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2016年7月22日 金曜日

民法親族編 その4 婚姻

1、未成年者の婚姻
 未成年者が婚姻をする場合は、両親の同意が必要です。父母の一方が同意しない場合や、父母の一方が不明か死亡しているときは、一方の同意だけでも構いません。また同意のない婚姻であっても、届け出が誤って受理された場合には取り消すことはできません。なお、未成年者は婚姻により成年に達したとものとみなされます。
 なお、成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意はひつようありません。

2、婚姻の届出
 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じます。届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければなりません。
また、外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができます。  

3、婚約破棄
 婚約とは、将来、婚姻することを約束する契約のことです。婚姻が本人の意思を重視する以上、婚約を強制的に守らせることはできません。
 婚約が破棄された場合は、婚姻を目的として渡した指輪など金品(いわゆる結納)があれば、これを不当利得として返還を求めることができます。そして、根拠のない一方的な婚約破棄に対しては、慰謝料などを請求できます。

*婚約が破棄された場合、結納の金品については、そもそも婚姻の成立を条件として男性の側から贈与した金品であるので、婚姻が成立しなかった場合には返却しなければなりません。返却しなければ不当利得をしたということで返還義務を負います。

 ところが、婚姻が成立したか否かは、最近の判例では婚姻の届けには限らず実態に即して社会通念によって判断されます。事実上の婚姻関係、すなわち内縁でもよいと考えられています。つまり婚姻届けが提出されていなくとも、事実上の婚姻関係が成立していたと認められれば、婚約破棄にはあたらないわけです。

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2016年7月19日 火曜日

相続税財産評価Q&A その13

Q19 宅地を路線価方式で評価する場合、個々の宅地の路線価に各種の補正を加えて評価していくそうですが、奥行価格補正についてどのようなものか説明してください。

 また、実際に奥行距離を求める場合はどのようにして行うのでしょうか。

A19 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じた「奥行価格補正率表」に定める補正率を乗じて計算した1㎡当たりの価格にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。

 宅地の価額は、路線からの距離が長い部分(奥行きが深い部分)は低くなり、路線からの距離が短い部分(奥行きが浅い部分)は高くなります。また、路線からの距離が短い(奥行きが短い)部分だけしか有しない宅地の価額は標準的な宅地に比較して低くなります。このような宅地の価格形成要素を織り込んで路線価方式による宅地の評価を行う必要があるために、路線価の調整的役割を有しているのが奥行価格補正率です。

 奥行価格補正率は、財産評価通達において付表の1に定められています。宅地の所在する地域の区分ごとに、0.80から1.00まで1%刻みで規定されています。普通住宅地域を例にとると、4メートル未満が最短で0.9となり、4メートル以上から2メートルごとに割合が上昇します。10メートル以上、24メートル未満が1.0で補正がありません。つまりこの長さが普通住宅地区における標準的な宅地の奥行というわけです。24メートル以上から4メートル刻みで0・99から補正が大きくなり100メートル以上で0.8まで補正されます。

 なお、奥行きが100メートルを超える宅地については最大の補正率が固定されていますが、奥行が100メートルを超えるような特異な宅地については、奥行価格補正率による路線価方式による通常の評価は合理的でないとする判例があります。

 奥行距離は、原則として正面路線に対して垂線的な奥行距離によります。ただし、奥行き距離が一様でない不整形地については、その不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積を間口距離で除して求めます。

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2016年7月15日 金曜日

民法親族編その3…婚姻

1、 婚姻
 婚姻は、法律的には男女の間に婚姻の意思があり、戸籍係への届け出がされると成立します。ただし、禁止事項や決まりがいくつかあります。
婚姻も契約の一種です。したがって、男女双方の婚姻の意思が合致することが必要です。当事者に婚姻の意思がない場合には、その婚姻は無効となります。

2、 婚姻適齢.
 男性は18歳、女性は16歳にならなければ婚姻できません。これを婚姻適齢と言います。婚姻年齢に満たない者の婚姻届けが誤って受理された場合には取り消すことができます。ただし、適齢に達した後は本人以外に取り消すことはできません。この本人による取り消し請求は、適齢に達した後3ヵ月以内のみ可能です。

3、 重婚・近親婚の禁止
 配偶者のある者は、重ねて婚姻することはできません。重婚があった場合、後の婚姻は取り消し原因となります。また、前の婚姻関係についても、離婚が認められる原因(離婚原因)になります。

