生前贈与・贈与税
2014年9月19日 金曜日
相続税の節税対策・・・生前贈与の活用
来年からの相続税の増税を控え、節税に関する相談が増えています。相続税を節税するには、多くの方法がありますが、生前贈与を行い、相続税のかかる財産を減らすのがいちばん確実でかつ効果的な相続税対策です。
ただし、生前贈与と言っても多くの制度を理解しその活用方法を検討する必要があります。また、うっかりしやすい落とし穴にも注意が必要です。
「生前贈与による節税チェックリスト」
1 暦年贈与を活用する・・・□
2 相続時精算課税を活用できないか?・・・□
3 扶養義務者(孫等)への生活費・教育費等の贈与は可能か?・・・□
4 贈与税の配偶者控除の活用についてはどうか?・・・□
5 住宅取得資金の贈与の活用についてはどうか?・・・□
6 世代飛び越しの贈与の活用はどうか?・・・□
7 教育資金の一括贈与の活用についてはどうか・・・□
8 相続人以外の者への贈与は可能か?・・・□
9 贈与物件は値上がりの可能性の高いものを設定しているか?・・・□
10 生命保険料の贈与はどうか?・・・□
11 収益物件の生前贈与はできないか?・・・□
12 法人成りによる相続対策は検討したか?・・・□
13 事業承継税制の適用はできないか?・・・□
14 農地の納税猶予は適用できないか?・・・□
15 特別障害者信託財産の活用は・・・□
16 非居住者間の国外財産の贈与は活用できないか?□
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|2014年7月25日 金曜日
増税ばかりではありません。平成27年からの相続税 その6
(3) 親族承継要件の廃止
① 改正の概要
改正前の事業承継税制の適用を受けるには、相続開始直前または贈与の時において先代経営者の親族であることが要件となっていました。そのため、親族内に後継者がいない場合にはこの制度の適用を受けることができませんでした。
改正により親族間承継要件が廃止され、親族外の適任者も納税猶予制度の対象とされました。
② 適用開始
平成27年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与から適用されます。
(4) 雇用確保要件の緩和及び先代経営者の役員退任要件の緩和
① 雇用確保要件の緩和
事業承継税制では、相続または贈与後5年間は事業継続要件を満たさなければ認定が取り消されます。この事業継続要件のうち、5年間は相続または贈与時の雇用の8割以上を確保しなければならないとする要件が緩和され、5年間の平均の従業者数が相続または贈与時の従業者数の8割以上であることとされました。
② 先代経営者の役員退任要件の緩和
改正前は贈与税の納税猶予制度の適用に当たり、先代経営者が株式等の贈与時に役員を退任していることが要件とされていました。しかし、中小企業において代表者の交代に当たり役員を全く退いてしまうのは事業承継税制活用のネックとなっていました。
改正により先代経営者の役員退任要件を緩和し、贈与時に代表者を退任すれば贈与後に一般の役員であってもこの制度が適用されることになりました。
③ 適用開始
平成27年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与から適用されます。
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|2014年7月11日 金曜日
増税ばかりではありません。平成27年からの相続税その5
事業承継税制の大幅緩和
1、 初めに
非上場株式等に係る相続税又は贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)は、要件の厳しさから使い勝手の悪い制度でありなおかつリスクも高く当初の想定より利用が進みませんでした。これを受けて今回の改正において、要件の緩和や手続きの簡素化などの抜本的な見直しがなされています。
個人的な考えでは、それでも要件の厳しさに比してリスクが高く相続税の納税猶予に限って特定の場合に利用できるかどうかというスタンスでいます。
2、 改正の概要
(1) 事前確認制度の廃止
① 概要
先代経営者の存命中に「経済産業大臣の確認」を受けておかなければなりませんでしたが、この事前確認制度が廃止されました。これにより突然先代経営者がなくなった場合にも制度の活用が可能となりました。
② 適用開始
平成25年4月1日以降の相続もしくは遺贈又は贈与から適用されます。
(2) 納税猶予打ち切りの負担の緩和
① 利子税負担を緩和
雇用確保等の要件を満たせず納税猶予が打ち切られた場合において、経済産業大臣の認定の有効期間(5年)経過後に納税猶予額を納付するときは、その5年間の利子税は免除されることとされ、さらに、納税猶予額の納付をする際の利子税の税率が0.9%(特例基準割合が2%の場合)に軽減されます。
