税務調査
2017年9月22日 金曜日
増税後の相続が税務調査のターゲットに
記事提供:エヌピー通信社
国税当局の一斉人事異動からしばらく経ち、当局が本格的に税務調査に取り組む時期になりました。相続税では、基礎控除額が引き下げられた平成27年分の相続が調査対象になります。マンパワー不足を嘆く国税当局が調査数を急増させることは考えにくいのですが、課税対象者は一気に増えており、調査先選定や調査自体の質を高めて「取れるところから取る」という姿勢を強めることは間違いありません。
国税庁が昨年11月にまとめた最新の調査実績報告書には、平成27事務年度(27年7月~28年6月)の相続税調査は「平成25年に発生した相続を中心に実施した」と記されています。この年に限ったことではなく、過去の報告書を見ても、調査は発生から2年以上経過した相続を対象にしていることが分かります。相続税が増税となった平成27年に発生した相続は、29事務年度、つまり今年7月~来年6月に本格的に調査されることになります。
相続税の基礎控除額が引き下げられた影響により、平成27年に相続税の課税対象になった相続は前年から1.8倍に増え、10万3043件となりました。ここ数年の相続税調査数が1万2千件であることを考えると、今年度も同数であれば、納税額がある相続8~9件のうち1件は調査対象になります。財産が少ないからと言って安心はできません。
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|2017年9月1日 金曜日
夏は税務調査の季節(笑)です。
7月初めにお客様への税務調査の事前通知があり、久しぶりに実地調査に立ち会いました。夏の暑い時期に税務調査に立ち会うのは初めての経験です。調査官に雑談で「こんな暑い時期に税務調査の立ち会いなんて時代は変わりましたね。」といったら、「最近は外に出ろ(調査に行けということ)とばかり言われます。」と嘆いていました。
昔は、春と秋が税務調査の最盛期で、メインは年内、秋の税務調査でした。それが、おととしあたりから税務調査の開始時期が早まっています。毎年7月10日が税務職員の異動日でその後に引継等があり、以前は7月終わりくらいから調査先の選定をし、8月のお盆明けころから実地調査が始まりました。現在は、相続税に限りませんが7月に事前通知があり7月中ごろから実地調査が行われています。国税全体で実地調査への早期着手が実施されているようです。今は夏から秋が税務調査の最盛期となりました。台風の時期と重なります(笑)。
調査そのものは短い時間ですみましたが、ある事項について見解が分かれました。話し合っても埒があかないので、こちらの見解を文書にまとめて提出することにしました。通常とは逆で立証責任がこちらにある事由であり、それでもだめなら不服申し立てをする覚悟があるからです。
実は、不服申立て(再調査の請求と審査請求とがある。)はやったことがありません。というのは、税務調査は現在4連勝中で揉めることがないためです。更正による追徴がなければ、残念ながら(笑)不服申立てはできません。今回の事案が「初めての審査請求」になるか、税務調査5連勝の新記録となるか?税務署の判断が楽しみです。だが、その前に見解まとめて文書出さなきゃ・・・泣
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|2017年7月7日 金曜日
国税庁:2015事務年度の相続税の調査事績を公表!
国税庁は、2016年6月までの1年間(2015事務年度)の相続税の調査事績を公表しました。
それによりますと、2013年中に発生した相続を中心に、申告額がありながら無申告と思われるものなど1万1,935件(前事務年度比3.8%減)を実地調査しました。
そのうち81.8%に当たる9,761件(同3.8%減)から3,004億円(同8.8%減)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税80億円を含む583億円(同12.9%減)を追徴課税しました。
実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2,517万円(前事務年度比5.3%減)、追徴税額489万円(同9.5%減)となりました。
また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1,250件(同0.6%減)あり、その重加算税賦課対象額は458億円(同5.9%増)、重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1,250件/申告漏れ等の非違件数9,761件)は12.8%(同0.4ポイント増)となりました。
申告漏れ相続財産の内訳をみてみますと、現金・預貯金等が1,036億円(前事務年度1,158億円)で全体の35.2%を占めて最多となり、続いて土地が410億円(同414億円、構成比12.4%)、有価証券が364億円(同490億円、同13.9%)、家屋が64億円(同54億円、同2.2%)の順となり、その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)が1,071億円(同1,125億円、同36.3%)となりました。
一方、申告・納税義務があるのにもかかわらず申告しない無申告事案については、前事務年度より0.6%少ない863件の実地調査を行い、そのうち655件(前事務年度比0.9%減)から824億円(同6.0%減)の申告漏れ課税価格を把握し、53億円(同26.2%減)を追徴課税しました。
そして、1件当たりの申告漏れ課税価格は9,543万円となり、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2,517万円の約3.8倍にのぼりました。
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|2017年4月28日 金曜日
東京税理士会:2016年度の税務調査アンケート結果を公表!
