菅原会計事務所 オフィシャルブログ
2017年9月29日 金曜日
国税庁:空き家の譲渡特例通達の趣旨説明を公表!
2016年度税制改正において、相続した空き家を一定要件のもと譲渡した場合に、居住用財産の譲渡所得の特別控除に該当する譲渡とみなして同控除を適用する特例が創設されました。
そして、国税庁は、その取扱いを定めた通達の主要改正事項の趣旨説明を公表しました。
同特例は、相続開始直前に被相続人のみが居住していた1981年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)及びその敷地で、相続の開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること、譲渡価額が1億円を超えないこと、譲渡をする家屋・土地は、相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用に使われていないことを適用要件に、居住用財産譲渡の場合、3,000万円の特別控除が適用できます。
通達の趣旨説明をみてみますと、特例は、家屋とその敷地の両方を相続等により取得した場合に限り適用され、被相続人居住用家屋のみ又は被相続人居住用家屋の敷地等のみを取得した場合は適用されないことになります。
例えば、相続人所有の敷地に被相続人が所有し居住していた家屋の場合、相続人が相続により、その家屋を取得したとしても、取得したのは家屋のみであるため、適用はないと説明しております。
また、相続した家屋・敷地が店舗併用住宅の場合、適用対象は被相続人の居住用部分のみとなり、相続の時後の増築等により、被相続人居住用家屋の床面積が増減した場合でも、相続開始直前の被相続人居住用家屋の床面積を基に特例の対象となる居住用部分を判定します。
なお、店舗兼住宅であっても、居住部分がおおむね90%以上である場合は、家屋・敷地の全部を居住用部分として取り扱える旨を明らかにしており、被相続人居住用の家屋・敷地の譲渡が、相続のときから譲渡のときまで事業用、貸付用、居住用に使われていないことがこの特例の適用要件とされているため、「一時的な利用」であっても要件を満たさないとしております。
また、貸付用には、賃貸借により有償で貸し付けられているものばかりでなく、使用貸借により無償で貸し付けられていたものも含むとしておりますので、該当されます方は、ご確認ください。
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|2017年9月15日 金曜日
東京都:大規模建築物の固定資産評価方法の見直しを提言!
東京都は、大規模建築物の新たな固定資産評価方法を検討してきた「固定資産評価に関する検討会」の報告書を公表し、国に対して大規模建築物の固定資産評価方法の見直しについての提言を行いました。
これまで、都内で建築されている大規模・複合用途の建物について評価する場合、建物の完成から評価完了までに長い期間を要するうえ、評価の方法が納税者に分かりにくいなどの課題が指摘されておりました。
現在の家屋の固定資産税評価方法である再建築価格方式は、1963年度に固定資産評価基準で定められ、翌年度から適用されましたが、この再建築価格方式は、高層ビルから戸建て住宅まで家屋の規模や用途にかかわらず全ての家屋に一律に適用され、家屋の建築に使われた資材の価格を積み上げて評価する方法で、新たな工法や資材に対応するなど何度も改正が行われてきました。
しかし、近年増加傾向にある都心部・臨海部に建築されているオフィスやホテル等の入る複合用途の大規模事業用建築物を現行の評価方法で評価する場合、約5万点の建築資材を確認して評価基準にあてはめるなど、評価が困難で複雑な判断を伴う課題が生じておりました。
さらに、通常、竣工から評価完了までに2年近くを要することから評価に長期間を要することや、評価方法が納税者に分かりにくいことなどの課題も生じておりました。
このため、東京都では現行の評価方法と同等な価格を求める「新たな評価方法」について検討を行ってきました。
今回提言された「新たな評価方法」とは、現行の家屋の評価方法(再建築価格方式)が、建物に使用されている資材の価格を部分ごとに積み上げていく方法であるのに対して、1棟の家屋の中で取得価額(工事原価)等を基に算出する方法と現行の評価方法を併用するものです。
具体的には、建築設備などとくに「評価が困難で、長期間を要する部分」のみを取得価額活用方式(取得価額(工事原価)を基に算出する)で評価して、その他の部分は、現行の評価方法(部分別評価方式)で算出します。
「部分評価と取得価額活用方式等を併用する方法」が最も有効な方法とみており、東京都は、国との連携を図りながら、2021年度からの評価方法の見直しを目指しているとのことで、今後の動向が注目されます。
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|2017年9月8日 金曜日
受験者数減… 最近の税理士試験事情
◆7年間で3割減少した税理士試験申込者数
毎年8月は、年に一度の税理士試験。今年(第67回)も全国14か所の試験会場で8月8日~10日の日程で実施されました。台風5号の影響もあり、悪天候の中で試験に臨まれた方も多かったはず。受験生のみなさんは本当にお疲れさまでした。
国税審議会公表の今回の受験申込数は4.1万人。他の資格試験同様に、税理士試験も減少傾向にあります。平成23年には約6万人の申込みがありましたので、7年の間に約7割に減少したということになります。
◆働きながら1.4科目受験が一般的受験者像
税理士試験は、よく「働きながら受けることができる資格試験」の代表格といわれています。この試験が「科目選択制度」と「科目合格制度」という特徴を持っているからです。税理士試験は11科目中5科目合格すればよい試験。必ず選択しなければならない「必修科目」(簿記論・財務諸表論)や、どちらかを選択しなければならない「選択必修科目」(法人税法又は所得税法)はありますが、基本的には難易度や勉強量、将来の必要性に応じ、受験のプランニングができます。科目の合格率は10~15%ですが、5科目といってもすべて同時に受験する必要はなく、一度合格した科目に有効期限はありません。そのため、働きながら一科目ずつ確実に合格していけばよいわけです(昨年の平均受験科目数は1.38科目)。病気、転職、子育てや介護などで勉強を中断しても受験を続けることもできます。
今年で67年も実施されているという実績があることから、一科目合格でも、履歴書に書くことができるのは魅力の一つです。
◆HPから読める?若者は長い受験期間を敬遠
このような試験であることから、税理士試験は「受験期間が長くなりがち」という一面をもっています。資格専門学校は「短期合格」を宣伝していますが、国税庁HPの統計を読めば、容易でないことはわかります(机上では、年受験科目数1.38×合格率12%=期待値約0.17。5科目÷0.17=なんと約29年)。10年以上の合格などザラ。これでは若い方に敬遠されてしまいます。
実際、41歳以上の受験生の5年間の統計は1.1万人と横ばいですが、25歳以下の受験生は7.7千人から4.5千人と約4割減(会計科目受験生も4割減です)。最近は若い税理士の中で、大学院に通った「試験免除組」が増えている気がします。
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