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民法親族編

2016年8月5日 金曜日

民法親族編 その6 婚姻④

、民法親族編 その6 婚姻④

1、 婚姻の取り消し
法律上の婚姻が成立するためには、まず当事者に婚姻の意思があることが絶対に必要であり、さらにこれに加えて戸籍係への婚姻の届け出が要求されます。
 結婚の意思がないというケースなどを除くと、いったん婚姻届が提出されてしまうと、たとえ成立要件が欠けていたとしても、婚姻自体は有効となってしまいます。民法はこのような不合理を是正するため、取り消しの規定を設けています。
 婚姻を取り消すことができる原因としては、婚姻適齢に達していない場合、重婚、近親婚、待婚期間内の婚姻、詐欺や強迫による婚姻があります。

2、 無効と取消の違い
 無効な婚姻は、判決や審判がなくても当然無効です。婚姻無効の訴えとは、無効であることを確認するために行われるものです。訴えの相手は、夫婦の一方が提起する場合は配偶者になり、第三者が提起する場合は夫婦に、相手が死亡している場合には検察官となります。
 しかし婚姻の取り消しの場合は、無効のケースとは異なり判決や審判によってのみ決定されます。その効果は、将来に向かってのもので、遡及性は認められません。つまり、過去何年に遡って婚姻が取り消されるということはないわけです。したがって、取消の効果は離婚と同じものになり、扱いも同様です。子の監護や復氏、財産分与、祭祀財産の承継などは、すべて離婚の規定が準用されます。

*重婚、詐欺や強迫による婚姻は、婚姻の取り消しの原因に挙げられていますが、当然に無効とすべきではないのか個人的には疑問が残ります。詐欺の立証は難しいのかもしれませんが、無効と取消の違いを考えると釈然としません。

3、夫婦の氏
 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称します。夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができます。

4、同居、協力及び扶助の義務
 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないこととされています。

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2016年7月29日 金曜日

民法親族編 その5 婚姻③

民法親族編 その5 婚姻③
1、 婚姻の無効
 当事者に婚姻の意思がないのに婚姻届が出されてもその婚姻が無効であることは当然です。そのほかに、人違いなどのとき、当事者が婚姻の届け出をしないときなどは、民法では婚姻は無効とされます。

 人違いとは、相手方についての同一性を誤った場合のことです。相手方の資産や健康、社会的地位について見誤ったことなどは無効の理由になりません。当事者に結婚の意思がないときとは、当事者が一時的な精神異常の状態や、心神喪失の状態で婚姻届を出した場合や、他人に強制されて意思決定の自由を失っていた場合などがあたります。このようなケースでは、当事者に明確な結婚の意思があったとはいえず、その婚姻は無効としています。

*仲人の嘘八百でまとめられた婚姻
 仲人の口車に乗り、うかうか結婚したため痛い目ににあったという話を聞きます。結婚の意思がこの仲人の大げさな説得によって生まれ、もしそんなことがなければ結婚するはずがなかったという場合はどうなるのでしょうか?とにかく結婚の合意があったわけですから、無効とすることはできません。ただし、このことが婚姻を継続できない重大な理由になるというのであれば、離婚の理由となるし、当事者双方が合意さえすれば、協議離婚をすることもできます。

 それでは口車に乗せた仲人の責任追及はできるのでしょうか?結婚詐欺と全くケースはちがっており、この仲人を詐欺だということはできません。仲人が詐欺の片棒を担ぐときは共犯となる場合もありますが、たんに結婚話をまとめるための方便であるのでもちろん詐欺とはなりません。

2、追認
 無効な婚姻でも当事者が追認すると有効な婚姻となるかは議論のあるところです。しかし判例は、内縁関係にある当事者の一方が、相手に無断で婚姻届を提出した事例で、共同生活が維持されていることを前提として、無効な婚姻の追認を認め、「婚姻届の提出をしたときに遡って有効」としました。

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2016年7月22日 金曜日

民法親族編 その4 婚姻

1、未成年者の婚姻
 未成年者が婚姻をする場合は、両親の同意が必要です。父母の一方が同意しない場合や、父母の一方が不明か死亡しているときは、一方の同意だけでも構いません。また同意のない婚姻であっても、届け出が誤って受理された場合には取り消すことはできません。なお、未成年者は婚姻により成年に達したとものとみなされます。
 なお、成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意はひつようありません。

2、婚姻の届出
 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じます。届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければなりません。
また、外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができます。  

3、婚約破棄
 婚約とは、将来、婚姻することを約束する契約のことです。婚姻が本人の意思を重視する以上、婚約を強制的に守らせることはできません。
 婚約が破棄された場合は、婚姻を目的として渡した指輪など金品(いわゆる結納)があれば、これを不当利得として返還を求めることができます。そして、根拠のない一方的な婚約破棄に対しては、慰謝料などを請求できます。

