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菅原会計事務所 オフィシャルブログ

2018年11月30日 金曜日

自筆証書遺言保管制度の新設と遺言書の方式緩和

◆自筆証書遺言保管制度の新設
 平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。
 新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。

◆紛失・改ざんなどのリスク
 自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。

◆相続手続きと相続税申告をスムーズに
 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。なお、保管制度の施行日は今後政令で定められることになりますが、施行前には法務局に遺言書の保管を申請することはできませんのでご注意ください。

◆遺言書の方式緩和
 現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。
 財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。この改正は平成31年1月13日から施行されます。

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2018年11月16日 金曜日

再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所は、再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表しました。
 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。

 概要によりますと、2017年度(2018年3月までの1年間)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.9%となりました。
 再調査の請求の発生件数は、消費税(30.8%増の633件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から8.4%増の1,814件となりました。
 処理件数は、「取下げ等」208件、「却下」200件、「棄却」1,105件、「一部取消」173件、「全部取消」40件の合計1,726件(前年度比4.4%減)で、納税者の主張が一部でも認められたのは計213件、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を5.5ポイント上回る12.3%となりました。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(63.1%増の910件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から18.7%増の2,953件となりました。
 処理件数は、「取下げ」247件、「却下」186件、「棄却」1840件、「一部取消」148件、「全部取消」54件の合計2,475件(前年度比26.3%増)で、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.1ポイント減の8.2%と大きく減少しました。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(32.5%減の54件)や法人税(21.1%減の30件)などが減少したことから、全体では前年度を13.5%下回る199件となりました。
 訴訟の終結件数は、「取下げ等」18件、「却下」17件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」10件、「国の全部敗訴」11件の合計210件(前年度比14.3%減)で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.5ポイント増の10.0%と大きく上昇しました。

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2018年11月2日 金曜日

固定資産税評価額 家屋の減価と時価評価

◆家屋の評価替え
 家屋の固定資産税評価額は評価替えされることなく、据え置かれることになっている、と理解している人は多いかと思います。
 でも、家屋も3年毎の基準年度とされる年に全国一斉に評価替えされます。今年は新基準年度の年です。
 評価替えされるのは、時価課税するとの法律の規定があるからです。

◆税額に直結する家屋の評価額
 家屋の固定資産税の課税標準は固定資産税評価額そのものです。その評価額は、各年の1月1日の価格とされ、それは「適正な時価」とされています。
 家屋の「適正な時価」とは何か、これについてあまり議論がありません。土地と異なり公示価格のような公的指標がありません。そのため、家屋評価の「適正な時価」概念は曖昧です。

◆「適正な時価」の求め方
 固定資産税の一つである償却資産税も時価課税とされていますが、これについては、取得価額から減価償却額を控除した金額を以って時価としています。
 土地については、売買実例価格を集約することを原理とする公示価格に基礎を置いています。
 木造家屋については、売買実例価格を基礎にしたのでは、急速に無評価化となる実態があるので、これは採用されていません。
 家屋の時価評価は、1月1日の時点で、その家屋を、その場に新築し直した場合に必要とされる再建築価格を求め、この価格から経年損耗減価の額を差し引くという方式が採られています。

◆経年減価補正率の適正性は
 再建築価格に乗ずる経年減価補正率を見ると、木造の場合、最初の1年経過後の1月1日の時に2割減価し、その後の25年間で6割減価し、その後27年以降は減価させない、としています。もし、1円まで減価償却をするとした場合、最後の償却率を維持したとして、木造の耐用年数は47年、非木造の耐用年数は156年です。
 木造27年、非木造45年以降のところで減価処理は0.2で打ち止めとなります。
 時価課税という法律規定の原理を支える適正時価の評価方式は果たしてこれでよいのか、疑問です。

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2018年10月26日 金曜日

基準地価、バブル以来27年ぶり上昇

記事提供:エヌピー通信社

 国土交通省が公表した2018年の基準地価によれば、今年の全国の地価の平均(全用途)は前年度比0.1%上昇し、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇となりました。前年まで8年連続でマイナス幅を縮小し、17年は0.3%の下落にとどめていましたが、とうとうプラスに転じたことになります。
 東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地で前年比0.7%、商業地で4.2%、工業地で2.1%と、それぞれ前年に引き続いての上昇となりました。

 全国の地価上昇を押し上げた最大の要因は、三大都市圏よりもむしろ地方中枢都市です。札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4都市は、住宅地で3.9%、商業地に至っては前年比9.2%という三大都市圏をはるかにしのぐ伸びを示しました。

 また中枢都市以外に、人気の観光地を抱える自治体の地価上昇も著しいものでした。全国の地価上昇率ランキングを見ると、スキーリゾートとして外国人に人気の高いニセコを抱える北海道倶知安町が上位3位を独占し、20%台後半から45%とすさまじい上昇率を誇っています。また国内観光客にも人気の高い京都も4地点がランクインし、東京や大阪をしのぐ伸びを見せました。

 一方、中枢都市や観光地以外の地方都市に目を向けると、マイナス幅は縮小しているものの下落が続いています。住宅地では0.9%、商業地でも0.6%の落ち込みを示し、上昇が続く都市圏とは対照的に、地価の二極化傾向をくっきり表す結果となりました。

 基準地価は毎年7月1日時点での全国の地価を表したもの。1月時点での地価を調査する公示地価と補完し合う関係となっています。

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2018年10月12日 金曜日

2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

 2017年度税制改正において、国外財産に対する相続・贈与の納税義務の範囲については、国際的租税回避行為の抑制等の観点から、相続人(受贈者)が日本に住所を有せず、日本国籍を有しない場合でも、被相続人(贈与者)が10年以内に日本に住所があったときは、国内・国外双方の財産が相続税・贈与税の課税対象になるように見直されました。
 しかし、この見直しに対する強い批判を踏まえ、2018年度税制改正において、再度見直しがされました。

 そもそも、改正は課税逃れ防止を目的としたものですが、一方で、高度外国人材の受入れ促進のため、日本国籍を有さずに、一時滞在(国内に住所がある期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)している場合の相続・遺贈の係る相続税は、国内財産のみが課税対象とされました。
 しかし、引退後に母国に戻った外国人が死亡した場合にまで、国外財産に日本の相続税を課すのはどうなのかとの声もありました。

 そして、2018年度税制改正において、相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった時前15年以内において、国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないことになりました。
 この場合の被相続人又は贈与者は、その期間引き続き日本国籍を有していなかった者であって、その相続開始又は贈与の時において国内に住所を有していないものに限ります。

 ただし、その贈与者が、国内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおけるその国外財産に係る贈与税については、この限りではないとされます。
 なお、この改正は、2018年4月1日以後に相続・遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されますので、該当されます方はご確認ください。

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