民法相続編
2015年4月24日 金曜日
民法相続編その9・・・相続分②
民法相続編その9は、相続分の2回目です。
3、 法定相続分(民900条)
④ 父母のいずれか一方が同じ兄弟姉妹の関係
父母の一方だけが同じ兄弟姉妹は、父母の両方が同じ兄弟姉妹の2分の1が法定相続分となります。
⑤ 代襲相続人の相続分(民901条)
代襲相続人の相続分は、被代襲者が受けるはずであった相続分と同じになります。例えば、第1順位で配偶者と子どもが二人で、もともとの相続分は配偶者1/2、子が1/4ずつの場合に、子の一人が先に無くなり孫が代襲者となる場合には、子の相続分の1/4を代襲者が引き継ぐことになります。被代襲者である孫が二人いれば、この相続分1/4を二人で割ることになり、1/8が相続分となります。
*非嫡出子の相続分
従来の民法では、非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1とされていました。これは、 法律上の婚姻関係を尊重しつつ、非嫡出子の保護の調整を図ったものと解されていました。しかし、2013年9月4日最高裁は、大法廷全員一致の決定として、婚外子の相続差別を定めた民法の規定を違憲としました。今回は、法律婚制度は日本に定着してはいるものの、結婚や家族の在り方、それに対する国民の意識が大きく多様化しており、親を選べない子に不利益を与えることは許されないとしました。
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|2015年4月21日 火曜日
民法相続編その8・・・相続分①
民法相続編その8からは、「相続分」について説明していきます。
1、 相続分
複数の相続人が共同で相続する場合は、それぞれが財産をどのような割合で相続するかが問題となります。この割合を相続分といいます。
相続分は第1に被相続人の遺言によって決定されます。これを指定相続分といいます。遺言による指定がない場合には、法が定めた相続分によって相続することになりこれを法定相続分と呼びます。
2、 相続分の指定(民902条)
被相続人は、遺言で相続分を指定することができます。しかし、遺言による相続分の指定も絶対ではありません。遺留分(後述)を侵害することはできませんし、相続人全員の合意によって指定と異なる相続分を決定した場合(遺産分割協議)は、その合意が優先します。
3、 法定相続分(民900条)
遺言による相続分の指定がない場合には、法定相続分によって相続します。法定相続分は、相続人の組み合わせによって変わってきます。
① 第1順位の相続人の場合
配偶者と子供が相続人の場合・・・配偶者が2分の1、子供が残りの2分の1
子供が数人いる場合には、2分の1を子の人数で均等に割ることになります。
② 第2順位の相続人の場合
配偶者と直系尊属が相続人の場合・・・配偶者が3分の2、直系尊属が残り3分の1
親等が同じ直系尊属が数人いる場合には、3分の1をその人数で割ることになります。
③ 第3順位の相続人の場合
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合・・・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が残り4分の1
兄弟姉妹が数人いる場合には、4分の1をその人数で割ることになります。
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|2015年4月17日 金曜日
民法相続編その7・・・相続人⑥
民法相続編その7は、相続人の⑥で、配偶者の相続権について説明します。
4、 配偶者の相続権(民890条)
被相続人の配偶者は常に相続人となります。この場合の配偶者とは、法律上の婚姻関係にある者をいい、内縁関係は含まれません。
配偶者の直系尊属や兄弟姉妹は相続人にはなりません。また、配偶者に代襲相続はありません。配偶者の連れ子が配偶者の代襲相続をすることはないのです。
高齢化社会における実務では、配偶者が高齢である場合が多くあります。相続の手続きで、認知症等によって成年後見人が必要とされるケースも増えています。
判断能力の衰えた高齢者の財産管理という問題は、重要度を増しています。老人を狙った悪質商法の被害者は後を絶ちません。これに対処するには、成年後見制度等民法上の制限能力者制度の利用が考えられます。しかし判断能力が衰える前に自分の意思を反映した対策をとることが望ましいと思われます。
具体的には、
1、相続時精算課税他の生前贈与や法人化を含めた生前の相続対策
2、遺言代用信託の活用
3、遺言の作成
4、任意後見制度の利用
などが考えられます。
単に財産の保全だけでなく相続税等の節税も行うためには、1の「生前の相続対策」 がベストです。ぜひ専門家にご相談ください。
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|2015年4月15日 水曜日
民法相続編その6・・・相続人⑤
民法相続編その6は、相続人の⑤で直系尊属・兄弟姉妹の相続権について取り上げます。
2、 直系尊属の相続権・・・第2順位(民889条)
被相続人の直系尊属は、1の子及び代襲者(第1順位の相続人)がいない場合に相続人となります。実親、養親の区別はありません。
ただし、親等の異なる者の間では近い者を先にします。たとえば父母と祖父母がいる場合には、親等の近い父母のみが相続人となります。
高齢化社会のためか、実務的に第2順位の相続の依頼はほとんどありません。また、実際に相続があっても親が相続人とならないよう、あらかじめ遺言を作成したり相続放棄する方法もあります。本ホームページの事例紹介をご参照ください。
http://www.sugawara-kaikei.com/menu10/
3、 兄弟姉妹の相続権・・・第3順位(民889条)
(1) 兄弟姉妹の相続権
被相続人の兄弟姉妹は、1の子および代襲者(第1順位の相続人)、2の直系尊属(第2順位の相続人)がいない場合に相続人となります。
(2) 代襲相続
相続人である兄弟姉妹が、①相続開始以前に死亡、②相続人の欠格事由に該当、③廃除によって相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります。ただし、第1順位の場合と異なり再代襲することはありません。これはあまりに偶然に相続人となることを防ぐ趣旨です。
第3順位の相続の場合、実務的に相続人の戸籍を入手するのに手間を要するケースが多くあります。親族関係図を作成する場合にも第1順位とは異なり複雑な場合があります。戸籍の入手が困難な場合には専門家にご依頼ください。
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|2015年4月10日 金曜日
民法相続編その5・・・相続人④
民法相続編その5は、相続人④で特別養子制度を説明します。
「特別養子制度」
(1)特別養子縁組
子供にとって真実を知ることが常に幸福とは限りません。子供の利益にとって必要な場合には、一定の要件のもと実親やその親族との関係を一切残さない養子縁組制度ができます。これが特別養子制度です。養親の請求による家庭裁判所の審判が必要です。
下記の条件が定められています。
イ 原則として夫婦共同縁組であること
ロ 養親となる者が成人であり、その一方は25歳以上であること
ハ 養子となる者が6歳未満であること
ニ 原則として父母の同意があること
ホ 6か月以上の期間を養親に養育させたうえで、家庭裁判所が子供の利益のために必要であると認めること
(2)縁組の効果
普通養子縁組に認められる効果は、特別養子にも認められます。したがって、縁組の日から特別養子は養親の嫡出子としての身分を得ます。同時に養親の血族との間に法定血族関係が生まれ、養親の氏を称することになります。特別養子の特有の効果としては、養子と実の父母やその血族との関係が一切終了することがあげられます。また、戸籍実務の上でも実親がわからないよう特別な取り扱いがなされています。
(3)原則として離縁できない
特別養子の場合原則として離縁できません。養親による虐待等の特別な事由がある場合に裁判所の審判によってのみ認められます。
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