税制改正
2017年12月8日 金曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その7
「居住用財産の買換え等の場合の特例措置の延長」
下記の特例の2年間の延長を要望しています。
・特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の延長
・特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の延長
文化省「美術品・文化財に係る相続税の納税猶予の特例の創設」
(1)目的
高齢化社会が進行するなか、相続を機に美術品等の適切な保存と公開活用が途絶え、次世代へ確実に継承されないことが懸念されています。また、新たな有望成長市場の創出・拡大のためには、我が国で所有されている美術品等の良質な文化ストックを戦略的に活用し、美術館等での公開を促進することを通じて、文化と観光、産業とが一体となった新たな市場創出や地域経済活性化等を図っていくことが極めて効果的としています。
(2)内容
美術館等(博物館法に基づく「登録博物館」又は「博物館相当施設」のうち、美術品の公開及び保管を行うもの)が各館の収蔵品収集方針に照らし、活用が妥当と判断する美術品について、その対象美術品の所有者が安定的な寄託を約し、また、その状態を維持する以下の場合に、相続人の相続税・贈与税の納税猶予を要望しています。
その状態を維持する場合とは、美術品の所有者である個人が、寄託期間中は解約の申し入れができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、当該美術品を相続(遺贈を含む)・贈与により取得した者もその状態を維持する場合や、相続・贈与により美術品を取得した個人が寄託期間中は解約の申し入れができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、かつ、その状態を維持する場合をいいます。
(3)注目点
昨年までの重要文化財等の相続税評価額の引下げの要望に代え、対象を拡大したうえで納税猶予制度の創設を要望しています。未来投資戦略における地域経済活性化等も目的に加えましたが納税猶予であれば実現してほしい制度です。
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|2017年12月4日 月曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その6
国土交通省から土地税制の改正要望
「民法改正に伴う住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の要件の見直し」「都市農地の保全のための制度充実に伴う所要の措置」「居住用財産の買換え等の場合の特例措置の延長」
「民法改正に伴う住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の要件の見直し」
(1)目的
親世代や祖父母世代から子・孫世代等への資産移転を促進することを通じて、若年世代を中心とした住宅取得・改修等を行う者の資金調達を支援することにより、住宅投資の促進とそれによる経済の活性化、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図ります。
(2)内容
住宅取得等資金に係る贈与税の特例措置については、特例の適用対象となる特定受贈者及び被災受贈者の年齢が、「住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において20歳以上」とされているが、今般、民法改正により、現行20歳とされている成年年齢の見直しが検討されていることに伴い、当該見直しが行われる場合には、これらの特例についても年齢要件の見直しを図ります。
(3)注目点
民法の施行に合わせての改正要望です。本制度の見直しの効果は極めて限定的でしょうが、必要な改正と思われます。
「都市農地の保全のための制度充実に伴う所要の措置」
(1)目的
都市農業振興基本法(平成27 年法律第14 号)は、都市農業の安定的な継続とその機能の発揮を通じて良好な都市環境の形成に資することを目的としています。
(2)内容
国及び地方公共団体は、土地利用に関する計画及びこれに基づく措置を踏まえ、都市農業が安定的かつ確実に継続されるよう、都市農業のための利用が継続される土地に関し、必要な税制上の措置を講ずるものとされています。
(3)注目点
都市緑地法等の一部を改正する法律により改正された生産緑地制度や田園住居地域制度の活用を促すため固定資産税や相続税及び贈与税の納税猶予制度等の創設が望まれます。
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|2017年12月1日 金曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その5
「個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設」
(1)目的
小規模事業者の振興に光を当てるため事業の持続的な発展を図ることを目的として、「小規模企業振興基本法」が制定されました。これを踏まえて、小規模事業者の約6割を占める個人事業者の事業承継の円滑化を図る目的で制度の創設が要望されました。これにより雇用の維持、地域経済の活力維持につながることが期待されます。
(2)内容
① 一定の要件を達成していることについて、経済産業大臣の確認を受けた個人事業者が活用していた特定の資産に係る贈与税については、相続時精算課税を適用する。
② 当該贈与から5年間(又は贈与者が死亡するまでのどちらか短い方)、引き続き一定の要件を達成していることについて、経済産業大臣の確認を受け続けた場合には、贈与者が死亡した場合において生じる相続税の計算において、贈与時の課税価格を軽減する。
(3)注目点
個人事業者の事業承継制度は、相続税の増税により困難さが増しておりぜひ実現してほしいものです。事業用資産の範囲、相続税の軽減額が注目されます。
法務省
「相続登記の促進のための登録免許税の特例」
(1)目的
相続登記が未了となっている土地の発生については,その要因の一つとして相続登記に係る費用の負担が指摘されています。この所有者不明土地問題への対応のため,相続登記を促進することを目的として相続登記に係る登録免許税について特例措置を設けます。