また、雇用確保要件を満たせず打ち切られた場合には、延納や物納の選択を可能とする改正もなされています。
② 納税猶予額の再計算の特例の創設
事業の再出発に際し、民事再生・会社更生・中小企業再生支援協議会での事業再生を行う場合には、その再計算後の納税猶予額について、納税猶予を継続する特例が創設されます。これにより、当初の猶予額と再計算後の猶予額との差額は免除されます。
③ 適用開始
平成27年1月1日以後の相続もしくは遺贈又は贈与から適用されます。
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|2014年7月4日 金曜日
増税ばかりではありません。平成27年相続税の改正その4
1、 初めに
相続税の基礎控除の引き上げにより、多くの納税者の負担が増加します。特に都心に土地を持つ納税者に配慮して、小規模宅地等の評価減が見直されました。
2、 概要
(1) 特定居住用宅地等の限度面積の引き上げ
特定居住用宅地等として特例を適用できる限度面積が、330㎡(改正前240㎡)に引き上げられています。
(2) 特定居住用宅地等と特定事業用宅地等との完全併用
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等とを併用して適用する場合には一定の調整計算による制限がありましたが、改正によりそれぞれの限度面積(330㎡・400㎡)一杯まで特例の対象とすることができるようになりました。
(3) 構造上区分されている一棟の二世帯住宅についての特例適用
構造上区分されている一棟の二世帯住宅については、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が特例の対象とされることとなります。
(4) 終身利用権付の老人ホーム入所後の居宅についての特例適用
介護が必要なため入所したものであり、従前の居宅が貸付け等の用途に供されていない場合には、特例の適用とされることとなります。
3、 適用開始
(1)、(2)の改正は平成27年1月1日以後の相続・遺贈から適用されます。(3)、(4)の改正は平成26年1月1日以後の相続から適用されます。
4、 未成年者控除・障害者控除の引き上げ
(1) 概要
未成年者控除と障害者控除の金額について10万円×特定年数に引き上げられました。
(2) 適用開始
平成27年1月1日以後の相続・遺贈から適用されます。
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|2014年6月23日 月曜日
増税ばかりではありません。相続税の改正その3
「教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度の創設」
1、初めに
昨年創設されすでに実施されている大変話題になった制度です。何度かこのブログでも取り上げていますが、おさらいの意味で適用要件とその効果について確認したいと思います。
2、制度の概要
子や孫の教育資金に充てるため、父母又は祖父母が金融機関等に教育資金を一括して拠出した場合には、その資金のうち一人当たり1,500万円までの金額については非課税とする制度が創設されました。
(1) 受贈者・・・契約締結日において30歳未満である者
(2) 贈与者・・・受贈者の直系尊属(父母又は祖父母等)
(3) 拠出方法・・・銀行、信託会社等の金融機関に預入、信託等すること
(4) 非課税限度額・・・受贈者一人当たり1,500万円
(学校等以外に支払われる金額については、500万円)
3、手続き
(1)受贈者の申告義務・・・受贈者は信託党がなされる日までに、教育資金非課税申告書を、金融機関を通じて税務署長に提出しなければなりません。
(2)領収書等の提出・・・払戻をした場合には、受贈者は、教育資金の支払いに充当したことを証する領収書等を金融機関に提出しなければなりません。
4、教育資金管理契約の終了
(1)受贈者が30歳に達した場合・・・拠出額から教育資金支出額を控除した残額は、受贈者が30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税が課されます。
(2)受贈者が死亡した場合・・・拠出額から教育資金支出額を控除した残額は、贈与税が課されません。
5、適用期間
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの拠出について適用されます。
6、制度の効果
もともと扶養義務者相互間の生活費、教育費・医療費等については必要な都度贈与する場合には非課税とされています。相続対策としてはケースバイケースで一括贈与と比較しつつ余剰資金をもって利用するのが良いと思われます。決して老後の生活資金を充てたりしないようご注意ください。
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