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2017年6月30日 金曜日
平成29年度税制改正 資産課税編 その6
「特定の事業用資産の買換え等の課税の特例の延長等」
(1)目的
企業の設備更新・事業再編の円滑化、産業空洞化の防止や、土地の流動化・有効利用の促進、土地等の資産デフレからの完全な脱却を図り、地方圏の活性化に資するものであり、引き続き措置する必要があります。
(2)概要
① 長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した場合において、譲渡した事業用資産の譲渡益について課税の繰延べ(繰延率80%等)を認めている現行措置を3年間延長します。
②既成市街地等の内から外への買換えについて、譲渡資産から事務所として使用されている建物等又はその敷地の用に供されている土地等を、買換資産から都市再生特別措置法の立地適正化計画を作成した市町村のその立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にあるその立地適正化計画に記載された誘導施設に係る土地等、建物及び構築物を、それぞれ除外することとされました。その他所要の見直しが行われています。
(3)適用時期
①の規定は、適用期限を平成32年3月31日まで、②の規定は平成32年12月31日までそれぞれ3年延長されました。
「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」
適用期限を平成31年12月31日まで3年延長されました。
「短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例」
適用停止措置の期限が平成32年3月31日まで3年延長されました。
「登録免許税の税率の軽減措置の延長」
(1)土地の売買による所有権の移転登記等に対する税率を1.5%とする軽減措置の適用期限を、平成31年3月31日まで2年延長することとされました。
(2)住宅用家屋の所有権の保存登記の税率を0.15%、住宅用家屋の所有権の移転登記の税率を0.3%、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する税率を0.1%とする軽減措置の適用期限を、平成32年3月31日まで3年間延長することとされました。
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|2017年6月26日 月曜日
相続税財産評価Q&A54 借地権②
相続税財産評価 借地権②
Q69
財産評価通達27のただし書きによれば、借地権は、その「取引慣行があると認められる地域」以外では評価しなくてよいのですか?また、「取引慣行があると認められる地域」以外の地域とは具体的にどのような地域なのでしょうか?
A69
借地権は、それ自体が取引の対象とされ、また、借地契約に際し一定の権利金の授受が慣行化していることからその経済的価値に着目して財産として課税対象とされています。そのため借地権の「取引慣行があると認められる地域」以外の地域では評価しないこととされています。また、そのような地域でも貸宅地を評価する場合においては、借地権割合を20%として計算した借地権の価額を控除して評価することとされています(Q59参照)。
相続税財産評価上の借地権の取引慣行があると認められる地域とは、国税庁が定める路線価図にAからGの借地権割合が付されている地域および倍率表に借地権割合が記載されている地域であり、路線価図にAからGの記号がない地域および倍率表に借地権割合の記載がない地域が「取引慣行があると認められる地域」以外の地域とされています。
具体的には、借地法借家法の適用のある借地権という権利があっても、借地権価格が成立していない地域で、借地権の設定にあたって権利金等の授受所慣行がない地域、借地権付き建物の売買にあたって、その価格は建物価格のみの価格で、借地権が取引の対象に含まれない地域、建物が不要になった場合に取り壊して地主に無償で返還することが当然とされている地域等が取引慣行がない地域に該当します。
無償で借りたものは無償で返還する。また、不要になったものは返却するのが当たり前である、と考えている土地柄で、現在でも多くの地域で見ることができます。財産評価通達のただし書きは、このような地域性を示したもので、経済的に借り得があっても地域性として借地権の取引慣行がない場合を認めているものと考えます。
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|2017年6月23日 金曜日
国税庁 広大地評価見直し案 意見公募
国税庁は、財産評価通達の一部改正案についてパブリックコメントを実施しています。
内容は、広大地評価の見直しですが、現行の「広大地評価」を廃止し、新たに「地積規模の大きな宅地の評価」を新設する大きな改正案です。新たに設けられる「地積規模の大きな宅地の評価」については、要件を明確にするため基本的に面積のみにしぼり、評価方法も規模格差補正率を乗じて算出する方法としています。
減額割合は、基本的に面積に比例し、最大でも0.716となり広大地の最大0.35とは大きな違いとなります。ただし、広大地評価の場合と異なり、財産評価通達15「奥行価格補正」から全項「不整形地の評価」までを適用した価額に規模格差補正率を乗じることとされています。
現行の広大地の場合、奥行や不整形など形状は考慮されず、一律で割合を規定した欠陥を改めたものといえます。要件も補正率も地積の広さのみに絞られ、不動産鑑定評価上の面大地に近い評価方法といえます。
この改正により、要件が明確化され、減額方法も不動産の個別性を考慮したものとなれば、現在の広大地の適用を巡る多くの不毛な裁判等がなくなるものと思われます。ただ、個人的には、これによって規模格差補正と重複して適用されることとなる「不整形地の減額割合」が実際の形状に比して少し低いのではないかと不満に思っています。
財産評価通達新旧対照表(案)
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|2017年6月19日 月曜日
相続税財産評価Q&A53 借地権①
相続税財産評価 借地権①
Q68
相続税の財産評価では借地権はどのように定義づけられていますか?また、借地権の評価は、必ず国税庁が定める借地権割合により評価しなければならないのでしょうか?
A68
借地権とは、借地借家法により、「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいう」と定義されています。したがって、建物所有を目的としない駐車場等は含まれません。その範囲は財産評価通達9に示され、定期借地権等は一般の借地権とは別の評価方法によることとされています。そして、地上権や賃借権ではない使用貸借契約に基づくものも借地権としては取り扱いません。
また、不動産鑑定評価基準では、「借地権の価格は、借地法に基づき土地を使用収益することにより借地人に帰属する経済的利益を貨幣額で表示したものである。」と定義されています。
財産評価基本通達は、借地権価格については、自用地の価格に借地権割合を乗じて評価しますが、これは自用地の価格に対して一定の割合で借地権の売買価格が決定されているとの認識の基にその割合を示したもので、地代の低さによる借り得部分も考慮したものと考えられています。
おおむね、借地権について売買が成立している地域(取引慣行がある地域)については地代が地価に対して低廉であり、今後も低廉な状態が継続するであろうと予測されることから、借り得は、価格割合以上発生していると思われますが、例外的に極めて高額な地代を収受している場合もあり、その場合不動産鑑定評価において借地権価格は割合価格より低くなる可能性もあります。しかしながら、基本通達は「割合を乗じて計算した金額によって評価する」としています。
なお、最近の不動産市場においては、地主との関係のわずらわしさ等から借地権の取引に際して売買当事者が合意する借地権割合(借地権の売買においては更地価格でまず合意し、次に借地権割合により価格を決定する場合が多い。)は国税庁が定めている借地権割合を下回る確率が高いと考えられています。
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|2017年6月16日 金曜日
「法定相続情報証明制度」が平成29年5月29日からスタート
相続にかかる必要情報を証明書1通にまとめ、さまざまな手続きを簡便化する「法定相続情報証明制度」が平成29年5月29日からスタートしました。以下の記事をご覧ください。
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