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2016年8月9日 火曜日
相続税財産評価Q&Aその16
Q23
正面の路線と側方の路線とで地区区分が異なる場合、どのようにして評価をするのでしょうか?例えば正面の路線がビル街区に、側方の路線が高度商業地区に接している場合について説明してください。
A23
地区の異なる二以上の路線に接する宅地の価額は、次のようにして評価します。
① 正面路線の判定
Qの例では、一方がビル街区に、もう一方が高度商業地区に接しています。このような場合の正面路線の判定は、それぞれの路線価に各路線の地区に適用される奥行価格補正率を乗じて計算した金額をもとに判定します。ビル街区に接する路線は、その路線価にビル街区の奥行価格補正率を乗じ、高度商業地区に接する路線は、その路線価に高度商業地区の奥行価格補正率を乗じていずれか高い金額が正面路線になります。
② 実際の宅地の評価
正面路線を決定した後、実際の宅地の評価を行うについては、すべて正面路線の地区の奥行価格補正率を適用して評価します。Qの例ではビル街区が正面路線として判定されたとすれば、側方路線についても、ビル街区の奥行価格補正率及び側方路線影響加算率を適用して計算することになります。
Q24
私の所有する宅地は正面路線に接する部分の間口が2mに満たず、側方路線に接する部分の間口が10mあり実際には側方の路線を出入り口として使用しております。
このような場合でも高いほうを正面路線価として計算するのでしょうか?
A24
財産評価通達によれば、正面路線は、原則として奥行価格補正後の1㎡当たりの価額の高いほうを正面路線としています。「原則として」とあるのは、当然「例外」が考慮される余地を想定しての解釈ができるものと考えます。高いほうの路線の影響を受ける度合いが著しく低い立地条件にある宅地については、実情によりその宅地が影響を受ける度合いが最も高いと認められる路線を正面として差支えないと考えられています。
なお、実際に出入り口として使用しているかどうかはあまり影響しません。
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|2016年8月5日 金曜日
民法親族編 その6 婚姻④
、民法親族編 その6 婚姻④
1、 婚姻の取り消し
法律上の婚姻が成立するためには、まず当事者に婚姻の意思があることが絶対に必要であり、さらにこれに加えて戸籍係への婚姻の届け出が要求されます。
結婚の意思がないというケースなどを除くと、いったん婚姻届が提出されてしまうと、たとえ成立要件が欠けていたとしても、婚姻自体は有効となってしまいます。民法はこのような不合理を是正するため、取り消しの規定を設けています。
婚姻を取り消すことができる原因としては、婚姻適齢に達していない場合、重婚、近親婚、待婚期間内の婚姻、詐欺や強迫による婚姻があります。
2、 無効と取消の違い
無効な婚姻は、判決や審判がなくても当然無効です。婚姻無効の訴えとは、無効であることを確認するために行われるものです。訴えの相手は、夫婦の一方が提起する場合は配偶者になり、第三者が提起する場合は夫婦に、相手が死亡している場合には検察官となります。
しかし婚姻の取り消しの場合は、無効のケースとは異なり判決や審判によってのみ決定されます。その効果は、将来に向かってのもので、遡及性は認められません。つまり、過去何年に遡って婚姻が取り消されるということはないわけです。したがって、取消の効果は離婚と同じものになり、扱いも同様です。子の監護や復氏、財産分与、祭祀財産の承継などは、すべて離婚の規定が準用されます。
*重婚、詐欺や強迫による婚姻は、婚姻の取り消しの原因に挙げられていますが、当然に無効とすべきではないのか個人的には疑問が残ります。詐欺の立証は難しいのかもしれませんが、無効と取消の違いを考えると釈然としません。
3、夫婦の氏
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称します。夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができます。
4、同居、協力及び扶助の義務
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないこととされています。
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|2016年8月1日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその15
相続税財産評価その15
Q22
正面の路線の他に側方の路線に接するいわゆる角地の評価については、どのような補正をするのかその理由も併せて説明してください。
A22
正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」といいます。)の価額は、次の①と②の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
① 正面路線(原則として奥行価格補正を行って求めた1㎡当たりの価額の高い方の路線をいいます。)の路線価に基づき計算した価額
② 側方路線(正面路線以外の路線をいう)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づき計算した価額に財産評価基本通達付表2の側方路線影響加算率表に求める加算率を乗じて計算した価額
