生前贈与・贈与税
2016年6月24日 金曜日
国税庁 平成27年分贈与税の申告状況を発表
国税庁 平成27年分贈与税の申告状況を発表
1、贈与税の申告状況
平成27年分の贈与税の申告人員は53万9千人で平成26年と比較して3.7%増加しました。一方、申告納税額は2,402億円であり、平成26年と比較して14,3%減少しました。
贈与税の申告人員の増加は、以下の制度改正が大きく影響しているものと考えられます。
(1)平成27年より相続税の基礎控除の引き下げがあり、相続税の課税対象者が大幅に増えたため節税対策として生前贈与が増加した。
(2)直系親族に対する特例贈与の創設により、贈与税が多少減税された。
(3)相続税の課税強化、消費税の増税を目前に、住宅取得資金の贈与税の非課税措置が平成27年に拡大された。
一方で申告納税額の減少は、平成27年から最高税率が55%に引き上げられることとなったため、前年に駆け込みで大型の生前贈与が増加したものと推測されます。
2、暦年課税及び相続時精算課税別の申告状況
(1)暦年課税
平成27年分の暦年課税適用者は48万9千人で4.1%の増加、申告納税額は2,161億円で16.4%の減少となっています。贈与税全体の申告状況・要因を反映しています。
(2)相続時精算課税
相続時精算課税適用者は4万9千人でほぼ横ばいとなり、申告納税額は241億円で10.2%の増加となっています。
申告納税額が増加したのは、平成27年より孫を対象として加えるなど要件が緩和されたことと、従来と異なり納税をしても節税等に利用しようとする積極的な活用が増えたものと推測しています。
(3)住宅取得資金の非課税
住宅取得資金の非課税適用者は6万6千人で2.1%の増加、住宅取得資金は6,508億円で29.6%、非課税額は6,159億円で42.6%の増加となっています。
いずれも平成27年における非課税金額の大幅拡充の結果と思われます。
3、今後の予測
贈与税全般については、今後も増加すると推測します。相続税対策であれば毎年実行していくものと思います。また、相続税が身近なものと考える方も高齢化とともに増えていくでしょう。ただ、基礎控除や住宅取得資金等非課税枠を使った贈与が増えていくため税額そのものはあまり伸びないか減少も考えられます。
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