税制改正
2016年12月2日 金曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)③
金融庁は「上場株式等の相続税評価の見直し等」「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」を要望しています。
「上場株式等の相続税評価の見直し等」
(1) 目的
上場株式等と他の資産との比較における相続税の負担感の差を解消し、国民が必要な金融サービスを受けられるための環境整備を目的とします。
(2) 内容
1.上場株式等の評価について、相続時から申告期限までの価格変動リスクを
考慮したものとすること。
2.相続時以後、通常想定される価格変動リスクの範囲を超えて価格が著しく
下落した上場株式等については、評価の特例を設けること。
3.上場株式等の物納順位について、第1順位(国債・地方債・不動産・船
舶)の資産と同等となるよう、見直しを行うこと。
(3) 注目点
上場株式は、価格変動が大きく相続後遺産分割までの値下がりについて相続人の責に帰すのは酷です。要望では、相続時の価額の90%相当額を評価額とするよう求めていますが妥当な水準と思われます。一方物納順位では、換金性が高いにもかかわらず国債等・不動産に劣後するのは価格変動リスクを認めているからにほかなりません。どのように整合性をとるか注目されます。
「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」
(1) 目的
死亡保険金が遺族の生活資金としての役割を果たしており、世帯主を亡くした配偶者と未成年の子からなる世帯における生活資金の確保を目的としています。
(2) 内容
死亡保険金の相続税非課税限度額について、「配偶者分×500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500 万円」を加算します。
(3) 注目点
被相続人が比較的若い場合には、それほど資産形成がなされておらず遺族の生活は死亡保険金で賄うケースが多いと考えられます。遺族の状況に応じて非課税額を変化させることには賛成します。
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