菅原会計事務所 オフィシャルブログ
2019年2月1日 金曜日
不動産所得の事業的規模とされる判断基準とは?
アパートやマンションを賃貸して得た不動産所得は、その貸付が事業的規模と認められるか否かによって、所得税の取扱いが異なります。
事業的規模と認められますと、事業専従者給与の経費算入や65万円の青色申告特別控除が可能なほか、業務用資産の取壊し、除却など損失の全額の経費算入、賃料収入などが回収不能となった場合の貸倒損失がその年分の必要経費になります。
例えば、家賃が回収不能なことが明らかとなったとき、事業的規模でない場合には、収入として計上した年の所得から、なかったものとして取り扱われますが、事業的規模であれば、その未回収家賃をその年の必要経費として計上して、所得から差し引くことができます。
事業的規模とされる判断基準ですが、一般的には、貸付資産の規模や賃貸料の収入状況などの要素を総合的に勘案して判断します。
実務的には、独立家屋の貸付はおおむね5棟以上、貸間・アパートなどは独立した室数がおおむね10室以上という形式的な基準(いわゆる5棟10室基準)が設けられております。
物件を共有している場合は共有物件全体で判断し、貸室と貸家の両方を所有している場合は貸室2室を貸家1棟として、駐車場は5台分を貸室1室にそれぞれ換算して、基準を満たせば事業的規模となります。
したがいまして、50台(10室相当)以上の駐車場業であれば事業として認められますが、50台以下であっても、管理状況や関与する人員などによって事業として認められるケースがあります。
あくまでも5棟10室基準は簡便な判定方法であり、実際には実態を総合的に勘案して判断します。
なお、事業的規模になりますと、各都道府県が課税する個人事業税の対象となり、青色申告特別控除額(65万円の控除)を差し引く前の所得から、290万円を差し引いた残額の5%が課税されます。
また、事業的規模の不動産オーナーで、各種特典を受けるためには家賃収入や経費などを帳簿に記帳する必要があり、作成した帳簿は原則7年間の保存義務がありますので、該当されます方はご注意ください。
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|2019年1月25日 金曜日
国税にバレバレ、調査で不正発覚
記事提供:エヌピー通信社
国税庁が公表した所得税調査の実績報告によると、2017年7月からの1年間の実地調査7万2953件のうち、申告漏れなどの非違が見つかったのは6万338件で、調査を受けた人の8割以上が何らかの問題点を指摘されました。近年は仮想通貨や民泊に絡んだ税逃れなど、新しい形の事例も報告されています。厳しい調査の末にどのような申告漏れがばれてしまったのか、仮想通貨と民泊が絡むふたつの不正事例を紹介します。
会社員Aは多数の仮想通貨取引所に自分名義と妻名義の口座を開設し、自分で開発した自動売買プログラムを利用して多額の利益を得ていました。その儲けを確定申告期には申告せず、期限後になって修正申告。しかしその所得は儲けの一部に過ぎず、自分名義の取引の一部と妻名義の口座での取引の全ての利益は隠していたところ、追徴課税を受けました。申告漏れ所得金額は1年で5千万円。加算税込みの追徴税額2400万円。
また、会社員Bは所有物件や賃貸物件を民泊専門の国外ウェブサイトにアップし、主に外国人に貸し出し、国外の民泊仲介業者経由で宿泊料を受け取っていました。毎年、給与所得のほかに少額または赤字の不動産所得を申告していたものの、その不動産所得は民泊収入の一部に過ぎませんでした。顧問税理士には民泊による年間収入金額より過少になる賃貸契約書を渡し、民泊収入の存在を把握させないようにしていたそうです。申告漏れ所得金額は5年で2600万円。加算税込みの追徴税額700万円(重加算税あり)。
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|2019年1月11日 金曜日
仮想通貨の相続税申告が簡素化
記事提供:エヌピー通信社
国税庁は11月下旬、相続で仮想通貨を取得した時の申告方法を簡素化することを発表しました。これまで仮想通貨の相続税申告については統一された取り扱いが定められていなかったため、相続人が各交換業者のサイトにログインするなどして残高を調べるしかありませんでした。
国税庁が定めた新たな方法では、相続で仮想通貨を得た相続人は、各交換業者に仮想通貨の残高証明書の交付を依頼できるようになります。業者は依頼に基づき、相続開始日における残高証明書や取引明細書を発行し、相続人は各業者から交付された証明書を税理士に渡すことで相続税の申告書を作成するというもの。
また国税庁は同時に、仮想通貨の税務上の取り扱いについてのQ&Aも発表しました。仮想通貨を売却した時や交換した時、仮想通貨で給与を支払った時などの税務処理を解説しています。それによれば、相続で仮想通貨を得た時の評価方法は、市場で取引され、継続的に価格情報が提供されているようなものについては、相続発生時点での市場価格に準じます。
一方、活発な市場が存在せず客観的な交換価値を示すデータがない仮想通貨については、「仮想通貨の内容や性質、取引実態などを勘案し、個別に評価する」としています。
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|2018年12月28日 金曜日
年末年始休業のお知らせ
12月29日(土)から1月6日(日)まで休業とさせていただきます。
新年は1月7日(月)より通常通り営業いたしますのでよろしくお願いします。
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|2018年12月21日 金曜日
国税庁が海外口座55万件の情報入手
記事提供:エヌピー通信社
国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。
「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。
地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。
現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。
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