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2016年6月17日 金曜日
相続税財産評価Q&Aその8
Q12 財産評価通達によれば、「宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。)を評価単位とする。」と規定されていますが、「利用の単位」とは、住んでいる人ごとに1単位となるのでしょうか?
A12 ここでいう、「利用の単位」とは、自用地、貸地、貸家の用に供しているといった区分によることとされています。したがって、必ずしも、住んでいる人ごとに、1単位とするものではありません。
① 所有する宅地を自ら使用している場合は、その全体を1画地として評価します。(自用地) なお、宅地の一部を居住の用、他の部分を自らが行う事業の用に供していても、全体を自用地として評価します。また、宅地の一部を自己が使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合も、全体を自用地として評価します。
② 宅地の一部に借地権を設定し、他の部分を自己が使用している場合は、それぞれを1画地として評価します。(自己が使用する部分は自用地、他の部分は貸宅地)。 なお、借地権の設定が複数のものに対して行われている場合は、それぞれについて、1画地として評価します。
③ 宅地の一部を貸家の敷地とし、他の部分を自己が使用している場合は、それぞれを1画地として評価します(自己が使用する部分は自用地、他の部分は貸家建付地)。 なお、貸家が数棟ある場合は、各棟の敷地ごとに1画地として評価します。
Q13 「1画地」と「一団の土地」の違いはなんですか?1画地の土地だが1団の土地ではない場合があるのでしょうか?
A13 土地の価額は、原則として宅地、田、畑、山林等の地目別に評価することとされています。 しかし、一体として利用されている土地が、複数の地目からなる場合は、その土地全体が、そのうち主たる地目からなるものとして、その全体を一つの評価単位として評価します。この場合のその土地全体のことを「一団の土地」といいます。 これは、地目ごとに区分して評価すると、その土地が一体として利用されていることによる効用が評価上表現されなくなってしまうことを回避するためなのです。
一方、「1画地」とは、あくまで宅地の評価に際しての評価単位であり、隣接する複数の筆からなる宅地で、利用状況が同じ場合は、その複数の筆を一つの評価単位とすることになりますが、これを「1画地」といいます。
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|2016年6月14日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその7
Q10 登記簿の地目は農地となっているのですが、現況が次のような場合の地目はどのように判断したらよろしいのでしょうか?
① 現状は工作もせず、放置している状態の土地
② 砂利を敷いて駐車場として利用している土地
A10 財産評価基本通達7では、「地目は課税時期の現況によって判定すると規定されています。
では、Qのような場合はどう判断するのでしょうか。
まず、農地とは、耕作の目的に供される土地をいい、耕作とは、その土地において作物を栽培することをいいます。
また、耕作の目的に供される土地とは、現に耕作に供されている土地はもちろん、現在は耕作されていなくても、客観的に見ていつでも耕作できるような、その現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地をも含むとされています(昭和27年12月29日付27農地第5129号「農地法の施行について」農林事務次官通達第2条関係一)。
したがって、①現状は耕作していなくても、いつでも耕作できるような客観的状態と認められれば、農地として判定します。
また、②の土地のように、駐車場として利用している土地については、原則として雑種地として判定することになります。
Q11 共同ビルの敷地に供されている宅地について、複数に分筆済みの1筆の所有者に相続が発生した場合どのように評価すればいいのでしょうか?
A11 共同ビルの敷地が、共有ではなく分筆され別々の所有者が所有している場合には、下記の方法によります。
① まず、共同ビルの敷地全体を1画地として評価します。
② 次に、分筆された宅地ごとにそれぞれ1画地として個別の評価額を算出します。
③ 最後に①の敷地全体の評価額を、個別の評価額の比で按分することによりそれぞれの筆ごとの評価額を算出します。
複数に分筆された共同ビルの敷地の評価は、面積比ではなく、評価額の比で按分してそれぞれの土地の評価額を算出します。
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|2016年6月7日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその6
Q8 地目の異なる土地が一体として利用されている場合どのように評価するのでしょうか?
A8 土地の評価は、原則として、宅地、田、畑などの9種類の地目別に評価します。この場合の地目は、登記簿上の地目ではなく、課税時期における現況によって判定します。
この地目別の評価という原則に固執しますと、2以上の地目からなる土地を一体利用している場合、一体利用する効用が評価額に反映されなくなります。そのため、2以上の地目を一体として利用している場合は、そのうち「主たる地目」からなるものとして、その一団の土地ごとに評価します。
Q9 A8で2以上の異なる地目の一団の土地を評価する場合、「主たる地目」とは、どのように判断するのでしょうか?
