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2016年7月29日 金曜日
民法親族編 その5 婚姻③
民法親族編 その5 婚姻③
1、 婚姻の無効
当事者に婚姻の意思がないのに婚姻届が出されてもその婚姻が無効であることは当然です。そのほかに、人違いなどのとき、当事者が婚姻の届け出をしないときなどは、民法では婚姻は無効とされます。
人違いとは、相手方についての同一性を誤った場合のことです。相手方の資産や健康、社会的地位について見誤ったことなどは無効の理由になりません。当事者に結婚の意思がないときとは、当事者が一時的な精神異常の状態や、心神喪失の状態で婚姻届を出した場合や、他人に強制されて意思決定の自由を失っていた場合などがあたります。このようなケースでは、当事者に明確な結婚の意思があったとはいえず、その婚姻は無効としています。
*仲人の嘘八百でまとめられた婚姻
仲人の口車に乗り、うかうか結婚したため痛い目ににあったという話を聞きます。結婚の意思がこの仲人の大げさな説得によって生まれ、もしそんなことがなければ結婚するはずがなかったという場合はどうなるのでしょうか?とにかく結婚の合意があったわけですから、無効とすることはできません。ただし、このことが婚姻を継続できない重大な理由になるというのであれば、離婚の理由となるし、当事者双方が合意さえすれば、協議離婚をすることもできます。
それでは口車に乗せた仲人の責任追及はできるのでしょうか?結婚詐欺と全くケースはちがっており、この仲人を詐欺だということはできません。仲人が詐欺の片棒を担ぐときは共犯となる場合もありますが、たんに結婚話をまとめるための方便であるのでもちろん詐欺とはなりません。
2、追認
無効な婚姻でも当事者が追認すると有効な婚姻となるかは議論のあるところです。しかし判例は、内縁関係にある当事者の一方が、相手に無断で婚姻届を提出した事例で、共同生活が維持されていることを前提として、無効な婚姻の追認を認め、「婚姻届の提出をしたときに遡って有効」としました。
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|2016年7月25日 月曜日
相続税財産評価Q&Aその14
Q20
正面に接する路線に2種類の異なる路線価が設定されている場合、どのように評価すればいいのでしょうか?
A20
一の路線に二以上の路線価が付されている場合には、それぞれの路線価に接する距離に応じて加重平均して正面路線価を求め、この正面路線価を基に奥行価格補正等の画地補正を行って評価することとしています。
*例 40万円のA路線に10メートル、45万円のB路線に15メートル接している場合は、次のように計算します。
(40万円×10m+45万円×15m)÷(10m+15m)=43万円となります。
Q21
普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区のように、2以上の地区にまたがった宅地の評価はどのように行えばいいのでしょうか?
A21
二以上の地区にまたがった路線に接する宅地の評価は、原則として面積等に応じていずれか一の地区を判定し、判定した地区の画地調整率によって評価することとされています。
具体的には、面積の広い地区に所在するものとし、その地区区分に応じた画地調整率を用います。また、正面路線価は二以上付されているのでA20のとおり接する距離に応じて加重平均して算出します。
ただし、それぞれの地区ごとに合理的に区分し、それぞれの地区の画地調整率を用いて評価しその合計額をもって算出することができる場合には、その方法によっても差し支えないこととされています。Qの場合は、普通商業・併用地区内の路線価に対し同地区の奥行価格低減率を乗じてその地区内の地積を乗じます。次に普通住宅地区でも同様に路線価に同地区の奥行価格逓減率を乗じて地区内の地積を乗じます。それぞれの評価額の合計がその宅地の評価額となります。
したがって、実務的には両方の方法で評価していずれか有利な方法を選択することとなります。
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|2016年7月22日 金曜日
民法親族編 その4 婚姻
1、未成年者の婚姻
未成年者が婚姻をする場合は、両親の同意が必要です。父母の一方が同意しない場合や、父母の一方が不明か死亡しているときは、一方の同意だけでも構いません。また同意のない婚姻であっても、届け出が誤って受理された場合には取り消すことはできません。なお、未成年者は婚姻により成年に達したとものとみなされます。
なお、成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意はひつようありません。
2、婚姻の届出
婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じます。届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければなりません。
また、外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができます。
3、婚約破棄
婚約とは、将来、婚姻することを約束する契約のことです。婚姻が本人の意思を重視する以上、婚約を強制的に守らせることはできません。
