q62
いつの時点から貸家建付地として評価されるのでしょうか?入居募集をかけた時点、借家契約をした時点、入居した時点のいずれでしょうか?
A62
貸家建付地の評価は、自用地としての価額から、自用地の価額に借地権割合と借家権割合を乗じた金額を控除します。
自用地と異なり貸家の場合、借家人の家屋に対する権利が働くとともに、その家屋の敷地についても家屋の賃借権により家屋利用の範囲内において支配権が働くと考えられるからです。しかも、借地権割合が高いほどその権利が強くなり、その分土地の所有者の権利が減殺されることに注目して自用地価額から控除しているものです。
貸家建付地としての評価をするためには、賃借権のあることが必要です。そのため人の入居が条件となり、入居した時からが貸家になると考えられます。
Q63
私は、所有する建物を自分が経営する同族会社に無償で貸しています。この場合貸家建付地として評価することができるのでしょうか?また、有償で社員の社宅として貸し付けた場合はどうでしょうか?
A63
貸家建付地として評価減するためには、家屋に賃借権があることが前提となります。この場合の賃借権とは、借地借家法の適用がある家屋の賃借人の有する賃借権(借家権)をいいます。同族会社に無償で貸している場合には、借地借家法が適用される賃貸借には該当せず、使用貸借による貸付けにあたります。したがって、貸家建付地としての評価は適用できず自用地として評価することになります。
社宅の場合、通常社員の福利厚生施設として設けられています。一般の家屋の賃貸借と異なり賃料が極めて低額に設定されており、その使用関係は従業員の身分を有する期間に限定される特殊な契約関係にあります。そのため、一般には借地借家法の適用はないものと解されています。
したがって、社宅の敷地の用に供されている宅地については貸家建付地としては評価できないものと考えられます。
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|2017年5月8日 月曜日
相続税財産評価Q&A48 地上権他③
相続税財産評価 地上権他③
Q63
私の所有する土地の上には、高圧線の送電線が通っています。この場合宅地の評価は減額されるのでしょうか?また、特に高圧線の権利について登記がされていない場合にはどうなりますか?
A63
相続税財産評価通達では、「区分地上権に準ずる地役権」として評価方法が規定されています。「区分地上権に準ずる地役権」とは、特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のため地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するものをいいます。この権利がある土地は、区分地上権の設定された土地と同様、建物の建築が制限されるため価値が下がり評価減の対象となります。具体的には次のとおりです。
区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から次に掲げる「区分地上権に準ずる地役権の価額」を控除した金額によって評価します。
区分地上権に準ずる地役権の価額=宅地の自用地としての価額×区分地上権に準ずる地役権の割合
区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げる区分に従い、それぞれ掲げる割合です。
(1) 家屋の建築が全くできない場合・・・100分の50又はその地役権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか高い割合
(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30
また、区分地上権と同様、地役権が1画地の宅地の一部分に設定されているときは、その地役権が設定されている部分の地積に対応する価額となります。
高圧線の設置などが「地役権」として登記されている場合があります。この場合は、土地の全部事項証明書の乙区に記載されているため確認が可能です。また、地役権を設定に伴う権利を登記するために土地が分筆されている場合もあります。この場合には、公図や住宅地図で高圧線価値であることが推測できます。しかし、当事者間での債権契約の場合もあり、この場合は登記されないため内容は契約当事者しかわかりません。契約内容を確認し、建築物の制限内容によって評価しなければなりません。
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|2017年5月1日 月曜日
私道の相続税評価で最高裁が審理差し戻し
私道の相続評価で最高裁が審理差し戻し
記事提供:エヌピー通信社
相続した土地のうち、私道として使われている部分の財産評価をめぐって納税者と自治体が争っていた裁判で、最高裁は自治体側の主張を全面的に認めていた高裁判決を破棄し、さらなる検討を命じる審理差し戻しの判決を下しました。私道と認定されれば税負担は7~10割減となるため、裁判の結果は不動産相続に大きく影響しそうです。
相続財産の評価方法を規定した財産評価基本通達では、私道として利用されている宅地を「私道供用宅地」として、①行き止まりの生活道路など、特定の人間が通行するものについては評価を7割減、②通り抜け道路のように不特定多数の人間が通行するものについては0円――で評価すると定めています。
原告は相続税の申告に当たって、まず②のゼロ評価私道として申告書を提出しましたが、その後①の7割減私道だと修正して申告をし直しました。しかし税務署は「アパートの敷地の一部であり、そもそも私道ではない『貸家建付地』である」として減額特例の適用を認めず、更正処分を決定。不服とした原告が訴えを起こしたものです。
地裁、高裁の判決ではともに自治体側の訴えが認められ、納税者が敗れました。しかし最高裁では、これらの判断を覆しました。私道に当たるかどうかは「建築基準法などの法令の制約の有無だけではない」として、「宅地の位置関係や形状、道路としての利用状況などを踏まえて、総合的に、ほかの用途に転換することが難しいかを考えるべき」との判断を示しました。
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|2017年4月24日 月曜日
相続税財産評価Q&A47 地上権他②
相続税財産評価 地上権他②
Q62
私の所有する宅地の下に高速道路のトンネルが通ることになりました。この場合の宅地の評価はどのようになるのでしょうか?
