財産評価
2016年11月8日 火曜日
相続税財産評価Q&A27
相続税財産評価Q&A27
Q37
丘陵地帯を切り開いて造成した宅地等で、がけ地を有する場合には、がけ地補正率による減額がうけられると聞きました。この場合どの程度の傾斜からがけ地とみなして補正の対象とするのでしょうか?また、がけ地の傾斜度によって補正率がどのように異なってくるのでしょうか?
A37
我が国は傾斜地が多く、山や丘陵を切り開いて造成した宅地も多くみうけられます。「宅地造成等規制法」は市街地等においてがけ崩れや土砂の流出を生ずるおそれの著しい区域を宅地造成工事規制区域と定め、この区域内での宅地造成工事を規制しています。
傾斜地の場合、開発をして平坦な画地をつくりだしても、隣接の土地との境界部には高低が生じ、そこに傾斜部分がどうしても残ることになります。「宅地造成等規制法」ではこの傾斜部分のうち、「がけ」は地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいうと定義されています。
また、「東京都建築安全条例」では「がけ」部分を有する土地の建築に際して、擁壁等の安全基準を規定していますが、ここでも斜面の勾配を30度によって擁壁等の設置について区分しています。
したがって、一般的には「がけ」は、地表面が水平面に対し30度を超える土地と考えられています。
通常「がけ」上の画地が「がけ」を所有し、構造的に安全基準を満たす擁壁等を設置しますが、水平面に対し垂直に作れば「がけ」上の画地の有効利用部分は最大になります。そのように考えると、30度を超える「がけ地」に傾斜角度によって補正率を変える必要はなく、「がけ地補正率表」の適用通り総面積に対してがけ地部分の面積で補正するだけでいいものと考えられます。
実務上がけ地の評価では、がけ地部分の地積割合が30%未満なら、がけ地補正ではなく「利用価値の著しく低下している宅地」として評価するほうが有利な場合があるので必ず比較検討が必要です。
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