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2017年3月31日 金曜日
国税庁:2015事務年度の譲渡所得調査を公表
国税庁は、2015事務年度(2015年7月から2016年6月までの1年間)の譲渡所得調査を公表しました。
それによりますと、2万6,811件の譲渡所得調査を行い、このうち74.4%にあたる1万9,941件から1,548億円の申告漏れを把握しております。
これは、前事務年度に比べて、調査件数は10.6%減、申告漏れ等の非違件数は5.7%減となったものの、申告漏れ所得金額は3.2%増加しました。
申告漏れ割合については、前事務年度に比べて3.9ポイント増加の74.4%でした。
また、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は、578万円(前事務年度は500万円)となりました。
調査の内訳をみてみますと、株式等譲渡所得については、前事務年度に比べて8.2%減の5,839件の調査を実施し、このうち79.7%にあたる4,654件(前事務年度比5.0%減)から総額416億円(前事務年度比26.1%増)の申告漏れ所得金額を把握しております。
また、土地建物等については、同1.3%減の2万972件の調査を実施し、このうち72.9%にあたる1万5,287件(同5.9%減)から総額1,133億円(同3.2%減)の申告漏れ所得金額を把握しております。
事例では、実態の取引金額とは異なる契約書を作成して、譲渡所得の一部を申告していなかったHの例が挙がっております。
Hは、少しでも税金を安くするため、買主と共謀し、実際の取引金額よりも安い金額を記載した契約書を作成するとともに、支払事実のない譲渡費用について、買主の主宰法人に架空の領収書を発行させていたことが判明しました。
その結果、Hには、申告漏れ所得金額約3,000万円に対し、重加算税を含む約600万円の税額が追徴されました。
税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われており、譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われております。
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|2017年3月28日 火曜日
相続税財産評価Q&A43 貸宅地②
貸宅地②
Q56
私は、自分が社長を務める同族会社に土地を賃貸し会社はその土地の上に建物を建てて事業を営んでいます。借地権設定時には権利金は収受していませんが、特に権利金の認定課税は受けていません。このような場合でも、貸宅地として借地権価額を控除して差し支えありませんか?
A56
相続による貸宅地または借地権の評価は、相続税法で定める評価方法によって評価されることになります。すなわち、貸宅地の評価は、通常の権利金の授受の慣行のある地域においては、自用地価額から借地権の価額を控除した金額で評価することとされています。
ただし、無償返還の届出を提出している場合や相当の地代をやり取りしている場合には自用地価額の80%が貸宅地の評価額となります。また、会社の株式の評価上、純資産価額の計算において借地権の価額を計上することになります。
借地権の評価については、権利金の授受の有無によって次のようになります。
① 通常の権利金及び通常の地代の授受がある場合
自用地価額×借地権割合
② 通常の権利金の授受がない場合
自用地価額×借地権割合×(1-Aの割合)
A=(実際地代年額-通常地代年額)÷(相当地代年額-実際地代年額)
借地権の設定に際し権利金を収受する慣行のある地域においては、権利金のやり取りがなければ原則として権利金の認定課税があります。権利金の認定課税を回避するために無償返還の届出を提出するか権利金の収受に代え相当の地代を支払うことも認められています。
相当の地代を支払う場合には、相当の地代の額を3年ごとに見直して地価が上昇すればそれに応じて地代も引き上げるのが原則です。このケースで相続が発生した場合には、借地権の価額は20%として控除します。3年ごとに見直す方法に代え当初設定した相当の地代を据え置く方法も認められています。このケースで相続が発生した場合には、上記②の地代の金額によって借地権の価額を計算することとなります。
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|2017年3月24日 金曜日
事業承継 後継者選びと教育
◆後継者選びで考慮すること
親族以外から後継者を選ぶと決めた時は、今まで事業を承継する意思がないと思っていた親族が突然、「継ぐ」と言い出す事もあるため、事前に親族会議を開く等、意向を確認してから始めることが大事です。又、兄弟等で後継者となる子とならない子がいる時は後継者でない子には自社株式や事業資産以外の財産を承継させ、兄弟間の承継バランスを取る配慮も必要です。
後継者の決定は現経営者の決定権や発言権のあるうちに行う事がよく、後継者が複数いる場合は争いや分裂が起きないよう、現経営者が後継者を決めることが大事でしょう。後継者が決まった後も会長としてバックアップして、段階的に権限委譲して行くこともできます。
◆内部や外部での後継者教育
後継者を選定した後には、以前から社内に勤務していた人かどうか、置かれた状況により、行う教育は異なりますが、円滑な事業承継のためには、積極的な教育が不可欠です。方法としては次のようなことが考えられます。
①内部での教育
ア、各部門(財務・営業・労務等)を回って、従事してみることで会社全般の必要な経験や知識を習得することができます。
イ、役員など責任ある地位につけて権限を委譲し重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与えて経営者の自覚をうながします。
ウ、現経営者による指導 この事は当然行ないますが、経営のノウハウや業界の状況、経営理念等の引継ぎをします。
②外部での教育
ア、他社勤務の経験をさせ、人脈の形成や新しい経営手法を学ぶ等、社外でのノウハウを習得します。
イ、子会社、関連会社の経営をさせる事で責任感を持たせ、資質の確認もできます。
ウ、セミナーを活用し、外部機関のセミナーで経営者に必要とされる知識全般を習得し、幅広い視野を育成します。
このような後継者育成でリーダーシップやマネージメント能力を高める事ができるでしょう。
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|2017年3月21日 火曜日
相続税財産評価Q&A42 貸宅地①
相続税財産評価 貸宅地①
Q54
借地権の目的となっている宅地の価額は、「自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額」とされていますが、借地権の及ぶ建物の範囲とはどこまででしょうか?
A54
相続税の財産評価上、借地権とは、借地借家法の規定による建物の所有を目的とするとする地上権または土地の賃借権をいうものとされています。ここでいう建物とは、一般的には土地に定着して建設された永続性のある建物で、屋蓋・周壁を有し、住居・営業・貯蔵等の用に供される独立した不動産をいうものとされています。
したがって、建物以外の構築物等に使用する目的の賃借権は借地権には該当しませんし、駐車場・資材置き場等に使用することを目的とする賃借権も同様です。
さらに、賃借したゴルフ練習場用地に事務所等の建物があったとしても、その建物の所有目的が従たる賃借目的であることから借地権はないものとして取り扱われます。
Q55
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約を締結してから10日後に相続が発生しました。相続開始時点では建物の建築は始まっておらず更地状態です。このような場合でも借地権の価額を控除できるのでしょうか?
A55
民法上、賃貸借とは当事者の一方が相手方に所有物を使用収益させることを約し、相手方がその賃料を支払うことを約することによって成立する契約をいいます。そして、この契約が成立することにより賃借人は目的物の使用収益権を有することになりますので、借地権は土地の賃貸借契約が締結された時点より発生するものと考えられます。
土地の賃貸借契約を締結する場合には、借主が建物を建築することを承諾し土地の使用目的等を契約書に定めているはずです。また、権利金等を支払う取引上の慣行のある地域においては、契約締結時に権利金の授受及び保証金等の差し入れがあるのが通常です。
このように賃貸借契約時に客観的な取引が行われた状況があれば、建物建築前の更地状態であっても貸宅地としての評価ができると思われます。
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