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税制改正

2014年10月17日 金曜日

平成27年度税制改正の行方(資産税編)その3

国土交通省から土地・住宅税制の改正要望
1、特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の延長
(1)目的
企業の設備更新・事業再編の円滑化、産業空洞化の防止や、土地の流動化・有効利用の促進、土地等の資産デフレ脱却、地域の活性化に資するものであり、引き続き措置する必要がある。

(2)内容
 長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した場合において、譲渡した事業用資産の譲渡益について課税の繰延べ(繰延率80%)を認めている現行措置を3年3ヶ月間延長する。

(3)注目点
上記の措置は平成26年12月31日が期限となっている特例のため、延長されるかどうかは第一の注目点です。リーマンショック以降土地取引件数は減少しています。資産デフレの脱却、土地の有効利用の促進や産業の空洞化防止などこの特例は延長すべきと思います。また、期限は例年の12月31日までとせず要望のとおり3年3ヵ月の延長(平成30年3月31日まで)とすべきです。

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2014年10月10日 金曜日

平成27年度税制改正の行方(資産税編)その2

引き続き 内閣府から少子化対策としての要望事項をピックアップします。

「三世代同居・近居に係る税制上の軽減措置(住居の買換え特例等)の創設」
(1)目的
子育て世代の多くが希望する祖父母と同居または近居することによる育児や家事の支援の実現を図り、一方で高齢者の単独世帯や高齢者夫婦のみの世帯の増加への対処を図ることを目的としています。

(2)内容
二世帯が同居又は近居するために住宅の譲渡又は買換えを行った場合、以下の買換え等特例について、適用要件を緩和する。
①住宅用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例要件を緩和する。
現行:所有期間10年超
要望:所有期間5年超
②特定の住宅用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の特例要件を緩和する。
現行:所有期間10年超かつ居住期間10年以上
要望:所有期間5年超かつ居住期間5年以上
③住宅用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の要件(現行:所有期間5年超)を緩和する。
④特定住宅用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の要件(現行:所有期間5年超)を緩和する。

(3)注目点
 譲渡所得の特例要件の緩和だけでは、近居等の促進にはならないでしょう。不動産取得税・登録免許税等の改正、何より相続税の小規模宅地特例に一定の近居を加えることまでやらなければ効果はないと思います。

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2014年10月3日 金曜日

平成27年度税制改正の行方

平成27年度税制改正の要望が、各府省庁から出そろいました。その中で相続・贈与税・譲渡所得(資産税)に関連する項目をピックアップしてみます。

「内閣府から」少子化対策・子育て支援の税制改正の要望
 内閣府からは少子化対策として、「結婚・出産・育児資金の一括贈与制度の創設」、「三世代同居・近居に係る税制上の軽減措置の創設」が、子育て支援として「子育て支援に係る税制上の措置の検討」、「くるみん税制の延長・拡充」が要望事項に掲げられています。
 このうち子育て支援に係る項目は所得税・法人税関係なので今回は少子化対策の二つを取り上げてみます。

1、子・孫の結婚・妊娠・出産・育児を支援するための贈与を目的に設定する信託に係る贈与税の非課税措置の創設(内閣府・金融庁)

(1)目的
  この制度は、少子化の背景の一つにある結婚・妊娠・出産・育児に係る経済的負担を緩和し、あわせて高齢者の資産の世代間移転による経済活性化を目的とするものです。昨年創設された「教育資金一括贈与制度」の結婚・出産費用版といったところで、これらの費用ももともと贈与税は非課税(その都度の贈与に限る)とされていましたが、一括贈与制度の創設を要望したものです。

(2)内容
・信託の機能を活用し、結婚、妊娠、出産、育児に係る払出しを行う信託スキームを使って、子・孫へ贈与を行った場合について、贈与税の課税対象としないこととする。
・少子化対策に資する事業を行う公益法人等へ信託財産の一部を寄附する制度とする場合には、当該寄附相当額につき、贈与税非課税での払出しを可能とする。
・子育てに要する支出を所得税制上の控除の対象にする

(3)注目点
少子化対策としての効果は限られていると思いますが、創設されればインパクトはありそうです。制度設計では非課税金額と信託期間をどうするのか、育児費用の範囲をどう定めるか注目してみていきたいと思います。

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2014年8月15日 金曜日

相続税・贈与税で平成26年より適用される事項 その2

2、 医業継続に係る相続税または贈与税の納税猶予等の新設
(1)概要
  持分の定めのある医療法人については、その持分に相続税が課されたり持分の払い戻し請求を受ける可能性があったりすることなどから医業の承継に問題を生じる恐れが指摘されていました。そこで平成19年医療法人法改正により、医業継続の観点から持分のある医療法人は設立できないこととなりました。また経過措置により継続している医療法人については、持分のない医療法人へ円滑に移行を進める観点から、相続税または贈与税の納税猶予等の制度が創設されました。

(2)相続税の納税猶予
  相続または遺贈により相続人が持分のある医療法人の持分を取得した場合において、その医療法人が申告期限において認定医療法人*である時は、担保の提供を条件としてその持分に係る相続税について認定移行期間の終了時まで納税が猶予されます。
  *認定医療法人とは、平成26年改正医療法の施行日から3年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいいます。

(3)猶予税額・利子税の納付
  移行期間内に持分のない医療法人に移行しなかった場合または認定の取り消し、持分の払戻し等の事由が生じた場合には、猶予税額を納付します。
  この場合相続税の申告期限から機関に係る利子税を合わせて納付しなければなりません。

(4)猶予税額の免除
  納税が猶予された相続人が、認定移行期間の終了時までに持分のすべてを放棄した場合には、その猶予税額は免除されます。

(5)税額の控除
  相続人が、相続または遺贈により認定医療法人の持ち分を取得した場合において、その相続人が相続開始の日から申告期限までにその持分の全部または一部を放棄した時は、前記(2)納税猶予の規定の適用ではなく、その放棄された部分に相当する相続税額を税額から控除します。

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2014年8月8日 金曜日

相続税・贈与税で平成26年より適用される事項 その1

平成26年より適用される相続税・贈与税の改正点について整理しておきます。

1、 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
(1)概要
  平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、一定の期間内にその住宅取得等資金の全額を家屋の新築等の対価に充てて自己の居住の用に供するなどの要件を満たした場合、その住宅取得等資金のうち下記の金額について贈与税が非課税となります。

対象家屋 平成24年中の贈与 平成25年中の贈与 平成26年中の贈与
省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋 1,500万円 1,200万円 1,000万円
上記以外の住宅用家屋 1,000万円 700万円 500万円

(2)平成26年の改正
  直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、耐震基準に適合しない中古住宅で一定のもの(要耐震改修住宅用家屋)を取得した場合において、その取得の日までに耐震改修工事を行うことにつき申請等をし、かつ、贈与の翌年の3月15日までにその工事により耐震基準に適合することにつき証明がなされたときは、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の適用を受けることができることとされました。

(3)適用開始
  平成26年4月1日以降の贈与により取得する住宅取得等資金から適用されます。

(4)その他
  本制度の適用期限は平成26年12月31日となっていますが、来年度の税制改正において延長等の議論がなされる可能性もあり、今後の動向に注意が必要です。

特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例についても同様に改正されています。

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