*婚約が破棄された場合、結納の金品については、そもそも婚姻の成立を条件として男性の側から贈与した金品であるので、婚姻が成立しなかった場合には返却しなければなりません。返却しなければ不当利得をしたということで返還義務を負います。

 ところが、婚姻が成立したか否かは、最近の判例では婚姻の届けには限らず実態に即して社会通念によって判断されます。事実上の婚姻関係、すなわち内縁でもよいと考えられています。つまり婚姻届けが提出されていなくとも、事実上の婚姻関係が成立していたと認められれば、婚約破棄にはあたらないわけです。

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2016年7月15日 金曜日

民法親族編その3…婚姻

1、 婚姻
 婚姻は、法律的には男女の間に婚姻の意思があり、戸籍係への届け出がされると成立します。ただし、禁止事項や決まりがいくつかあります。
婚姻も契約の一種です。したがって、男女双方の婚姻の意思が合致することが必要です。当事者に婚姻の意思がない場合には、その婚姻は無効となります。

2、 婚姻適齢.
 男性は18歳、女性は16歳にならなければ婚姻できません。これを婚姻適齢と言います。婚姻年齢に満たない者の婚姻届けが誤って受理された場合には取り消すことができます。ただし、適齢に達した後は本人以外に取り消すことはできません。この本人による取り消し請求は、適齢に達した後3ヵ月以内のみ可能です。

3、 重婚・近親婚の禁止
 配偶者のある者は、重ねて婚姻することはできません。重婚があった場合、後の婚姻は取り消し原因となります。また、前の婚姻関係についても、離婚が認められる原因(離婚原因)になります。

 直系血族や、3親等内の傍系血族の間での婚姻は禁止されています。ここでいう血族には、養親子関係も含まれますが、養子と養方の傍系血族との間の婚姻は禁止されていません。また、直系姻族との婚姻も禁止されています。離婚したり配偶者が死亡して姻族関係が終了した後も、結婚はできません。
 近親婚の禁止に違反した場合には、その婚姻は取り消されます。

4、 待婚期間
 婚姻関係が解消、取り消されたりした場合、女性には待婚期間があります。その解消、取り消しの日から6ヵ月を経過した後でなければ再婚することができませんでした。 これは、こどもの父親が誰かを確定するための制度です。ですから、女性が婚姻の解消、取り消しの前に妊娠していた場合は、出産と同時に待婚期間の規定は適用されなくなります。

*民法改正  女性のみの再婚禁止は法の下の平等に反しないか違憲性が問われる裁判の判決がありました。それを受けて再婚禁止期間は、前婚解消後100日間とされ更に再婚時に懐胎していないことを証明することにより短縮が可能になりました。

 

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2016年7月8日 金曜日

民法親族編・・・その2

3、民法上の親族の範囲
 民法では、親族とは6親等内の血族と、3親等内の姻族のことを言います。そして親族でない者を他人と呼びます。なお、配偶者は血族にも姻族にも含まれず、親等もありませんが、親族には含まれます。 親族に含まれた者は、本人やほかの者の意思によって、親族関係から外れたり外したりすることはできません。したがって、どのような非行があったとしても、旧法時代に存在した「勘当」や「義絶」などは認められません。

4、親族関係の成立
 血族関係は、出生および養子縁組によって発生します。婚姻中の父母の間に生まれた子は、父母の両方とも血縁関係をもちます。しかし法律上の婚姻関係にない父母の間に生まれた子(非嫡出子)は、母との間には血族関係が生じますが、父との関係では、認知がない限り血族関係は生じません。認知があれば非嫡出子として親子関係が発生します。 養子や養親の場合でも血族関係は発生しますが、養子の血族と養親の血族との間には血族関係は生じません。

*養子を実子として届け出た場合  
 養子縁組をした場合戸籍上は養子としての記載が残ります。特別養子縁組制度を利用すれば戸籍には実子と変わりなく記載されますが縁組には一定の要件があります。そのため他人の子を貰い受ける場合に、実子として届け出ることがあるそうです。また、未婚女性が子を産んだ場合にこういう方法をとれば、子は非嫡出子として記載されることなく母親も未婚のままです。それで親子関係が終生うまくいけばいいのですが、仲が悪くなったり相続問題が絡んだりすると破綻を招くケースもありえます。養子の場合(特別養子を除く)は離縁することができますが、実子として届け出をしていると離縁できません。

 このような場合、法律的には虚偽の出生届には効果がないものとされ、前述した親子関係不存在の確認の裁判を行えば、裁判所は両者が他人であると判決を下すことになります。ただし、そのような届け出をした責任は親にあり子に慰謝料等の損害賠償を求められる可能性はあり得ます。

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