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2017年7月10日 月曜日
相続税財産評価Q&A56 地上権
相続税財産評価 地上権
Q71
区分地上権に準ずる地役権には、具体的にどのようなものがありますか?また、登記されていなくとも権利が生じていれば相続税財産評価の対象となりますか?
A71
民法では、「地下又は空間は、上下の範囲を定め工作物を所有するため、これを地上権の目的となすことを得」とし、地下鉄等のトンネルや高架線など、地下空中利用の場合の権利として区分地上権を定めています。
区分地上権は部分地上権、地下権、空中権ともいわれ、土地の立体的利用を効率化するために土地の上下各層が別個の主体によって利用されることを物権的に保護しています。
区分地上権に準ずる地役権とは、「特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のために地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するもの」をいい、区分地上権と同様の法的効果を有するものと解せられます。
相続税の財産評価通達においては、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地(地役権の設定された土地)である宅地の自用地としての価額に、設定内容に応じた土地利用制限率を機とした割合を乗じた金額によって評価します。また、実務上簡便法も認められています。
区分地上権に準ずる地役権は、建造物の設置等の制限をする物件であり、登記することにより第三者に対抗することができます。実務上まったく建築ができない場合等に地役権の登記をすることが多いようです。
区分地上権に準ずる地役権が登記されていない場合の地役権の評価については、電気事業者と土地所有者間の送電線の設置目的のための債権契約の場合、賃借権として取り扱われ、高圧線下の土地は評価減されること、また、民法は不動産の登記には公信力を認めていないことなどから、登記の有無にかかわらず、実際に区分地上権に準ずる地役権が存在していれば 相続財産となり、承役地については評価減が認められることになります。
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|2017年7月7日 金曜日
国税庁:2015事務年度の相続税の調査事績を公表!
国税庁は、2016年6月までの1年間(2015事務年度)の相続税の調査事績を公表しました。
それによりますと、2013年中に発生した相続を中心に、申告額がありながら無申告と思われるものなど1万1,935件(前事務年度比3.8%減)を実地調査しました。
そのうち81.8%に当たる9,761件(同3.8%減)から3,004億円(同8.8%減)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税80億円を含む583億円(同12.9%減)を追徴課税しました。
実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2,517万円(前事務年度比5.3%減)、追徴税額489万円(同9.5%減)となりました。
また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1,250件(同0.6%減)あり、その重加算税賦課対象額は458億円(同5.9%増)、重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1,250件/申告漏れ等の非違件数9,761件)は12.8%(同0.4ポイント増)となりました。
申告漏れ相続財産の内訳をみてみますと、現金・預貯金等が1,036億円(前事務年度1,158億円)で全体の35.2%を占めて最多となり、続いて土地が410億円(同414億円、構成比12.4%)、有価証券が364億円(同490億円、同13.9%)、家屋が64億円(同54億円、同2.2%)の順となり、その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)が1,071億円(同1,125億円、同36.3%)となりました。
一方、申告・納税義務があるのにもかかわらず申告しない無申告事案については、前事務年度より0.6%少ない863件の実地調査を行い、そのうち655件(前事務年度比0.9%減)から824億円(同6.0%減)の申告漏れ課税価格を把握し、53億円(同26.2%減)を追徴課税しました。
そして、1件当たりの申告漏れ課税価格は9,543万円となり、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2,517万円の約3.8倍にのぼりました。
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|2017年7月3日 月曜日
相続税財産評価Q&A55 借地権③
相続税財産評価 借地権③
Q70
被相続人が所有する自宅家屋の敷地については、相続人である子が所有していますが、親子間なので地代のやり取りはなく、敷地の固定資産税を被相続人が負担する程度でいわゆる使用貸借によるものです。このような場合にも借地権を相続財産として計上しなければなりませんか?
A70
いわゆる使用貸借の場合、使用に伴う権利(使用借権)は、借地法借家法で保護されないため税務上はゼロとして評価され、敷地は自用地として評価されます。ところが、質問の用に子の土地の上に親が建物を建てている場合は、下記のようなケースが想定され要注意です。
元々被相続人は他人の土地を借地して建物を建てていたところ、借地人から要請があり底地を買いとる場合は多く見受けられます。この底地の買取りの際に借地人自身ではなく子が買い取る場合があります。借地人が高齢だったり、買取り時の経済状況だったりといった理由から珍しくはありません。
そしてここから税務上の注意が必要です。購入後は親子間なので使用貸借により地代のやり取りをしないことが多くあります。ところが使用貸借にすると借地権はゼロで底地は自用地の評価となり、もともと借地人が有していた借地権が底地購入者である子に贈与したことになってしまいます。そこで、贈与税が課されないように税務上は借地人と底地所有者と連名で「借地権者の地位に変更がない旨の届出」を提出することとなります。これにより、借地権はかわらず借地人が所有するものとし、底地は借地権を控除したいわゆる貸宅地として評価することにされます。
このような場合には、税務上底地購入時に贈与税こそ課されませんが、借地権は親が変わらず所有するものとされ、親の相続開始時に建物および借地権が相続財産として相続税の課税対象となります。実務上借地権の計上漏れがないよう、土地の購入時期より建物の建築時期が古い場合には、相続人からその経緯を聞き出すことが必要です。
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