税制改正
2016年12月8日 木曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)④
厚労省は「地域に必要な医療を担う医療機関の事業の継続に関する税制の創設」「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等」等を要望しています。
「地域に必要な医療を担う医療機関の事業の継続に関する税制の創設
(1) 目的
過疎地域等の住民に良質かつ適切な医療を安定的に提供する観点から制度の創設が要望されています。
(2) 内容
過疎地域、離島地域等において必要な医療を提供する医療機関(医療法人等)について、一定の期間の事業継続等を要件として、事業の継続に関する相続税、贈与税等に係る納税を猶予し、一定の期間事業を継続した場合には猶予税額を免除する等の措置を講じます。
(3) 注目点
過疎地域は増えており、地域医療の継続が望まれています。制度の創設に賛成です。
農林水産省「山林についての相続税の納税猶予制度の拡充」
(1) 目的
森林経営計画に従った森林の整備及び保護を行う意欲ある森林所有者に対して、林業経営の効率化や継続確保を税制面から支援を行い、もって森林の有する多面的機能の発揮、林産物の供給及び利用に寄与すること
(2) 内容
対象山林の範囲、林業継続の要件、一定事由の場合の利子税の軽減、経営規模拡大要件の見直し・拡充が要望されています。
(3) 注目点
林業経営も厳しさを増す中、地方の活性化、環境面から制度の拡充が望まれます。
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|2016年12月2日 金曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)③
金融庁は「上場株式等の相続税評価の見直し等」「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」を要望しています。
「上場株式等の相続税評価の見直し等」
(1) 目的
上場株式等と他の資産との比較における相続税の負担感の差を解消し、国民が必要な金融サービスを受けられるための環境整備を目的とします。
(2) 内容
1.上場株式等の評価について、相続時から申告期限までの価格変動リスクを
考慮したものとすること。
2.相続時以後、通常想定される価格変動リスクの範囲を超えて価格が著しく
下落した上場株式等については、評価の特例を設けること。
3.上場株式等の物納順位について、第1順位(国債・地方債・不動産・船
舶)の資産と同等となるよう、見直しを行うこと。
(3) 注目点
上場株式は、価格変動が大きく相続後遺産分割までの値下がりについて相続人の責に帰すのは酷です。要望では、相続時の価額の90%相当額を評価額とするよう求めていますが妥当な水準と思われます。一方物納順位では、換金性が高いにもかかわらず国債等・不動産に劣後するのは価格変動リスクを認めているからにほかなりません。どのように整合性をとるか注目されます。
「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」
(1) 目的
死亡保険金が遺族の生活資金としての役割を果たしており、世帯主を亡くした配偶者と未成年の子からなる世帯における生活資金の確保を目的としています。
(2) 内容
死亡保険金の相続税非課税限度額について、「配偶者分×500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500 万円」を加算します。
(3) 注目点
被相続人が比較的若い場合には、それほど資産形成がなされておらず遺族の生活は死亡保険金で賄うケースが多いと考えられます。遺族の状況に応じて非課税額を変化させることには賛成します。
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|2016年11月28日 月曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)②
国土交通省から土地税制の改正要望
1、長期保有土地等に係る事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の延長
(1)目的
企業の設備更新・事業再編の円滑化、産業空洞化の防止や、土地の流動化・有効利用の促進、土地等の資産デフレからの完全な脱却を図り、地方圏の活性化に資するものであり、引き続き措置する必要があります。
(2)内容
長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した場合において、譲渡した事業用資産の譲渡益について課税の繰延べ(繰延率80%等)を認めている現行措置を3年間延長します。
(3)注目点
上記の措置は平成29年3月31日が期限となっています。地価は特に地方圏では依然として下落しています。資産デフレの脱却、土地の有効利用の促進や産業の空洞化防止などこの特例は延長すべきと思います。
2、その他特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の延長
その他同制度の延長が求められています。
文化省「文化財建造物である家屋及びその敷地の相続に係る特例措置の拡充」
(1) 目的
貴重な国民共有の財産である文化財の確実な継承と保存及び活用の充実を図るためです。
(2) 内容
重要文化財は10分の3、登録有形文化財及び伝統的建造物は10分の7を相続税評価額とする特例措置が講じられているところ、重要文化財は10分の1、登録有形文化財及び伝統的建造物は10分の5にそれぞれ優遇措置を拡充します。
(3) 注目点
その文化財の価値によりますが、全額納税猶予にすべきではないでしょうか。国民共有の財産であり続ける限り、相続税の納税を猶予すべきだと思います。
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|2016年11月22日 火曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)①
平成29年度税制改正の要望が、各府省庁から出そろいました。その中で相続・贈与税・譲渡所得(資産税)に関連する項目をピックアップしてみます。
内閣府からの要望
子育て支援として「保育の受け皿の整備等を促進するための税制上の所要の措置」貧困対策として 「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置の拡充」
1、保育の受け皿の整備等を促進するための税制上の所要の措置
(1)目的
保育施設不足を解消するため、相続税の支払い猶予等の税制上の優遇措置を設ける等、民間の土地供給を促進するための措置を講じるためです。
(2)内容
保育所等の敷地として貸与されている土地を相続した場合又は贈与を受けた場合において、その後も当該土地を引き続き一定期間保育所等に貸与することを要件に、相続税・贈与税を非課税とします。
(3)注目点
待機児童の増加への対処は喫緊の課題です。しかし、相続税等の非課税という思い切った措置を設けたとしても、保育所等の整備に当たり近隣住民の反対が起きるといった事例もあり、その効果は疑問です。
「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置の拡充」
(1)目的
子供の貧困対策の一環で民間資金の活用を目的として、篤志家による貧困家庭の子供に対して教育資金の贈与を促し、親族間以外でも世代間の資産移転を推進するためです。
(2)内容
受贈者(貧困の状況にある子供に限る。)の教育資金に充てるために篤志家(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関等に信託等をした場合には、信託受益権の価額等の額のうち受贈者 1 人につき 1,500 万円(学校等以外の者に支払われる金銭については 500 万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、贈与税を非課税とするとともに、その他本制度の利用促進に向けた所要の措置を講じます。
(3)注目点
制度の趣旨には賛成です。対象者の選定および選定方法が問題となりそうです。篤志家を募るための制度の周知方法も注目されます。
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|2016年2月12日 金曜日
平成28年度税制改正大綱 個人課税
個人課税については、配偶者控除等各種控除の抜本的な改正は見送られました。以下、主な改正項目を概観していきます。
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