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2018年6月4日 月曜日
相続税財産評価Q&A84 営業権①
相続税財産評価 営業権①
Q84.
私は、創業以来30年間経常的に利益を生じており、知名度もかなり高い甲社の株主です。甲社の株式(取引相場のない株式)を子に贈与しようと思いますが、株式の評価において営業権について考慮する必要がありますか。営業権を評価しなければならない場合とは、どのような場合でしょうか?
A84
営業権は、有償取得のものであるか自家創設のものであるかを問わず相続税財産評価の対象となります。
営業権とは、通常暖簾、老舗等と呼ばれる企業の財産のひとつです。営業権としては、法律的な営業権と超過収益力を背景とする営業権等があると言われています。会計学上は、他から買いれた場合等に限って資産に計上することとされていますが、相続税法においては、財産評価の客観性の見地から、有償取得のものであるか自家創設のものであるかを問わず評価の対象としています。
質問の場合を考えてみますと、甲社は、創業以来30年間経常的に利益を生じており、知名度も高いとのことですから、規模などにもよるとは思われますが営業権を考慮することが必要であり、甲社の株式の評価において営業権を計上し計算する可能性があるもとのと考えられます。
相続税財産評価通達における営業権は次の算式によって計算した金額とされています。
平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05 =超過利益金額
超過利益金額×営業権の持続年数(原則10年)に応ずる基準年利率による福利年金現価率=営業権の価額
(注) 医師、弁護士等のようにその者の技術、手腕又は才能等を主とする事業に係る営業権で、その事業者の死亡と共に消滅するものは、評価しません。
超過利益金額の計算方法ですが、その企業の過去3年の実績による平均利益金額の50%を対象としています。これは、過去の実績から将来の収益力を評価するため評価上の安全性を斟酌して50%と減額したものと考えられています。そこから、経営者の取り分として企業者報酬額を控除した金額がその企業の収益力とされます。一方通常の企業の収益力(利益率)を総資産価額の5%と仮定し、これを超える金額が超過収益力とされています。
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|2018年6月1日 金曜日
相続税の延納制度
◆相続税は条件付きだが分割払いができる
国税は、金銭で一括納付することが原則ですが、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請によりその納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
この制度を「延納」といいますが、要件があり、担保の提供が必要であり、利子税の納付が必要となります。
◆延納の要件は?
以下のすべての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
①相続税の納期限までに、延納申請書を提出すること
②相続税額が10万円を超えること
③一度に金銭で納付することが困難な理由があること
④延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること
ただし、④の要件は延納税額が100万円以下で、延納期間が3年以下である場合は必要ありません。
◆担保の種類は様々
延納の担保として提供できる財産は、国債地方債社債・有価証券・土地建物立木・自動車船舶機械・財団等様々です。また、保証人の保証でもかまいません。ただし税務署が延納申請者の提供する担保が適当でないと判断すれば、その変更を求める場合があります。
◆延納期間と利子税の仕組みは複雑です
延納期間は原則5年ですが、相続財産に占める不動産等の価額の割合や相続財産の内容により異なります。利子税の計算は、不動産等の割合によって決まる「延納利子税割合」と年によって変動する基準「延納特例基準割合」を用いているため、利率が一定ではありません。
相続税額にもよりますが、利子税だけで高額となる場合もあるので、内容によっては銀行融資を受けて一括納付した方が有利になる可能性もあります。また、延納額を繰り上げて納付すれば支払うべき利子税は下がるので、対策を検討しましょう。
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|2018年5月28日 月曜日
相続税財産評価Q&A83 動産③
相続税財産評価 動産③
Q83
私の父は以前からマリンスポーツの愛好者で、レジャーボートを何隻か所有しております。レジャーボートは個人の趣向があり、同じ型というものはあまりありません。そのため売買実例価額、精通者意見価格等が明らかではありません。このような場合精通者意見価格にならいボート製造業者等の意見によるもので評価してよいでしょうか。
A83
「一般動産」と同じ方法(原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価)によって評価します。
ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない船舶については、そのレジャーボート等と同種・同規格のものを課税時期において新造する場合における価額(そのレジャーボートと同種・同規格の新品がない場合には、そのレジャーボートと機能を同じくするもののうちそのレジャーボートに最も類似する船舶)から、そのレジャーボートの建造時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)に応ずる償却費の合計額または減価の額を控除した価額によって評価します。なお、償却方法は定率法とされ、その耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数によります。
