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2016年5月31日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその5
Q7 財産評価基本通達に規定されている「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる」場合とは、どのような場合なのか説明してください。
A8 財産評価基本通達に定められている路線価等の土地の評価基準は、取扱いの統一と納税者の申告上の便宜の観点から、適正かつ簡易に土地の評価額の算定ができるようあらかじめ定められているものです。そして毎年1月1日を評価時点として評価し、これを1年間を通じて適用することとしています。そのため、評価時点以降課税時期までの間に、時価が著しく下落するなどの理由により、路線価等に基づいた土地等の評価額が課税時期における土地の時価として適正でないということが客観的に明らかになった場合には、個別具体的な検討は必要ですが時価の下落という事情を考慮して評価できるものであると考えられます。
なお、路線価等は、時価公示価格水準の80%程度で算定されていますので、1月1日~課税時期までの間に20%を超える時価下落があった場合には、課税時期における時価が路線価等を下回る結果となり、このような場合には「著しく不適当と認められる」として、評価額を修正することが考えられます。
また、逆に相続開始直前に購入したタワーマンション等で路線価等で評価した金額が、その時価(購入価額等)と比較して著しく低い場合には「著しく不適当と認められる」場合に該当する可能性があります。この場合の時価は、路線価等ではなく購入価額等が適当であると考えられます。タワーマンションによる節税封じにこの通達が適用される可能性は大いにあります。駆け込みの相続対策は危険がいっぱいですのでご注意ください。
そのほかの財産についても種々の場合が考えられます。
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|2016年5月24日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその4
Q6 不動産のうちたな卸資産に該当するものについては、路線価方式など土地または家屋に係る評価方法ではなく、第6章「動産」におけるたな卸資産の評価方法に準じて評価することとされています。土地等がたな卸資産に該当する場合について説明してください。
A6 不動産売買業者の所有する販売を目的とする土地または家屋で、たな卸資産に該当するものについては、その販売業者が課税時期において販売する場合の価額から、その価額のうちに含まれる適正利潤の額及び課税時期から販売の時までにその宅地について負担すると認められる経費の額を控除した金額により評価することになります。
この取り扱いが適用されるのは、その不動産がたな卸資産としての性格を持っていることが必要です。例えば、不動産販売業者に該当しない一般の事業者が、これまで賃貸していたマンションを、たまたま売りに出したようなケースはこれに該当しないものと考えられます。また、不動産業を営む者が、たな卸資産として所有していた不動産を、販売不振のため一時的に賃貸の用に供し、その後改めて商品として販売するようなケースについてはたな卸資産として評価することになるでしょう。
たな卸資産である不動産は、元々販売することを目的として自由な経済取引の対象となっている資産であり、このような性格を有する土地等については、申告上の便宜を考慮して定められている路線価によって評価を行うのではなく、それぞれ日常の取引により明らかである販売価額等に基づいて評価する方が実態に即していると考えられます。したがって土地等を棚卸資産として評価するためには不動産業としての実態が伴っていることが必要であるということになります。
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|2016年5月17日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその3
Q5 いわゆるタワーマンションの最上階は人気がありますが、下の階に比べて評価は高くなるのでしょうか?
A5 区分所有となっているマンションの評価については、その構成内容から、土地部分と建物部分に分けて考える必要があります。
まず、土地部分については、マンションの敷地の用に供されている宅地の価額を路線価方式又は倍率方式により敷地全体を評価したうえで、その価額を基準にそれぞれの所有者の共有持ち分割合を乗じて評価することになります。
この場合において、各所有者の共有持分割合とは、それぞれの各専有部分の床面積の割合のことをいいます。
したがって、この評価方法によれば、まずマンションの敷地を全体足して評価したうえで、それぞれの持分割合を乗じることになりますので、質問のような階層の高低や南向き・北向きといった個別の条件によって評価が影響を受けることはありません。
一方、建物の評価は、原則として固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて算定するものとされています。
この場合、評価の基準となる固定資産税評価額については、土地の場合と同様、あくまでそれぞれの専有部分の床面積の割合を基準に、各個別の固定資産税評価額を算定することになりますので、結果として個別的な条件によって評価に影響が生じることはありません。
もっとも、北向き最下階等その物件の置かれている状況によっては、その価額が著しく下落していて通達上の評価額がその時価を上回っているような場合も考えられます。また、逆に相続開始直前に購入した場合など通達上の評価額がその購入価額を大きく下回るような場合もありえます。このようなケースにおいては、財産評価基本通達6「この通達の定めによりがたい場合の評価」の適用等によって考慮されるものと考えられます。
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|2016年5月10日 火曜日
相続税財産評価Q&A その2
Q3 財産評価通達には「通常成立すると見込まれる価額」とありますが、売り手の立場と買い手の立場では希望する価額が異なってきますがどの様に考えればいいのでしょうか?
たとえば美術品の場合、売る人の希望と買う人の希望では相当な開きがあるのが普通だと思われます。通常成立すると認められる価額とはいったい何なのでしょうか?
A3 ここでいう価額とは、客観的な交換価値を示す価額です。売り急ぎや買い進みなどの特別な事情は排除するということです。また、客観的な交換価値ですから、売り手と買い手の希望価額が異なる場合には、一般的には、両者が売買に応じるであろう仲値を使うべきであると考えられます。
Q4 財産評価通達1(3)に「その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情」とありますが、どういう事情があるのでしょうか?
A4 財産評価はそれぞれの財産の現況に応じて評価します。評価に当たってはその価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮することとしています。ただし、そもそも評価する財産の時価は客観的な交換価値を示す価格ですから、評価の際に考慮される事情は客観的なものに限られ、所有者の主観的要因などは考慮されません。
たとえば宅地を例にとりますと、例えば借地権、がけ地、不整形地などあらかじめ想定できる事情は財産評価通達に明示してありますが、そのほかに利用価値が著しく低下している次のような宅地が挙げられます。
・道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地と比して著しく高低差のあるもの
・地盤にはなはだしい凹凸がある宅地
・震動のはなはだしい宅地
・上記のほかの宅地で、騒音、日照妨害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等によりその取引価額に影響を受けるものと認められるもの
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