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2017年5月29日 月曜日
相続税財産評価Q&A51 貸家建付地③
相続税財産評価Q&A 貸家建付地③
Q66
2階建ての建物について、2階部分をアパートとして賃貸し、1階は自己の居住用としています。この場合に敷地の相続税評価の計算上、貸家建付地部分について「賃貸割合」を算出するうえで、供用部分はどのように計算すればいいでしょうか。
A66
貸家建付地の相続税評価額について、賃貸割合を計算するときは、「その家屋の各独立部分の床面積の合計」に対する「賃貸されている各独立部分の床面積の合計」の割合で算出します。「各独立部分」とは、「構造上区分された数個の部分の各部分」をいいます。つまり、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど、独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。
なお、外部に接する出入口を有しない部分であっても、供用で使用すべき廊下、会談、エレベーター等の共用部分のみを通って外部と出入りすることができる構造となっているものは、上記の「独立した出入口を有するもの」に該当します。
通常は、上記「各独立部分」の合計額で案分しますから、供用部分は、分子、分母ともその計算から除かれます。しかし、質問の場合は、2階がすべて貸付用、1階はすべて自用となっているケースですが、例えば、当初から1階は自用、2階のみをアパート用として使用することを予定し、その構造で建築した建物の場合、アパートは一般的に供用部分が広いこともあり、2階の住人のみ使う供用部分が、1階の住民のみ使う供用部分よりはるかに大きくなります。
財産評価通達の賃貸割合の算式ではそのことが考慮されていません。そのために賃貸割合が異常に低くなり、不合理な結果となります。このような場合は、通常の計算に代えて、1階及び2階の住民のみ使用する供用部分を、分母分子の独立部分に加えて賃貸割合を計算する方法が認められる余地があると考えられます。
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|2017年5月24日 水曜日
平成29年度税制改正 資産課税編 その3
「相続税(贈与税)の納税義務の見直し」
1、 趣旨
経済活動の国際化への対応と租税回避の効果的な抑制を目的として、国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直しが行われました。国外に居住する日本人(非居住無制限納税義務者)の納税義務を拡大し、租税回避行為を抑制します。一方、駐在等の一時滞在の外国人等の納税義務を緩和し、高度外国人材の受け入れを促進します。
2、概要
(1)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行は「5年」)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととされました。これは、国内に住所はないが日本国籍はある贈与者と受贈者の双方が、5年超国外に住んでから贈与(相続)するなどの租税回避を抑制するためです。
(2)国内に住所・国籍がない者が、過去10年以内(今までは5年以内)に日本に住所があった者から相続などにより取得した国外財産が日本で課税されることになります。これは、国外で出生し日本国籍を取得しなかった子に対し、一時的に国外に住所を移した上で国外財産を贈与(相続)するなどの行為を想定したものです。
(3)被相続人等及び相続人等が在留資格をもって一時的滞在(国外に住所を有している期間がそう青く開始前15年以内で合計10年以下の滞在をいう。)をしている場合等の相続税については、国内財産のみを課税対象とすることになりました。これは、一時的に日本に住所がある外国人同士の相続などの場合に、国外財産に日本の相続税が課税されないようになれば、高度外国人材などの受入れ促進につながることから改正されました。
(注)いずれも贈与税も同様に改正されています。
3、適用時期
この改正は、平成29年4月1日以後の相続または贈与から適用されます。
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|2017年5月22日 月曜日
相続税財産評価Q&A50 貸家建付地②
相続税財産評価 貸家建付地②
Q64
私が所有するアパート2棟(各々8室)のうち、A棟については、2室が空室で入居者を募集中です。また、もう1棟のB棟についても新築後2か月でまだ半分しか埋まっていません。
この場合には、貸家建付地として評価するとき空室分は除いて評価しなければなりませんか?
