菅原会計事務所 オフィシャルブログ
2019年8月23日 金曜日
空き家特例で老人ホーム等入所の具体的な確認事項を公表!
国土交通省は、2019年度税制改正において、相続した空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、2019年4月1日以降の譲渡から、要介護認定等を受け、被相続人が相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していた場合も、一定要件を満たせば適用対象となり、適用期限も4年延長されましたが、その一定要件について、具体的な確認事項を明示しました。
老人ホームに入所していた場合の具体的な要件は、
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと
②被相続人が老人ホーム等に入所をしたときから相続の開始の直前まで、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこととされております。
上記②の確認事項は、
(a)電気、水道又はガスの契約名義(支払人)及び使用中止日が確認できる書類
(b)老人ホーム等が保有する外出、外泊等の記録
(c)その他、要件を満たすことを容易に認めることができる書類のいずれかとしております。
具体的に(a)は、支払い証明書、料金請求書、領収書、お客様情報の開示請求に対する回答書、通帳の写し又はクレジットカードの利用明細(最終の料金引渡し日が分かるもの)などをいいます。
(b)は、例として、家屋を宛先住所とする被相続人宛の郵便物等や電気、水道又はガスの家屋の一定使用は認められますが、事業の用等に供されていないことが確認できていない場合の書類として、市区町村が認める者が家屋の管理を行っていたことの証明書、不動産所得がないことを確認するための地方税の所得証明書等明細(最終の料金引き落とし日が分かるもの)などを示しております。
国土交通省は、被相続人居住用家屋確認書の申請時における提出書類(介護保険の被保険者証等の写しや老人ホーム等が保有する書類、電気、ガスの使用中止日が確認できる書類など)については、相続後や家屋・敷地の譲渡後に入手が難しいものもあるため、特例適用の検討段階において早めに準備するよう呼びかけておりますので、該当されます方はご確認ください。
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|2019年8月2日 金曜日
不動産の譲渡所得が9年連続増加
記事提供:エヌピー通信社
国税庁はこのほど、2018年に土地や建物を売った人の譲渡所得の合計金額が5兆円を超え、9年連続でプラスを記録したと発表しました。譲渡所得が伸び続ける背景には、近年続く地価の上昇傾向があり、土地の値段が上がるということは、相続税対策の重要性がますます高まっていることを意味します。
昨年に確定申告書を提出した人のうち、土地や建物を売却して所得を得た人は35万3千人でした。その所得の合計金額は5兆328億円で前年から5.8%伸び、9年連続のプラスを記録しています。
譲渡所得の伸びの背景にあるのは、近年の地価の上昇傾向です。国交省が3月に発表した最新の公示地価では、全国の地価は前年から1.2%上昇し、4年連続で上昇しました。住宅地ではリーマン・ショック以来、初の上昇に転じた前年からプラス幅を拡大し、地方圏では全用途でバブル期以来27年ぶりのプラスに転じるなど、これまでは都市部にとどまっていた地価の上昇傾向が、ついに全国に波及しつつあります。こうした全国的な地価の高騰が、そのまま土地・建物の譲渡所得の伸びにつながっていると言えます。
地価の上昇はそのエリアの経済に好影響を与える一方で、不動産オーナーの相続対策という観点から見ると素直に喜べない面もあります。相続で受け継がれた土地が財産としての価額を計算される際には、公示地価や現場での取引相場などを基に算定されます。つまり地価の上昇は、そのまま相続税負担の増加となって表れるからです。
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|2019年7月26日 金曜日
個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
2019年度税制改正において、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設されました。
2018年度税制改正において、事業承継税制が抜本的に拡充されたことで、2017年度に年間400件程度の法人向け事業承継税制の認定件数が、拡充後は年間4,000件にのぼり、個人事業者についても円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保のため、個人版事業承継税制が創設されます。
新制度は、2019年1月から2028年12月31日までの10年間限定で、相続人が相続等により事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を100%猶予します。
既存の事業用小規模宅地特例との選択制となり、この税制を活用するためには、中小企業経営承継円滑化法に基づく認定が必要で、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された事業用資産の承継前後の経営見通し等の記載のある「承継計画」に記載された者である必要があります。
「承継計画」は、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年以内に、あらかじめ都道府県に提出する必要があります。
対象となる事業用資産とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供されていた土地(面積400平方メートルまでの部分に限る)、建物(床面積800平方メートルまでの部分に限る)及び建物以外の減価償却資産(固定資産税又は営業用として自動車税や軽自動車税の課税対象となっているものその他これらに準ずるものに限る)で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものをいいます。
なお、被相続人は相続開始前において、相続人は相続開始後において、それぞれ青色申告の承認を受けていなければならず、相続人は、相続税の申告期限から3年ごとに継続届出書を税務署長に提出する必要があります。
また、贈与税の納税猶予制度も創設されており、受贈者が18歳(2022年3月31日までの贈与は20歳)以上の者に限られ、猶予税額の納付、免除等は相続税の納税猶予制度と同様となっておりますので、該当されます方はご確認ください。
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|2019年7月12日 金曜日
2019年度税制改正:事業用小規模宅地等の特例の適用要件を見直し!