質問のような場合売買実例価額等が明らかでないためただし書きによりますが、一番のポイントは、新造する場合の価額をどう評価したらよいかということかと思われます。これは個別の要因が多く、①各メーカー、販売店又は契約者により個別に販売価額を聴取する、②現在製造していない船舶、ぎ装品及び特注品については、同種同程度の他のメーカーの船舶を参考に価額を決定することも一つの考え方かと思われます。また、結果として、ボート製造業者の意見を参考として新造する場合の価額を決定し、償却費の額または減価の額を控除することもあり得ると思われます。
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|2018年5月25日 金曜日
【時事解説】後継者人材バンクを活用した事業承継支援
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
わが国の企業数は減少傾向にあり、とくに小規模企業の減少が顕著となっています。
小規模企業の廃業の主な要因の一つに、事業を継続させたい意向があるにもかかわらず、後継者不在を理由に廃業せざるをえない企業の存在があげられます。
中小企業庁「事業承継ガイドライン」では、小規模企業に対して創業希望者と後継者不在の小規模企業とをマッチングさせるといった「創業との連携」の重要性が指摘されています。
こうした中、国は2011年度から後継者不在に悩む中小企業に対して、第三者への承継(引継ぎ)を支援するため、各都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置し支援を行っています。そして一部の事業引継ぎ支援センターにおいて、2014年度から後継者人材バンク事業を開始しています。後継者人材バンクとは後継者不在の小規模事業者(主として個人事業主)と創業を志す個人起業家をマッチングする事業であり、個人事業主の後継者問題の解決と創業の促進を同時に図ることを狙いとしています。
後継者人材バンクのメリットとして、起業家にとっては顧客や販売先、仕入先、店舗等の経営資源や、地域における知名度、経営ノウハウ等の無形資産を引き継ぐため起業に伴うリスクを低く抑えることができます。また、後継者不在の事業者にとっては、後継者問題を解消し事業の継続を図ることで、従業員の雇用や取引先との取引を継続することができます。
一方で、起業家にとってはゼロからの起業と比較すると相対的に経営の自由度が低くなるとともに、現経営者と経営方針のすり合わせを行う必要がある点に留意する必要があります。
では、後継者人材バンクでは具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。
そこで長野県事業引継ぎ支援センターで運営されている「長野県後継者バンク」を活用した事業承継の事例として、長野県中小企業振興センター「中小企業経営支援事例集」でも紹介されているペンションオードヴィー(所在地:長野県山ノ内町、従業員数2名)の事例をみていきましょう。
長野県後継者バンクでは、譲渡希望者の事業としてペンション等の宿泊事業者が多いこと、これらの事業の譲受希望者の中には都市部から脱サラしてくる人が多いことを受けて、長野県中小企業振興センター内に設置される創業サポートオフィスや商工会議所・商工会以外に、東京・大阪・名古屋に設置されている移住交流センターにも相談窓口を設けています。
ペンションオードヴィーは、奥志賀高原において1998年に開業して以降、安定した経営を続けてきました。しかし、後継者がいないこともあって代表者が気力・体力の衰えを感じるようになる中、引き継いでくれる人を探すために同バンクに譲渡希望者として登録するに至りました。
その後、ペンション経営を若い頃からの夢とし準備を進めてきた横浜市在住の会社員が長野県後継者バンクに譲受希望者として登録したのを契機に、事前調査を経て両者の引き合わせが行われました。譲渡希望者の経営方針・姿勢が譲受希望者と合致したことから、口頭による基本合意を経て、その後無事に事業の引継ぎに至りました。
このように後継者人材バンクによる事業承継にあたっては、譲渡・譲受希望者の双方の間で経営理念や想いが共有されることが重要となるのです。
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|2018年5月21日 月曜日
財産評価Q&A82 動産②書画骨董
財産評価Q&A 動産②書画骨董
Q82
美術品の鑑定において、鑑定人が鑑定した金額であれば、その金額がたとえいかなる金額であろうとも、その金額を評価額とすれば認められるでしょうか?
A82
販売目的で所有する書画骨とう品以外の書画骨とう品の評価は、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して評価することになっています。したがって、鑑定人が鑑定した金額は、あくまでも評価上、参考にすべきものであり、絶対的なものではありません。
鑑定人が数人いれば、その全員が全く同一の鑑定額を出すかといえば.必ずしもそうとは言いきれないでしょう。つまり、鑑定人の鑑定額や美術年鑑、あるいは同種のものの売買実例等を総合的に考慮した上で、評価すべきだと思います。
ただ、参考とするものが鑑定人の鑑定額以外に人手することが困難な場合は、それを評価額としても認められると思われます。
Q82-2
最近買ったばかりの書画骨とうは、その購入の際の領収証の金額で評価してもよいでしょうか。
A82-2
基本的には購入先と特別な利害関係がない限り、その購入時の領収証の金額で評価してもよいと思います。ただ、ここで問題となるのは何年前までのものならよいかということです。書画骨とうとは、年月を経ることにより、その価値が増加又は減少するものもあれば、変わらないものもあります(つまり、10年前に買った金額と、現在の売買実例価額と差がないものもあれば、大きく変わっているものもあるでしょう。)。したがって、何年前までのものならよいとは、一概に言えませんが、目安としてはおおよそ3年以内であれば、特別の事情がない限り、その領収証の金額で評価してもよいのではないかと考えます。
3年以上経過しているものは、やはり、精通者の意見や、現在の売買実例等を総合的に考慮し評価すべきでしょう。現実的には、購入先の美術商等から見積もりをとればよろしいと思います。
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