 直系血族や、3親等内の傍系血族の間での婚姻は禁止されています。ここでいう血族には、養親子関係も含まれますが、養子と養方の傍系血族との間の婚姻は禁止されていません。また、直系姻族との婚姻も禁止されています。離婚したり配偶者が死亡して姻族関係が終了した後も、結婚はできません。
 近親婚の禁止に違反した場合には、その婚姻は取り消されます。

4、 待婚期間
 婚姻関係が解消、取り消されたりした場合、女性には待婚期間があります。その解消、取り消しの日から6ヵ月を経過した後でなければ再婚することができませんでした。 これは、こどもの父親が誰かを確定するための制度です。ですから、女性が婚姻の解消、取り消しの前に妊娠していた場合は、出産と同時に待婚期間の規定は適用されなくなります。

*民法改正  女性のみの再婚禁止は法の下の平等に反しないか違憲性が問われる裁判の判決がありました。それを受けて再婚禁止期間は、前婚解消後100日間とされ更に再婚時に懐胎していないことを証明することにより短縮が可能になりました。

 

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2016年7月11日 月曜日

相続税財産評価Q&Aその12

Q18 私道で路線価が付されていない道路にのみ接する宅地を評価する場合には、税務署でその道路について路線価(特定路線価)を設定してもらえるそうですが、その手続きにについて説明してください。

A18 路線価は、不特定多数の者の通行の用に供されている道路に設定しており、いわゆる行き止まりの私道については路線価が付されていません。そこで、そのような宅地を評価する必要があるときは、納税義務者からの申出等に基づいて、その宅地を所轄する税務署長が「特定路線価」を設定することができます。
 
 この特定路線価は、設定しようとする道路に接続する路線及びその道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、その道路の状況、地区の区別等を考慮して評定することとされています。

 具体的な手続きとしては、「特定路線価設定申出書」に設定を必要とする理由、特定路線価により評価する土地、その道路の所在地、状況等の明細、物件案内図、地形図などを記載して税務署長に申し出ることになっています。道路の状況とは、道路幅、舗装の状況、道路の連続性、上下水道との社会資本の整備状況、用途地域等をいい、これらの事情を斟酌することとなります。

 この特定路線価は、路線価の設定されていない道路にのみ接している宅地を評価するための路線価であることから、路線価の設定されていない道路と路線価の設定されている道路とに接している宅地の評価に当たっては、その路線価の設定されていない道路に設定された特定路線価についての「側方路線影響加算」、「二方路線影響加算」または「三方または四方路線影響加算」の適用はありません。つまりこのような場合には「特定路線価」を一切考慮しないということです。

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2016年7月8日 金曜日

民法親族編・・・その2

3、民法上の親族の範囲
 民法では、親族とは6親等内の血族と、3親等内の姻族のことを言います。そして親族でない者を他人と呼びます。なお、配偶者は血族にも姻族にも含まれず、親等もありませんが、親族には含まれます。 親族に含まれた者は、本人やほかの者の意思によって、親族関係から外れたり外したりすることはできません。したがって、どのような非行があったとしても、旧法時代に存在した「勘当」や「義絶」などは認められません。

4、親族関係の成立
 血族関係は、出生および養子縁組によって発生します。婚姻中の父母の間に生まれた子は、父母の両方とも血縁関係をもちます。しかし法律上の婚姻関係にない父母の間に生まれた子(非嫡出子)は、母との間には血族関係が生じますが、父との関係では、認知がない限り血族関係は生じません。認知があれば非嫡出子として親子関係が発生します。 養子や養親の場合でも血族関係は発生しますが、養子の血族と養親の血族との間には血族関係は生じません。

*養子を実子として届け出た場合  
 養子縁組をした場合戸籍上は養子としての記載が残ります。特別養子縁組制度を利用すれば戸籍には実子と変わりなく記載されますが縁組には一定の要件があります。そのため他人の子を貰い受ける場合に、実子として届け出ることがあるそうです。また、未婚女性が子を産んだ場合にこういう方法をとれば、子は非嫡出子として記載されることなく母親も未婚のままです。それで親子関係が終生うまくいけばいいのですが、仲が悪くなったり相続問題が絡んだりすると破綻を招くケースもありえます。養子の場合(特別養子を除く)は離縁することができますが、実子として届け出をしていると離縁できません。

 このような場合、法律的には虚偽の出生届には効果がないものとされ、前述した親子関係不存在の確認の裁判を行えば、裁判所は両者が他人であると判決を下すことになります。ただし、そのような届け出をした責任は親にあり子に慰謝料等の損害賠償を求められる可能性はあり得ます。

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