(2)内容
措置の内容:次の適用要件に係る所有権に関する登記の申請について,登録免許税を免除する。
適用要件:①相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合に,当該所有権についての相続登記にかかる登録免許税の免除
②課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合に,その登録免許税を免除
(3)注目点
所有者不明土地への対応は,公共事業用地の取得,農地の集約化,森林の適正な管理を始め様々な分野において多くの自治体が直面する喫緊の課題となっており,所有者不明土地の存在が,結果として市町村において事業の中止・中断や対象用地の変更を迫られるな
ど,土地の利活用に至らないこともあるとされています。法定相続情報証明制度の運用開始及び利用範囲の拡大、マイナンバー制度とのリンク、そして相続人の費用負担軽減として登録免許税の減免は必要です。
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|2017年11月27日 月曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その4
経産省は、「中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充」・「個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設」を要望しています。
「中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充」は、「事業承継税制の見直し」と「中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設」の二つの項目があります。
「事業承継税制の見直し」
(1)目的
中小企業経営者の高齢化が進んでおり、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳(平均引退年齢)に達するにも関わらず、半数以上が事業承継の準備を追えていません。現状を放置すると中小企業の廃業の増加により地域経済に深刻な打撃を与える恐れがあり早急な対策が必要とされます。
(2)内容
現状を踏まえ、以下の要件等、あらゆる要件を見直すことを含め、事業承継税制を抜本的に拡充する。
①雇用要件
②納税猶予制度
③対象となる発行済議決権株式総数の上限
④対象者
(3)注目点
納税猶予ではなく、免除も含めた抜本的な見直しが要望されています。未来投資戦略の実現に向けて、事業承継の集中実施期間を設定し大胆な見直しが期待されます。
「中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設」
(1)目的
今後5年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約60万社にのぼります。うち半数以上が後継者未定となっており、現状を放置すると、中小企業等の廃業により多くの雇用が失われ、GDPを押し下げる可能性があり、そのため、早期の事業承継を促していく施策が必要です。
事業承継にあたり、親族以外に事業承継(売却、M&A)し、経営資源の統合や知見を持った経営者等に事業を引き継ぐことで、サプライチェーンや地域経済の活力維持、発展に繋がっているケースも近年増加しつつあります。
また、他企業や親族外経営者等に経営を引き継ぐ場合、ファンドから出資を受けた後に事業承継を行うことも有用な手段となっています。
(2)内容
上記のような場合に生じる以下の税負担を軽減することにより、事業承継の円滑化を図る。
①株式、事業の譲渡益に係る税負担の軽減
②事業譲渡等により生じる資産の移転等に係る税負担の軽減
③一定の要件を満たすファンドからの出資を受けた際の中小企業者要件の緩和
(3)注目点
M&A等親族以外に事業を承継する場合に税負担を軽減する措置を新設する要望です。事業承継の見直しとともに未来投資戦略の一環と位置付けられています。事業承継の要件、納税猶予なのか免除なのか、制度設計全般が注目に値します。
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|2017年11月23日 木曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その3
「山林についての相続税の納税猶予制度の拡充」
(1) 目的
森林経営計画に従った森林の整備及び保護を行う意欲ある森林所有者に対して、林業経営の効率化や継続確保を税制面から支援を行い、もって森林の有する多面的機能の発揮、林産物の供給及び利用に寄与すること
(2) 内容
対象山林の範囲、林業継続の要件、一定事由の場合の利子税の軽減、経営規模拡大要件の見直し・拡充が要望されています。
(3) 注目点
林業経営も厳しさを増す中、地方の活性化、環境面から制度の拡充が望まれます。
厚労省は、「地域機能を確保するための個人開設医療機関への軽減措置の創設」
「介護医療院の創設等に伴う税制上の所要の措置」を要望しています。
「地域に必要な医療を担う医療機関の事業の継続に関する税制の創設」
(1) 目的
過疎地域等の住民に良質かつ適切な医療を安定的に提供する観点から制度の創設が要望されています。
(2) 内容
過疎地域、離島地域等において必要な医療を提供する医療機関(医療法人等)について、一定の期間の事業継続等を要件として、事業の継続に関する相続税、贈与税等に係る納税を猶予し、一定の期間事業を継続した場合には猶予税額を免除する等の措置を講じます。
(3) 注目点
過疎地域は増えており、地域医療の継続が望まれています。制度の創設に賛成です。
「介護医療院の創設等に伴う税制上の所要の措置」
(1)目的
介護保険法改正により、慢性期の医療・介護ニーズに対応するため新たな介護保険施設として、介護医療院を創設します。
(2)内容
介護療養型医療施設が平成29 年度末にその設置期限を迎えるにあたり、その受け入れ先となる介護医療院及び無料又は低額な費用で介護医療院を利用させる事業について、介護療養施設型医療施設と同様の税制上の措置の対象となるよう要望しています。
(3)注目点
介護療養型医療施設から介護医療院への円滑な転換を促すため、必要な措置と思われます。
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