婚約が破棄された場合は、婚姻を目的として渡した指輪など金品(いわゆる結納)があれば、これを不当利得として返還を求めることができます。そして、根拠のない一方的な婚約破棄に対しては、慰謝料などを請求できます。
*婚約が破棄された場合、結納の金品については、そもそも婚姻の成立を条件として男性の側から贈与した金品であるので、婚姻が成立しなかった場合には返却しなければなりません。返却しなければ不当利得をしたということで返還義務を負います。
ところが、婚姻が成立したか否かは、最近の判例では婚姻の届けには限らず実態に即して社会通念によって判断されます。事実上の婚姻関係、すなわち内縁でもよいと考えられています。つまり婚姻届けが提出されていなくとも、事実上の婚姻関係が成立していたと認められれば、婚約破棄にはあたらないわけです。
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|2016年7月19日 火曜日
相続税財産評価Q&A その13
Q19 宅地を路線価方式で評価する場合、個々の宅地の路線価に各種の補正を加えて評価していくそうですが、奥行価格補正についてどのようなものか説明してください。
また、実際に奥行距離を求める場合はどのようにして行うのでしょうか。
A19 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じた「奥行価格補正率表」に定める補正率を乗じて計算した1㎡当たりの価格にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
宅地の価額は、路線からの距離が長い部分(奥行きが深い部分)は低くなり、路線からの距離が短い部分(奥行きが浅い部分)は高くなります。また、路線からの距離が短い(奥行きが短い)部分だけしか有しない宅地の価額は標準的な宅地に比較して低くなります。このような宅地の価格形成要素を織り込んで路線価方式による宅地の評価を行う必要があるために、路線価の調整的役割を有しているのが奥行価格補正率です。
奥行価格補正率は、財産評価通達において付表の1に定められています。宅地の所在する地域の区分ごとに、0.80から1.00まで1%刻みで規定されています。普通住宅地域を例にとると、4メートル未満が最短で0.9となり、4メートル以上から2メートルごとに割合が上昇します。10メートル以上、24メートル未満が1.0で補正がありません。つまりこの長さが普通住宅地区における標準的な宅地の奥行というわけです。24メートル以上から4メートル刻みで0・99から補正が大きくなり100メートル以上で0.8まで補正されます。
なお、奥行きが100メートルを超える宅地については最大の補正率が固定されていますが、奥行が100メートルを超えるような特異な宅地については、奥行価格補正率による路線価方式による通常の評価は合理的でないとする判例があります。
奥行距離は、原則として正面路線に対して垂線的な奥行距離によります。ただし、奥行き距離が一様でない不整形地については、その不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積を間口距離で除して求めます。
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|2016年7月15日 金曜日
民法親族編その3…婚姻
1、 婚姻
婚姻は、法律的には男女の間に婚姻の意思があり、戸籍係への届け出がされると成立します。ただし、禁止事項や決まりがいくつかあります。
婚姻も契約の一種です。したがって、男女双方の婚姻の意思が合致することが必要です。当事者に婚姻の意思がない場合には、その婚姻は無効となります。
2、 婚姻適齢.
男性は18歳、女性は16歳にならなければ婚姻できません。これを婚姻適齢と言います。婚姻年齢に満たない者の婚姻届けが誤って受理された場合には取り消すことができます。ただし、適齢に達した後は本人以外に取り消すことはできません。この本人による取り消し請求は、適齢に達した後3ヵ月以内のみ可能です。
3、 重婚・近親婚の禁止
配偶者のある者は、重ねて婚姻することはできません。重婚があった場合、後の婚姻は取り消し原因となります。また、前の婚姻関係についても、離婚が認められる原因(離婚原因)になります。
直系血族や、3親等内の傍系血族の間での婚姻は禁止されています。ここでいう血族には、養親子関係も含まれますが、養子と養方の傍系血族との間の婚姻は禁止されていません。また、直系姻族との婚姻も禁止されています。離婚したり配偶者が死亡して姻族関係が終了した後も、結婚はできません。
近親婚の禁止に違反した場合には、その婚姻は取り消されます。
4、 待婚期間
婚姻関係が解消、取り消されたりした場合、女性には待婚期間があります。その解消、取り消しの日から6ヵ月を経過した後でなければ再婚することができませんでした。 これは、こどもの父親が誰かを確定するための制度です。ですから、女性が婚姻の解消、取り消しの前に妊娠していた場合は、出産と同時に待婚期間の規定は適用されなくなります。
*民法改正 女性のみの再婚禁止は法の下の平等に反しないか違憲性が問われる裁判の判決がありました。それを受けて再婚禁止期間は、前婚解消後100日間とされ更に再婚時に懐胎していないことを証明することにより短縮が可能になりました。
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