税制改正
2017年11月17日 金曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その2
「信託受益権の質的分割に係る所要の措置」
(1)目的
質的に分割された場合の信託受益権の課税関係を明確化することにより、信託の利用促進を図るものです。
(2)内容
受益者等課税信託について、信託の受益者が複数の場合、信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとして課税するとされています。信託受益権が質的に分割されている場合(元本収益構造等)の課税関係について、明確化を要望しています。
(3)注目点
信託受益権が質的に分割された場合に、元本部分と収益権部分を数値で把握することは技術的に極めて困難です。課税時点で一時的に擬制し、その後信託終了時点まで絶えず見直すなど特異な課税方法ができないものでしょうか?
「相続税に係る国際的な課税のあり方の見直し」
(1)目的
相続税に係る国家間の課税権の調整を行うことで、外国高度専門人材が我が国で働きやすい環境を整備します。
(2)内容
相続税に係る国家間の課税権の調整を行うための一定の救済策を講じること。
(3)注目点
国家間の課税権の調整は必要な措置です。平成29年度より同趣旨での継続要望です。
農林水産省は、「新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置」「山林についての相続税の納税猶予制度の拡充」を要望しています。
「新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置」
(1)目的
意欲ある都市農業者等による生産緑地地区内の農地の有効な活用を促進することにより、都市農業の安定的な継続を目的とします。
(2)内容
新たな都市農業振興制度の構築に併せて、生産緑地を貸借した場合でも相続税の納税猶予制度が継続適用される措置を創設します。
(3)注目点
農業従事者が少なく、また、耕作面積の狭い都市農地については、必要な措置だと思います。ただし、賃借権の転貸・転売に歯止めをかける必要があると思われます。また、営農が困難になった場合の取扱いも詳細に定める必要があります。
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