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2018年6月22日 金曜日
国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!
国税庁は、2016事務年度(2017年6月までの1年間)の富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など)に対する調査事績を公表しました。
それによりますと、2016事務年度に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は7,612件(前事務年度7,445件)行われ、実地調査の結果、申告漏れ所得金額の総額は1,406億円(前事務年度1,465億円)となりました。
追徴税額は、総額146億円(同150億円)で、1件あたり192万円(同202万円)となりました。
2016事務年度は実地調査全体(特別・一般)が4万9,012件行われておりますので、全体の約16%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査全体の申告漏れ所得金額4,499億円の約31%が無申告者に係るものとなりました。
1件あたりの申告漏れ所得金額は1,847万円で、前事務年度の1,968万円から6.1%減少したものの、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額918万円の約2倍増となり、調査件数も前事務年度に比べて2.2%増加しました。
また、消費税の無申告者に対しては、2016事務年度において実地調査(特別・一般)8,816件(前事務年度8,119件)が行われた結果、追徴税額135億円で、1件あたり153万円となりました。
2016事務年度の消費税に係る実地調査全体は2万8,211件行われておりますので、全体の約31%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査全体の追徴税額221億円の約61%が無申告者に係るものになります。
調査事例では、数年おきに他人名義で所得税の申告を行うことで、自身が実質所得者であることを隠し、消費税の課税を不正に免れていた高級バーを営む事例があります。
事業者Aは、消費税が無申告だけでなく、自身が負担する友人名義の所得税申告に係る所得税を減らすため、現金売上の除外や各経費の計上などを行っていた事実も判明され、Aに対して所得税7年分の申告漏れ所得金額約5,300万円について重加算税込みの約1,000万円の追徴税額及び消費税5年分の重加算税込みの約1,400万円が追徴されております。
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|2018年6月18日 月曜日
相続税財産評価Q&A86 上場株式
相続税財産評価Q&A 上場株式
Q86
父が死亡し、上場株式を兄が相続しましたが、相続税の納税資金が必要で兄が相続した上場株式の一部を私が買い取ることにしました。この場合、この特に節税を意図するわけではなく売買するわけですが、それでも相続税財産評価通達169(2)に規定する「個人間の対価を伴う取引」に該当するのでしょうか。また、その場合は、どのようにこの上場株式の売買価額を決めればよいでしょうか。
A86
親子間であれ、兄弟間であれ、上場株式を個人間で対価を伴い取引したものについては、たとえ節税を意図としたものでなくともこれが個人間の対価を伴う取引に当たらないとする例外的条文はありません。したがって、通達どおりの解釈がされると思われ、これにより取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融証券取引所(国内の2以上の金融証券取引所に上場されている株式については、納税義務者が選択した金融証券取引所とする。)が公表する課税時期の最終価格のみによって評価します。つまり、一般の上場株式の評価とは異なり、課税時期の属する月以前3か月間の各月の毎日の最終価格の月平均は採用しないということになります。
これは、一般の相続や贈与により取得した上場株式の価額の評価に当たっては、これが偶発的な無償取得という特殊な形態の財産移転であることもあり、証券取引所の取引価格が相当変動することに配慮し、評価上の斟酌として、課税時期の属する月以前3か月間の各月の毎日の最終価格の月平均額をも考慮することとしていますが、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式については、一般の売買取引に準じた対価を伴う経済取引行為であり、取引のタイミングも当事者同士の合意で決定することが可能であるためこのような場合には上記のような評価上の勘酌は必要ないとされたものです。
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|2018年6月15日 金曜日
物納制度の財産順位
◆相続税の物納制度とは
国税は金銭で納付する事が原則ですが、相続税については延納(税金の分割払い。ただし利子がかかる)によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。
ただし物納することのできる財産には「順位」があり、1位の財産を保有していた場合は、2位3位の財産より先に物納にあてなくてはなりません。
◆物納にあてることのできる財産順位改正
現在の物納にあてることのできる財産順位は、
第1位 不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式等
第2位 非上場株式等
第3位 動産
となっています。平成29年4月1日から、以前は第2位だった上場株式等が第1位に格上げされています。
◆価格変動リスクを避けるための改正
上場株式等は価格変動リスクが高く、さらに相続の遺産分割協議等が終わるまで、譲渡しにくい実態があります。上場株式等の物納が過去の財産順位第2位であると、相続時から申告期限までの10か月の間に、急激に価格が下がった場合、納税資金が確保できなくなる上に、不動産等の上位の財産があるため物納にも使用不可、という事態もありました。
今回の改正によって、上場株式等の物納にあてることができる財産順位が1位となったため、相続時点の時価(または3か月間の平均額)が納める資産の価値としてみなされ、大幅な下落があった場合の救済措置として利用できるのです。
◆納付を困難とする金額でないと利用不可
ただし、最初に書いた通り「延納でも納付を困難とする金額」がある場合に限り物納制度が利用可能です。納税資金がある場合は活用できない可能性が高いので、ご留意ください。
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|2018年6月11日 月曜日
相続税財産評価Q&A85 営業権②
相続税財産評価 営業権②
Q85
営業権が相続財産に加味されるのは、相当に収益力のある企業に限られるそうですが、具体的にはどのような条件がありますか?