また、評価減できるのはいつの時点ですか?「契約締結日」「補償金を収受した日」「工事完了日」のいずれでしょうか?
A62
土地の下に地下鉄や自動車専用道路などのトンネルが通っている土地には、区分地上権が設定されています。「区分地上権」とは、工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権をいいます。区分地上権の設定された土地は、建物の建築が制限されるため価値が下がり評価減の対象となります。具体的には次のとおりです。
区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から区分地上権の評価の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価します。
区分地上権の価額は「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」に定める「土地利用制限率」によって補償金が支払われているのが現状です。そのため、区分地上権の評価もその設定契約の内容に応じた土地利用制限率の割合を基準として評価します。
ただし、地下鉄等のトンネルの所有を目的とした区分地上権の場合には、簡便法として100分の30とすることが認められています。商業地等の立体利用が可能な土地以外は簡便法によることとなります。
また、区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されているときは、「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となります。
地上権の設定行為は民法上の契約行為ですので、契約により土地の使用制限の効力が生ずる日をもって地上権が設定されたとすべきです。しかし、地上権の設定契約には反対給付となる補償金が支払われるのが通例であり、対価となる補償金の額が確定した時としても差しつかえないものと考えられます。
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|2017年4月17日 月曜日
相続税財産評価Q&A46 地上権他
相続税財産評価 地上権他
Q61
借地借家法の適用がないいわゆる借地権以外の土地の上に存する権利にはどのようなものがありますか?また、それらの権利が設定された宅地の評価はどうなるのでしょうか?
A61
相続税の財産評価通達では、土地の上に存する権利として下記の10種類を規定しています。
(1)地上権(区分地上権、借地権及び定期借地権を除く。)
(2)区分地上権
(3)永小作権(他人の土地を耕作又は牧畜する権利)
(4)区分地上権に準ずる地役権
(5)借地権
(6)定期借地権
(7)耕作権(農地または採草放牧地の上に存する賃借権)
(8)温泉権(温泉を排他的に利用できる権利)
(9)賃借権
(10)占有権(河川法または道路法の占有許可に基づく権利)
宅地とは、建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地をいいます。したがって、宅地の上に存する権利は、通常「借地権」「定期借地権」「区分地上権」「区分地上権に準ずる地役権」で、それ以外の「地上権」や「賃借権」は雑種地に付着する権利に該当する場合が多く、「永小作権」や「耕作権」は農地、「占有権」は雑種地、「温泉権」は地目のいかんを問いません。
地上権とは、他人の土地において工作物または竹林を所有するために、その土地を使用する権利をいい、ここでは、区分地上権、借地権及び定期借地権を除いています。また、区分地上権は、地下又は空中の範囲を定めた地上権をいいます。
借地権は、建物の所有を目的とする地上権または賃借権をいい、定期借地権は契約期間を確定させた借地権です。
地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から「地上権及び永小作権の評価」により評価したその地上権の価額を控除した金額によって評価します。
また、区分地上権の目的となっている宅地の価額は区分地上権の価額を、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は区分地上権に準ずる地役権の価額を、それぞれ自用地としての価額から控除した金額によって評価します。
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