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民法相続編

2015年6月26日 金曜日

民法相続編その19・・・遺言②

民法相続編その19は、遺言の②で死因贈与他を取り上げます。

(4) 共同遺言は禁止されている
  遺言には、単独での意思表示の確保が絶対に必要になります。そのため2人以上の者が共同で遺言することは禁止されています。共同遺言は、個人が単独で意思表示をするという点で、また各人が遺言を自由に撤回できないという点で問題になるからです。
しかし、禁止されている共同遺言とは、共同で一つの意思表示をした場合をいいます。ですから、同じ用紙に各人が独立した遺言を書いた場合は、別個の独立した意思表示であり共同遺言の禁止に抵触することはありません。

(5) 遺言は撤回できる
  遺言はいつでも撤回することができます。遺言は遺言者の死亡によって効力を発する制度ですから、遺言者の存命中には効力がなく撤回されても不利益を被る者は存在しないからです。また複数の矛盾する内容の遺言がある場合には、新しい遺言が優先します。

(6)死因贈与
 死亡後に財産を譲与する方法には遺言によらないで、贈与契約によって贈与者の死亡を条件に贈与を行う死因贈与という方法もあります。死因贈与は、通常の贈与と同じく贈与者が贈与の意思表示をし、相手方が受諾することによって効力を生じます。口頭でも贈与契約は成立しますが、死因贈与の場合当事者の一方である被相続人が既に死亡していることになり受贈者のみの挙証では問題がありましょう。贈与契約書の作成が必須と言えます。

 遺言は、一定の様式によることが必要ですが、遺言書に瑕疵がある場合、たとえば自筆証書遺言が法定の要式行為を書いており家庭裁判所の検認で却下されたときは、遺言の執行(土地建物の登記など)ができないこととなります。このような場合でも、その遺言書が実質的に生前における当事者間の死因贈与契約であるとして、死因贈与により財産を取得することが認められる可能性があります。

 死因贈与の対象が不動産の場合には、契約の締結により仮登記ができます。相続人がいない借地権者について地主との間に生前に死因贈与契約を締結し、仮登記をすることにより相続対策となります。

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2015年6月19日 金曜日

民法相続編その18・・・遺言①

民法相続編その18は、遺言の①です。

「遺言」
(1) 遺言とは何か
遺言は、被相続人の自由な意思の表明であり、その人が死亡したときに法的効力を発生します。遺言は本人の真意による最終的意思であるかどうかを確認するため、及び遺言を慎重にさせるために、そして偽造や変造を防止するために一定の様式が要求されています。この方式に違反する遺言は無効となります。

(2) 遺言できる内容
   遺言の内容は法に定められた事項に限られます。その事項とは、
① 認知
② 後見人や後見監督人の指定
③ 遺贈、遺贈減殺方法の指定
④ 寄付行為
⑤ 相続人の廃除および廃除の取消
⑥ 相続分の指定および指定の委託
⑦ 特別受益者の持ち戻し免除
⑧ 遺産分割方法の指定および指定の委託
⑨ 遺産分割の禁止
⑩ 共同相続人間の担保責任の指定
⑪ 遺言執行者の指定および指定の委託
⑫ 信託の設定
です。これ以外の事項について遺言がなされても無効となります。

(3) 遺言作成には意思能力が必要
  遺言は誰にでもでき、行為能力は必要ありません。ただし、物事に対する一応の判断能力(意思能力)は必要とされています。ですから、成年被後見人であっても判断能力を一時回復していれば、2人以上の医師の立ち合いを得て単独で有効な遺言をすることができます。被保佐人・被補助人の場合には、保佐人・補助人の同意なしに有効な遺言が作れます。
未成年者の場合は、満15歳に達していれば単独での遺言が可能です。なお、遺言は意思表示の一種ですから意思能力のない時の遺言は無効になります。また、詐欺や強迫による遺言は取り消すことができます。

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2015年6月9日 火曜日

民法相続編その17・・・相続人不存在の場合②

民法相続編その17は、相続人不存在の場合の②です。

「①の続きから」
  公告期間内に相続人が現れなかった場合や、現れても相続を承認しなかった場合には、相続人の権利はすべて消滅することになります。また、権利を主張しなかった債権者や受遺者の権利も同様に消滅します。すべての清算が終了した後も財産が残っている場合は、原則として国庫に帰属することになりますが、一定の条件を満たす者が家庭裁判所に申し立てると、この者に財産の全部または一部が帰属します。

(3) 特別縁故者への財産分与(民958条の3)
  被相続人に相続人がいなかった場合で、被相続人と生活を共にしていた者、療養看護に努めた者は、特別縁故者として被相続人の財産分与を受けることができます。つまり内縁の配偶者や同居の親族など被相続人と密接な関係にあった者は、相続財産の全部または一部を受けることができるのです。
  この請求は、相続人の捜索の公告の期間の満了後3か月以内に家庭裁判所にする必要があります。

  特別縁故者に分与された財産に対しては、遺贈によって財産を取得したのと同じ課税関係が生じます。分与を受けたのが個人の場合には相続税が課税され、法人の場合には法人税が課税されます。基礎控除等相続税の適用については相続開始時の相続税法が適用されますが、分与の効果は、審判の確定によって生じるため財産の評価は審判確定時の時価によります。特別縁故者は2割加算の対象となり、審判確定の日の翌日から10か月以内が相続税の申告期限となります。

(4) 相続人が判明した場合
相続人捜索期間が終了するまでに相続人が現れた時は、相続財産管理や清算手続きは  直ちに廃止されます。また、相続財産法人は初めから存在しなかったものとみなされます。

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2015年6月5日 金曜日

民法相続編その16・・・相続人不存在の場合①

民法相続編その16は、相続人不存在の場合の①です。

「相続人不存在の場合」
(1) 相続財産の管理(民951条)
相続が発生し、その相続人がいるかどうかわからないときには、民法では相続財産を法人にしています。この法人は利害関係人または検察官が請求し、家庭裁判所により相続財産管理人が選任され公告されます。この場合の利害関係人とは、被相続人の債権者や特定受遺者、徴税のための国などを言います。
相続財産管理人は相続財産の目録を調整したり、相続財産の維持、保存に必要な行為を行います。また相続財産管理人は、被相続人の債権者や特定受遺者の請求があったときは、相続財産の状況を報告する義務があります。それらの費用は相続財産の中から支出されます。

包括受遺者がいない場合、相続財産管理人が準確定申告を行うことになるようです。しかし、債務の弁済のために相続財産を売却した場合譲渡所得の申告義務があるのかどうか疑問が残ります。いずれ国庫に帰属するのだから納税義務はないとも考えられます。

(2) 相続人の捜索手順と期間(民957条,958条)
  相続財産管理人は、選任されてからの2か月間は財産の保持に努め相続人の出現を待ちます。そしてこの期間内に相続人が現れない場合、管理人は被相続人の債権者や特定受遺者に対して2か月を下らない期間を定めて「債権を申し出るように」との公告をします。この期間が満了したら清算が開始され弁済がなされます。

  そしてこの期間が経過してもなお相続人が現れなければ、家庭裁判所は「相続人は名乗りでなさい」との公告をします。この公告は、管理人か検察官の請求によって行い、期間は6か月をくだらない期間となっています。

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