A85
平均利益金額が5,000万円以下の場合は、標準企業者報酬額が平均利益金額の2分の1以上の金額となるので、営業権の価額は算出されません。また、平均利益の2分の1が、総資産価額の5%を超える場合に超える金額が対象となるので、総資産利益率が10%を超える企業でないと超過収益力は生じません。
営業権の算式・・・平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05 =超過利益金額 *Q84参照
(1) 平均利益金額
平均利益金額は、課税時期の属する年の前年以前3年間(法人にあっては、課税時期の直前期末以前3年間)における所得の金額の合計額の3分の1に相当する金額(その金額が、課税時期の属する年の前年(法人にあっては、課税時期の直前期末以前1年間。)の所得の金額を超える場合には、課税時期の属する年の前年の所得の金額)とされます。この場合における所得の金額は、所得税法第27条第2項に規定する事業所得の金額(法人にあっては、法人税法第22条第1項に規定する所得の金額に損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額。)とし、その所得の金額の計算の基礎に次に掲げる金額が含まれているときは、これらの金額は、いずれもなかったものとみなして計算した場合の所得の金額とされます。
イ 非経常的な損益の額
ロ 借入金等に対する支払利子の額及び社債発行差金の償却費の額
ハ 青色事業専従者給与額又は事業専従者控除額(法人にあっては、損金に算入された役員給与の額)
(2) 標準企業者報酬額
標準企業者報酬額は、次に掲げる平均利益金額の区分に応じ、次に掲げる算式により計算した金額とされます。
平均利益金額の区分 標準企業者報酬額
1億円以下 平均利益金額 x 0.3 + 1,000万円
1億円超 3億円以下 平均利益金額 x 0.2 + 2,000万円
3億円超 5億円以下 平均利益金額 x 0.1 + 5,000万円
5億円超 平均利益金額 x 0.05 + 7,500万円
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|2018年6月8日 金曜日
生命保険の契約者変更に注意!
2015年度税制改正において保険に関する調書制度の見直しが行われ、「保険会社は、保険契約者の死亡により契約者の変更が行われた場合や生命保険契約等の一時金の支払いが行われた場合には、契約変更等の情報を記載した調書を作成し税務署に提出すること」とされたため、2018年1月1日以後の生命保険の契約者変更は税務署に把握されます。
保険金が支払われれば保険会社から税務署に支払調書が提出されますが、これまでは契約者変更だけでは支払調書は発生せず、納税者自ら申告しない限り税務署が契約者変更の事実の把握はできませんでした。
しかし、同制度の見直しにより、契約者変更を前提に保険加入したケースなどは課税関係にご注意ください。
例えば、親が契約者で子が被保険者というケース、子が契約者及び被保険者で親が保険料負担者というケースでは、親が死亡しても保険金は支払われませんが、解約返戻金等相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産やみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。
しかし、保険金が支払われないことから申告漏れが多く、保険会社から支払調書も提出されないこともあって、国税当局による把握も難しいとされておりました。
その影響もあってか、2015年度税制改正において生命保険に関する調書制度の見直しが行われましたので、2018年1月1日以降の生命保険の契約者変更は税務署に把握されております。
また、生命保険の契約者と被保険者が異なるケースで契約者が死亡した場合には、保険契約は相続人等に引き継がれて継続することになります。
その後、保険事故が発生して保険金が支払われた場合、保険金受取人は保険金から自分が支払った保険料を差し引いて所得計算することになりますが、その際、契約変更前の契約者が支払った保険料も経費に含めてしまう誤りがよくあるといいます。
その契約者たる地位に基づいて保険契約を解約し、解約返戻金を取得した場合には、保険契約者はその解約返戻金相当額を保険料負担者から贈与により取得したものとみなされて贈与税が課税されますので、あわせてご確認ください。
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