生前贈与・贈与税
2014年6月13日 金曜日
増税ばかりではありません。27年以降の相続税・贈与税その2
1、初めに
今回は、相続時精算課税の適用要件の緩和を取り上げます。
従来相続時精算課税制度は、相続税を払わなければならない納税者にとっては、あまり得策ではないと考えられていました。せっかく生前贈与しても相続時に精算し追加で相続税を納めなければならなくなるからです。また、贈与時の時価(相続税評価)で計算し直すこともリスク要因となります。しかし今回の改正でそれらを加味しても相続時精算課税制度を選択するメリットが多くなります。制度創設以来年々適用者が減少していましたが、来年から増加に転じると思われます。
2、相続時精算課税の贈与者の年齢要件引き下げ
生前贈与により財産を取得した場合、一定要件のもと選択により通常の暦年課税方式(非課税年額110万円)に代えて相続時精算課税方式(非課税年額2,500万円)の適用を 受けることができます。この相続時精算課税制度は、贈与時の税負担は少ないのですが、相続発生時に生前贈与した財産を加えて相続税を計算し直す仕組みになっています。
この制度の適用要件のうち贈与者の年齢要件が65歳から60歳に引き下げられました。
3、相続時精算課税適用者の特例の創設
この制度の適用要件のうち受贈者に年齢20歳以上の孫が加えられました。
4、適用時期
平成27年1月1日以後に贈与に係る贈与税から適用されます。
5、改正の影響
今回の改正のキーワードは孫です。「贈与税の緩和」「相続時精算課税の緩和」「教育費の一括贈与」いずれも生前贈与の対象に孫が含まれています。
二つの適用要件の緩和ですが、非常に大きいと考えられます。特に贈与の対象に孫が加えられたのが相続対策に大きな影響を与えるものと考えます。たとえば孫に収益物件(賃貸用不動産など)を贈与し相続時精算課税を選択すれば、贈与時は少額の贈与税で済むうえに、物件から得られる収益は孫に移転する結果となります。贈与から相続開始までの期間が長ければ長いほどメリットは増加します。
今後は暦年贈与に代わり相続時精算課税が相続対策の主役になるかもしれません。
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