A64
貸家建付地の評価においては、賃貸割合を乗じて計算をすることとされています。これは建物の一部を貸家とそれ以外に区分して使用することがあるからです。たとえば1階を貸家に2階を自用に使用するような場合です。
賃貸割合は、「その家屋の各独立部分の床面積の合計に対する賃貸されている各独立部分の床面積の合計の割合」で算出します。この場合の賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、一時的に賃貸されなかったと認められるものを含むこととして差し支えありません。
ただし、この適用のためには課税庁では以下の条件が必要と考えられています。
① 課税時期前に継続的に賃貸していたこと。
② 賃借人が退去したのち、速やかに次の賃借人の募集をするとともに空室になっている間他の用途に使用しないこと。
③ 空室の期間が短期間であること。
問題となるのは、空室部分が継続的に賃貸されていたとみられるかどうかということと、空室の期間が一時的かどうかということです。A棟については、空室の期間が問題となります。一時的な空室であればともかく、長期にわたって空室になっているのであれば継続的に賃貸しているとはいえず、2室分は賃貸されている床面積に入れることはできない可能性があります。
また、B棟の2室については、新築から2か月程度空室ということですが、空室の期間は長期間とは言えませんが、貸室としての実績はいまだなく、上記1に該当しないので継続的に賃貸されていた部分とはみられません。そのため、空室部分は「賃貸されている床面積」に入れることはできないと考えられます。
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|2017年5月19日 金曜日
平成29年度税制改正 資産課税編 その2
平成29年度税制改正「財産評価の適正化」
1、 趣旨
「取引相場のない株式の株価の算出方法の見直し」については、事業承継促進のための税制措置の強化と位置付けられ、上場会社のグローバル連結経営の進展や株価の急激な変動が中小企業の円滑な事業承継を阻害することなく、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直されました。
「株式保有特定会社の判定」は、新株予約権付社債が株価と連動して価額が形成されるのに対し株式保有特定会社の判定に含まれないため節税が可能となっていました。
「広大地評価の見直し」については、現行の広大地の評価は面積に応じて比例的に減額されるため、実際の道路負担に比して大きな減額が可能で節税に利用される事例もあったためです。
2、概要
(1)取引相場のない株式評価の見直し
①類似業種比準方式による株価の算出方法
一、類似業種の上場会社の株価については、2年間の平均金額が選択可能となりました。これは、上場企業の株価上昇局面における急激な変動を平準化する目的です。
二、比準要素である、配当金額、利益金額及び簿価純資産価額に連結決算を反映したものとなりました。上場企業の子会社を含めたグローバル経営を反映し過大な評価を見直すこととしました。
三、比準要素のウエイトを「1:1:1」(現行1:3:1)に改正されました。成長企業や好業績企業の負担を軽減する目的です。
四、会社規模の判定基準について、大会社及び中会社の適用範囲が拡大されました。時価純資産のウェイトが高い中会社の株価を抑える効果があります。
②株式保有特定会社の判定
株式保有特定会社の判定基準に、新株予約権付社債を加えることとなりました。これは、上場株式に代えて新株予約権付社債を非上場会社に出資して、その非上場会社の株式に類似業種比準価額を適用することで株価を圧縮する節税策に対応するためです。
(2)広大地評価の見直し
面積に応じて比例的に減額する現行の評価方法から、各土地の個性に応じて面積・形状(奥行、不整形)等に基づき評価する方法に見直し、適用要件を明確化することとなりました。評価方法の見直しにより実際の取引価額と評価額とのかい離を解消し、また、難解な適用要件の明確化を図るものです。
3、適用時期
この改正は、上記(2)の①は平成29年1月1日以後、(1)の②と(2)は、平成30年1月1日以後に相続等により取得した財産の評価から適用されます。
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|2017年5月15日 月曜日
相続税財産評価Q&A49 貸家建付地①
相続税財産評価 貸家建付地①
Q62
いつの時点から貸家建付地として評価されるのでしょうか?入居募集をかけた時点、借家契約をした時点、入居した時点のいずれでしょうか?
A62
貸家建付地の評価は、自用地としての価額から、自用地の価額に借地権割合と借家権割合を乗じた金額を控除します。
自用地と異なり貸家の場合、借家人の家屋に対する権利が働くとともに、その家屋の敷地についても家屋の賃借権により家屋利用の範囲内において支配権が働くと考えられるからです。しかも、借地権割合が高いほどその権利が強くなり、その分土地の所有者の権利が減殺されることに注目して自用地価額から控除しているものです。
貸家建付地としての評価をするためには、賃借権のあることが必要です。そのため人の入居が条件となり、入居した時からが貸家になると考えられます。
Q63
私は、所有する建物を自分が経営する同族会社に無償で貸しています。この場合貸家建付地として評価することができるのでしょうか?また、有償で社員の社宅として貸し付けた場合はどうでしょうか?
A63
貸家建付地として評価減するためには、家屋に賃借権があることが前提となります。この場合の賃借権とは、借地借家法の適用がある家屋の賃借人の有する賃借権(借家権)をいいます。同族会社に無償で貸している場合には、借地借家法が適用される賃貸借には該当せず、使用貸借による貸付けにあたります。したがって、貸家建付地としての評価は適用できず自用地として評価することになります。
社宅の場合、通常社員の福利厚生施設として設けられています。一般の家屋の賃貸借と異なり賃料が極めて低額に設定されており、その使用関係は従業員の身分を有する期間に限定される特殊な契約関係にあります。そのため、一般には借地借家法の適用はないものと解されています。
したがって、社宅の敷地の用に供されている宅地については貸家建付地としては評価できないものと考えられます。
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