税制改正
2017年5月12日 金曜日
平成29年度税制改正 資産課税編 その1
平成29年度の税制改正が3月31日に公布、4月1日より施行されています。資産課税の主な改正は三つあり「非上場株式等に係る納税猶予制度の緩和」、「相続税及び贈与税の納税義務者の見直し」、「財産評価の適正化」です。大きな制度改正こそありませんが、項目や適用時期が多岐にわたっています。
「非上場株式等に係る納税猶予制度の緩和」
1、趣旨
事業承継の早期かつ計画的な取り組みを促進する必要から、平成29年度の主な改正は、「要件の緩和」と「生前贈与の促進」の2点になります。
2、内容
(1)「要件の緩和」
①「セーフティネット規定の創設」
「セーフティネット規定の創設」とは、災害などで納税猶予制度の要件を満たさなくなっても、引き続き猶予が継続又は免除されることをいいます。具体的には、下記に掲げる場合に、雇用確保要件の緩和などが行われます。
イ、災害による資産の被害が大きい会社、
ロ、従業員の多くが属する事務所が被災した会社、
ハ、災害や主要取引先の倒産などにより売上高が大幅に減少した一定の会社
②「雇用確保要件の見直し」
人手不足に際し特に従業員の少ない小規模事業者に対する配慮を行い、具体的には、従業員5人未満の企業の従業員が1人減った場合に80%を下回っても(4人⇒3人(75%)・3人⇒2人(67%)・2人⇒1人(50%))、雇用要件を満たすものとされました。
(2)「生前贈与の促進」
①「相続時精算課税制度の併用」
納税猶予の取消時の高額な贈与税負担の不安を軽減することをいい、具体的には、贈与税の納税猶予の適用を受ける株式について、相続時精算課税の適用を可能とすることにより、高額の贈与税を負担せず相続税の負担で済むように改められました。
②「切替要件の見直し」
意欲のある中小企業者の事業承継・成長を支援するため、生前贈与後に贈与者が死亡し、相続税の納税猶予に切替する際の適用要件である中小企業者要件・非上場会社要件を撤廃しました。
(3)その他手続き要件の緩和
制度利用に伴う事務負担を軽減するために、資産管理会社要件の報告の簡素化や提出書類の削減が行われました。
3、適用時期
この改正は、平成29年1月1日以後の相続及び贈与から適用されます。
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