東京税理士会は2016年度の税務調査アンケート結果(有効回答数1,676会員)を公表しました。
それによりますと、
①事前通知の実施状況
②無予告調査
③調査件数、調査内容及び調査日数
④調査結果、重加算税処分
⑤調査官の態度などを聞いたところ、
対象期間(2015年7月~2016年6月)に2,157件の税務調査があり、このうち「税務代理権限証書を提出しているにもかかわらず納税者のみに通知があった」が117件(5.4%)ありました。
通知がなかった無予告調査件数は93件(4.3%)で、このうち「臨場後速やかに国税通則法の手続きに則り、納税者の理解と協力を得て調査が行われたもの」が82件(88.2%)ありました。
東京税理士会では、無予告調査は納税者の負担が大きいことから、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避けることを求めております。
回答のあった調査件数2,204件の内訳は、法人税(消費税含む)が1,726件、所得税(消費税含む)が268件、相続税(含む贈与税)が146件、消費税(単独調査)が34件、その他国税が30件でした。
調査内容は、「帳簿・証憑」が1,862件(84.5%)で、その他の調査内容については、現金・預金(24.9%)、机・書庫・金庫(9.4%)、パソコン等(9.4%)などの順となりました。
調査日数については、2,204件中、1日で終了したものが446件と20.7%(前年比1.1ポイント増)で、2日が1,069件で49.7%(同0.6ポイント%増)となりました。
調査結果については、回答のあった2,089件のうち、申告是認が530件で25.4%、修正申告が1,496件で71.6%、更正が63件で3.0%。修正申告・更正1,559件のうち、重加算税処分となったものは229件で23.2%でした。
なお、調査官の態度として、良いが43.9%(昨年度42.6%)、悪いが7.7%(同8.5%)、普通が48.4%(同48.9%)という結果になりました。
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|2017年3月31日 金曜日
国税庁:2015事務年度の譲渡所得調査を公表
国税庁は、2015事務年度(2015年7月から2016年6月までの1年間)の譲渡所得調査を公表しました。
それによりますと、2万6,811件の譲渡所得調査を行い、このうち74.4%にあたる1万9,941件から1,548億円の申告漏れを把握しております。
これは、前事務年度に比べて、調査件数は10.6%減、申告漏れ等の非違件数は5.7%減となったものの、申告漏れ所得金額は3.2%増加しました。
申告漏れ割合については、前事務年度に比べて3.9ポイント増加の74.4%でした。
また、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は、578万円(前事務年度は500万円)となりました。
調査の内訳をみてみますと、株式等譲渡所得については、前事務年度に比べて8.2%減の5,839件の調査を実施し、このうち79.7%にあたる4,654件(前事務年度比5.0%減)から総額416億円(前事務年度比26.1%増)の申告漏れ所得金額を把握しております。
また、土地建物等については、同1.3%減の2万972件の調査を実施し、このうち72.9%にあたる1万5,287件(同5.9%減)から総額1,133億円(同3.2%減)の申告漏れ所得金額を把握しております。
事例では、実態の取引金額とは異なる契約書を作成して、譲渡所得の一部を申告していなかったHの例が挙がっております。
Hは、少しでも税金を安くするため、買主と共謀し、実際の取引金額よりも安い金額を記載した契約書を作成するとともに、支払事実のない譲渡費用について、買主の主宰法人に架空の領収書を発行させていたことが判明しました。
その結果、Hには、申告漏れ所得金額約3,000万円に対し、重加算税を含む約600万円の税額が追徴されました。
税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われており、譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われております。
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