小規模宅地等の特例は、事業用、居住用宅地等の相続税の課税価格を8割又は5割減額して相続人の事業や居住の継続等への配慮を目的に創設された制度ですが、2018年度税制改正においては、一定の要件に該当する「家なき子特例」とともに、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等が制度の適用から除外されました。
そして、2019年度税制改正においては、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等が除外され、すでに2019年4月1日以後に相続や遺贈により取得する宅地等の相続税から適用されております。
ただし、その宅地に該当する場合であっても、その宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、その宅地等の相続時の価額の15%以上である場合の事業を行っていた被相続人等の事業の用に供されたものである場合には、特例の適用対象とされ、その特例が適用される事業用資産が明示されておりますので、ご確認ください。
具体的には、建物(附属設備を含む)又は構築物および所得税法2条1項19号に規定する減価償却資産(機械及び装置、車両及び運搬具、工具、器具及び備品等)をいいます。
一連の改正の背景には、会計検査院によりますと、小規模宅地等の特例を適用した者の中には相続後、短期間で宅地等を譲渡していた者が多数いたことが実態調査により明らかになったことを踏まえ、事業や居住の継続への配慮という政策目的に沿ったものとなっていないとの指摘がありました。
具体的には、会計検査院は2017年11月、相続により取得した土地等の財産を相続税の申告期限の翌日以降3年を経過するまでに譲渡していた2,907人の適用状況を調査した結果、243人が小規模宅地等の特例を適用しており、そのうち相続人が相続税の申告期限から1年以内に譲渡していたものが約6割の163件あり、1ヵ月以内に譲渡していたものが22件ありました。
相続税の特定事業用の小規模宅地等の特例の適用要件が、税制改正において、厳しく見直されておりますので、該当されます方はご注意ください。
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|2019年6月28日 金曜日
消費税改正に向けた住宅ローン控除周辺の改正
◆住宅ローン控除は平準化を目指し改正
消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化の観点から、住宅ローン控除についての改正が行われます。
2019年10月から20年12月までに入居する住宅で、消費税が10%となる住宅については、控除期間が現行の10年から13年に延長されます。
・1~10年目:住宅ローン年末残高×1%(※最大40万円)
・11~13年目:次のいずれか少ない金額
①住宅ローン年末残高×1%
②取得価額(※最大4000万円)×2%÷3
※長期優良住宅等の場合:50万円・5000万円
◆「すまい給付金」も拡大
住宅ローン控除は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税と併せて消費税率引上げによる負担軽減を図るのがすまい給付金です。
このすまい給付金についても、消費税増税に併せて、給付額の上限引き上げと適用となる収入帯の増加が予定されています。
配偶者控除ありのモデルケースの場合、消費税8%の場合は給与収入で425万円以下の場合、30万円の給付が受けられましたが、10%の場合は給与収入が450万円以下の場合は50万円の給付が受けられます。また、10万円の給付を受ける場合で見ると8%時は510万円以下だったのが10%では775万円以下となります。なお、給付を受けられるかどうかは都道府県民税の所得割額で判定されるので、ふるさと納税等で税額を減らしていると、さらに有利な条件で給付が受けられる可能性があります。
◆さらにポイント制度も新設
国土交通省は、「良質な住宅ストックの形成」をめざし、消費税率10%で一定の性能を有する住宅の新築やリフォームに対して、商品等と交換できるポイントを発行する「次世代住宅ポイント制度」も開始予定です。 この制度は「環境」「安全安心」「健康・高齢者」「子育て・働き方」に資する住宅の新築やリフォームが対象となり、上記に資する商品を貰える予定となっていますが、今のところどんな商品が貰えるかは、まだ公表されていないようです。
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