民法相続編
2015年5月22日 金曜日
民法相続編その14・・・承認・放棄等①
民法相続編その14は、承認及び放棄を取り上げます。
「相続の承認と放棄」
1、単純承認と放棄等
相続財産の中には、被相続人の借金や保証人としての地位など相続してもありがたくないものも含まれます。資産の方が多ければよいのですが、借金のほうが多い場合や不明の場合には、一定の手続きを取らなければ借金の相続を認めたことになってしまいます。単純承認といいますが、何もしなければ財産および借金すべてを相続します。
民法915条では、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない。」と規定しています。
また、この熟慮期間は利害関係人の請求により3か月伸長することができます。状況により再延長も認められます。
また、熟慮期間の起算日については、通常は被相続人が死亡したことを知った日ですが、相続人が相続財産(債務)の全部または一部の存在を認識したとき等とするのが相当であるとする判例があります。
2、相続の放棄
財産も一切相続しない代わりに債務も一切相続しない方法が、相続の放棄です。相続人は相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述することにより相続を放棄することができます。相続放棄の申述を受けた家庭裁判所は、その申述が本人の意思によるものかどうかを確認したうえで受理の審判をします。
相続の放棄は、限定承認と異なり共同相続人がいる場合でも個々の相続人が単独で行うことができます。相続放棄した者は、初めから相続人でなかったものとされます。したがって相続分の算定に当たっては、相続放棄者は初めから除外することになります。
また、相続放棄は自分への相続が発生した後でなければ行うことができず、相続開始前に申述しようとしても認められません。
借金が多く相続を放棄する場合には、当然ですが法定相続人の全員が放棄する必要があるので注意が必要です。
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