民法相続編
2015年7月10日 金曜日
民法相続編その21・・・遺言④
民法相続編その21は、遺言の④で公正証書・秘密証書を取り上げます。
3、 公正証書遺言
公正証書遺言は、公正証書によって遺言を作成する方法です。証人2人以上の立ち合いをつけ、遺言者は遺言の内容を公証人に口述します。公証人はこれを筆記し、のちに遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させます。ついで、遺言者と証人、公証人が署名押印して完成します。
なお、言語機能に障害がある人は手話通訳や筆談による方法が認められます。また、病床にある場合、公証人に出張を依頼することができます。ただし、認知症等で意思能力に問題がある場合には、医師の診断書等が必要です。
この方式の特徴は、遺言の原本が公証人役場に保管され、偽造、破棄、隠匿の恐れがないことです。また、遺言者の意思に基づき向こうの主張の恐れが少ないこともあります。家庭裁判所の検認手続きが不要で、遺言検索システムによる検索が容易であるというメリットもあります。
しかし遺言内容を他人に知られるという欠点があり、公証人への手数料も発生します。
4、 秘密証書遺言
秘密証書遺言の作成方法は、まず遺言者は遺言内容を記載した証書に署名・押印します。次いで、証書を封じ証書に押印した印鑑でこれを封印します。そして公証人1人と証人2人以上の前にこの封書を提出し、自分の遺言書である旨と遺言書が他人によって書かれているときは筆記者の氏名、住所を申述します。公証人は、証書が提出された日付および遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者、証人とともに署名押印し成立となります。
ここでの申述も、手話通訳でできます。遺言内容を記した証書は、他人の筆記でもワープロで作成してもかまいません。
この方式のメリットは、遺言書の内容を秘密にすることができることと公証人の手数料が節約できます。一方で、公証人が遺言の内容を確認することができないため、内容に不備があったり紛争の種になったりする可能性があります。また、家庭裁判所の検認が必要です。
投稿者