A9 財産評価基本通達7の(注)において、「地目の判定については、不動産登記事務取扱手続準則第117条及び118条に準じて行う。」と規定されています。
その中の第118条においては、「次に掲げる地目は、次の各号により定めるものとする。」と記されていますが、そのうちの一部を取り上げると次のとおりです。
・遊園地、運動場、ゴルフ場及び飛行場については、
イ、建物の利用を主とする建物敷地以外の部分が建物に付随する庭園に過ぎないと認められる場合には、その全部を一段として宅地とする。
ロ、一部に建物がある場合でも、建物敷地以外の土地の利用を主とし、建物はその付随的なものにすぎないと認められるときは、その全部を一団として雑種地とする。ただし、道路、溝渠その他により建物敷地として判然区分し得る状況にあるものは、これを区分して宅地としても差し支えない。
・テニスコート、プールについては、宅地に接続するものは宅地とし、その他は雑種地とする。
・牧畜のために使用する建物の敷地、牧草栽培地及び林地等で牧場内にあるものは、すべて牧場とする。
すなわち、「主たる地目」とは、その個々の物件の利用による効用によって判断されるものであるといえます。
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|2016年5月31日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその5
Q7 財産評価基本通達に規定されている「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる」場合とは、どのような場合なのか説明してください。
A8 財産評価基本通達に定められている路線価等の土地の評価基準は、取扱いの統一と納税者の申告上の便宜の観点から、適正かつ簡易に土地の評価額の算定ができるようあらかじめ定められているものです。そして毎年1月1日を評価時点として評価し、これを1年間を通じて適用することとしています。そのため、評価時点以降課税時期までの間に、時価が著しく下落するなどの理由により、路線価等に基づいた土地等の評価額が課税時期における土地の時価として適正でないということが客観的に明らかになった場合には、個別具体的な検討は必要ですが時価の下落という事情を考慮して評価できるものであると考えられます。
なお、路線価等は、時価公示価格水準の80%程度で算定されていますので、1月1日~課税時期までの間に20%を超える時価下落があった場合には、課税時期における時価が路線価等を下回る結果となり、このような場合には「著しく不適当と認められる」として、評価額を修正することが考えられます。
また、逆に相続開始直前に購入したタワーマンション等で路線価等で評価した金額が、その時価(購入価額等)と比較して著しく低い場合には「著しく不適当と認められる」場合に該当する可能性があります。この場合の時価は、路線価等ではなく購入価額等が適当であると考えられます。タワーマンションによる節税封じにこの通達が適用される可能性は大いにあります。駆け込みの相続対策は危険がいっぱいですのでご注意ください。
そのほかの財産についても種々の場合が考えられます。
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|2016年5月24日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその4
Q6 不動産のうちたな卸資産に該当するものについては、路線価方式など土地または家屋に係る評価方法ではなく、第6章「動産」におけるたな卸資産の評価方法に準じて評価することとされています。土地等がたな卸資産に該当する場合について説明してください。
A6 不動産売買業者の所有する販売を目的とする土地または家屋で、たな卸資産に該当するものについては、その販売業者が課税時期において販売する場合の価額から、その価額のうちに含まれる適正利潤の額及び課税時期から販売の時までにその宅地について負担すると認められる経費の額を控除した金額により評価することになります。
この取り扱いが適用されるのは、その不動産がたな卸資産としての性格を持っていることが必要です。例えば、不動産販売業者に該当しない一般の事業者が、これまで賃貸していたマンションを、たまたま売りに出したようなケースはこれに該当しないものと考えられます。また、不動産業を営む者が、たな卸資産として所有していた不動産を、販売不振のため一時的に賃貸の用に供し、その後改めて商品として販売するようなケースについてはたな卸資産として評価することになるでしょう。
たな卸資産である不動産は、元々販売することを目的として自由な経済取引の対象となっている資産であり、このような性格を有する土地等については、申告上の便宜を考慮して定められている路線価によって評価を行うのではなく、それぞれ日常の取引により明らかである販売価額等に基づいて評価する方が実態に即していると考えられます。したがって土地等を棚卸資産として評価するためには不動産業としての実態が伴っていることが必要であるということになります。
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