民法相続編
2015年7月24日 金曜日
民法相続編 その23・・・遺言⑥
民法相続編その23は、遺言の⑥で遺言の撤回方法と遺言執行者について取り上げます。
4、遺言の撤回の方法
遺言撤回の方法とは、前の遺言と矛盾する内容のものを新たに作成すればよいのです。この場合撤回という文言を使用する必要はありません。何らかの形で前の遺言の効力を否定する表現をするだけで十分でしょう。
同じく遺言者が前に記した遺言とは矛盾するような行為をした場合も、遺言の矛盾する部分については撤回されたものとみなされます。たとえば、「ある建物をAに残すという遺言をしておきながら、遺言者が生前にその建物を売却した」などはこれに当たります。
遺言者が遺言をいったん撤回した後、次の遺言でこの撤回を再度撤回した場合遺言者の真意が明らかでないので、最初の遺言は復活しないこととされています。
5、遺言執行者と遺言執行
遺言を作成しても、相続が発生した後にその遺言の内容を実現させなければなりません。不動産の相続登記や預貯金の名義書換といった遺言の内容を実行する実務を行う権限を持つ者を遺言執行者といい、遺言で指定することができます。公正証書遺言の場合は、公証人が介在するため遺言執行者を定めないケースはほとんどないと思われますが、自筆証書遺言の場合は、記載がないことがよくあるので注意が必要です。
遺言執行者の指定がなされてなかったり、指定者が遺言執行者への就任を拒絶した場合等は、相続人・受遺者等の請求することにより家庭裁判所が選任します。
遺言執行者には、相続人や受遺者がなることも可能ですが未成年者と破産者は遺言執行者になることができません。また、遺言をめぐって争いが生じた場合、遺言執行者が相続人の間に入る事態も考えられます。相続争いが想定されるような場合には、報酬の問題がありますが専門家を遺言執行者として指定するほうがよいでしょう。遺言執行報酬は、相続財産の中から支払われるので、遺言で定めておくのが望ましいでしょう。
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