角地についてこのような加算を行う理由は、角地は、正面と側面に異なる2系統の路線があるため、利用間口が大きくなって出入りの便がよくなるほか、採光、通風にも有利になるため、側方路線の影響を受け正面路線だけに接する画地よりも価額が高くなると考えられています。
また、角地であるが故の有利さのうち、通風採光に好都合という点は、宅地をどのように利用するにあたっても必ずプラスの要素となるが、ビル街区や高度商業地区では、出入りの便が良くなって、異なる系統の路線における人の流れを容易に吸収することができるが、閑静を必要とする住宅地では、必ずしも大きなプラスの要素となるものではないと考えられ、したがって、側方路線影響加算率もその宅地がどのような地区に存在しているかによって、異にすることとされています。
なお、準角地は、角地が異なる2系統の路線が交差する地点に位置するのとは異なり、1系統の路線の屈折部の内側に位置するものであり、通風採光の有利さも人の出入りの便利さも角地の場合に比べて低下すると考えられています。したがって、側方路線影響加算率は、角地の場合より低く定められています。
*純角地・・・交差点ではなく単に1系統の路線の屈折部に位置する角地
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|2016年7月29日 金曜日
民法親族編 その5 婚姻③
民法親族編 その5 婚姻③
1、 婚姻の無効
当事者に婚姻の意思がないのに婚姻届が出されてもその婚姻が無効であることは当然です。そのほかに、人違いなどのとき、当事者が婚姻の届け出をしないときなどは、民法では婚姻は無効とされます。
人違いとは、相手方についての同一性を誤った場合のことです。相手方の資産や健康、社会的地位について見誤ったことなどは無効の理由になりません。当事者に結婚の意思がないときとは、当事者が一時的な精神異常の状態や、心神喪失の状態で婚姻届を出した場合や、他人に強制されて意思決定の自由を失っていた場合などがあたります。このようなケースでは、当事者に明確な結婚の意思があったとはいえず、その婚姻は無効としています。
*仲人の嘘八百でまとめられた婚姻
仲人の口車に乗り、うかうか結婚したため痛い目ににあったという話を聞きます。結婚の意思がこの仲人の大げさな説得によって生まれ、もしそんなことがなければ結婚するはずがなかったという場合はどうなるのでしょうか?とにかく結婚の合意があったわけですから、無効とすることはできません。ただし、このことが婚姻を継続できない重大な理由になるというのであれば、離婚の理由となるし、当事者双方が合意さえすれば、協議離婚をすることもできます。
それでは口車に乗せた仲人の責任追及はできるのでしょうか?結婚詐欺と全くケースはちがっており、この仲人を詐欺だということはできません。仲人が詐欺の片棒を担ぐときは共犯となる場合もありますが、たんに結婚話をまとめるための方便であるのでもちろん詐欺とはなりません。
2、追認
無効な婚姻でも当事者が追認すると有効な婚姻となるかは議論のあるところです。しかし判例は、内縁関係にある当事者の一方が、相手に無断で婚姻届を提出した事例で、共同生活が維持されていることを前提として、無効な婚姻の追認を認め、「婚姻届の提出をしたときに遡って有効」としました。
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|2016年7月25日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその14
Q20
正面に接する路線に2種類の異なる路線価が設定されている場合、どのように評価すればいいのでしょうか?
A20
一の路線に二以上の路線価が付されている場合には、それぞれの路線価に接する距離に応じて加重平均して正面路線価を求め、この正面路線価を基に奥行価格補正等の画地補正を行って評価することとしています。
*例 40万円のA路線に10メートル、45万円のB路線に15メートル接している場合は、次のように計算します。
(40万円×10m+45万円×15m)÷(10m+15m)=43万円となります。
Q21
普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区のように、2以上の地区にまたがった宅地の評価はどのように行えばいいのでしょうか?
A21
二以上の地区にまたがった路線に接する宅地の評価は、原則として面積等に応じていずれか一の地区を判定し、判定した地区の画地調整率によって評価することとされています。
具体的には、面積の広い地区に所在するものとし、その地区区分に応じた画地調整率を用います。また、正面路線価は二以上付されているのでA20のとおり接する距離に応じて加重平均して算出します。
ただし、それぞれの地区ごとに合理的に区分し、それぞれの地区の画地調整率を用いて評価しその合計額をもって算出することができる場合には、その方法によっても差し支えないこととされています。Qの場合は、普通商業・併用地区内の路線価に対し同地区の奥行価格低減率を乗じてその地区内の地積を乗じます。次に普通住宅地区でも同様に路線価に同地区の奥行価格逓減率を乗じて地区内の地積を乗じます。それぞれの評価額の合計がその宅地の評価額となります。
したがって、実務的には両方の方法で評価していずれか有利な方法を選択することとなります。
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