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民法親族編

2016年10月21日 金曜日

民法親族編その16親権②

民法親族編その16親権②

3、親権の具体的内容
 親権の具体的内容としては、身上監護に関するものと財産管理に関するものとに分けられます。

 身上監護に関するものとしては、(1)監護・教育、(2)居所の指定、(3)懲戒(4)職業の許可があります。最後の職業の許可とは、特定の営業を許可するだけでなく、他人に雇われることについての許可も含みます。
 財産管理に関するものとは(1)子供が行う取引行為に対する同意、(2)子供に代わって取引行為を行う(3)子供の財産の管理・処分があります。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければなりません。 
     
父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられないこととされています。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りではありません。

 なお、親権者と子の利益が相反する行為を行う場合は、親権者は子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。また、複数の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。

4、親権喪失
 親権者が親権を悪用したり、ひどく品行が悪い場合は、子供の親族または検察官の請求によって、家庭裁判所は親権喪失の宣告を下すことができます。
 また、身上監護については問題がなくとも、不適切な財産管理を行って財産が不当に減少するようなことがあったには、親族または検察官の請求により、家庭裁判所は財産管理権だけを失わせることができます。

5、親権の辞退
 親権とは権利であると同時に義務でもありますから、安易に辞退を認めることはできません。しかし親権者は、長期間の不在などのやむを得ない理由があるときには、家庭裁判所の許可を得て辞退することができます。

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2016年10月14日 金曜日

民法親族編その15…親権①

民法親族編その15…親権①

1、 親権とは
 成年に達しない子は、父母の親権に服します。子が養子であるときは、養親の親権に服します。
父母が未成年の子供に対して持っている、監督・保護・教育し、財産を管理する権限を親権といいます。
 親権とは子供の利益のために認められるものですから、子供の利益の範囲を超える行為は権利の乱用となり、親権喪失の原因となります。

2、 親権者
 子供が未成年で父母が婚姻中の場合は、その父母が共同して親権者となります。父母の一方が長期の不在や、禁治産宣告、親権喪失などによって親権を失ったときは、他の一方が単独に親権を行います。
 父母が離婚した場合は、協議離婚であれば協議で父母の一方を親権者に決定し、裁判離婚であれば裁判で決定します。
 嫡出でない子供の場合は、母が単独で親権者となりますが、父が認知したときは父母の協議、または裁判所の審判で父を親権者とすることもできます。

 ただし、20歳未満の子供でも結婚した場合は、民法上成年者として扱われますから、親権は及ばなくなります。
 養子は、実親でなく養親が親権者となります。養親が死亡した場合でも、実親の親権が復活することはなく後見人が選任されることになります。

 *父母が離婚し一方が親権者となったのち、その親権者が死亡した場合どうなるのでしょうか?親権者の死亡により「未成年者に対して親権を行う者がないとき」に該当するため後見開始の事由に当たります。
離婚した父母のもう一方に親権が復帰するのではありません。親権者の変更については、単独親権者の死亡の場合は、上記後見開始の規定があるのでそのような場合でも親権者変更の手続きがとれるのかどうかは見解の分かれるところですが、最近の裁判例では肯定的です。
  

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2016年10月7日 金曜日

民法親族編その14・・・親子②

民法親族編その14・・・親子② 

1、 認知。
 父または母は非嫡出子を認知することができます。ただし、母は分娩の事実によって母子関係が生じますから認知の必要はありません。

認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって行います。そして認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しません。また、遺言によって認知をすることができます。

ただし、成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができません。

2、 認知の効果
 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生じます。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできません。また、認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができません。一方、子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができます。

3、 認知の訴え
 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができます。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りではありません。

4、 準正
 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子としての身分を取得します。これを婚姻準正と呼びます。
また、婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得します。

5、 子の氏
 嫡出である子は、父母の氏を称します。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称することになります。嫡出でない子は、母の氏を称します。 

 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができます。
 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができます。

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2016年9月30日 金曜日

民法親族編その13・・・親子①

民法親族編その13・・・親子

1、 実子
 親と血縁関係のある子を実子と呼び、養子縁組により親子関係が成立した子を養子と呼びます。
 実子には、嫡出子と非嫡出子があります。嫡出子とは父母の婚姻関係が継続している間に生まれた子を言い、そうでない子は非嫡出子となります。嫡出子は父との親子関係は推定されますが、非嫡出子は、父の認知がない限り父との親子関係は生じません。
 嫡出子は父母の氏を称し、戸籍も父母の戸籍に入り、父母の共同親権に服します。これに対して非嫡出子は、母の親権に服することになります。

2、 嫡出の推定
婚姻中の夫婦で妻が妊娠した場合は、その夫の子供と推定されます。しかし、いつ妊娠したかを証明することは実際には困難です。そこで、婚姻の日から200日後、または婚姻の解消・取り消しの日から300日以内に生まれた子供は婚姻中に妊娠したものと推定されます。この推定により、妻の産んだ子供は、その子供(嫡出子)との推定がされることになります。

3、 嫡出否認の訴え
 いったん嫡出の推定がされると、妻の産んだ子供が、夫の子ではないときでも、嫡出否認の訴えを起こさなければ推定を覆すことはできません。この訴えを起こせるのは原則として夫だけで、相手方は子供または子供の親権を持つ母親になります。親権を持つ母がいない場合には、家庭裁判所が選任した特別代理人が相手方となります。

 嫡出否認の判決が確定すれば、子供は初めから嫡出子でなかったことになります。なお、嫡出否認の訴えは、夫が子供の出生を知ったときから1年以内に提起しなければなりません。

4、 推定を受けない嫡出子
 民法上は、婚姻成立後200日を経ないで生まれた子は、嫡出子にはなりません。しかし、婚姻届けを提出する前から内縁関係に入り、婚姻後200日以内に夫の子供が生まれてくることはよくあります。そのため実際の戸籍実務では、婚姻後200日以内に生まれた子供であっても、すべて嫡出子として受け付けています。判例も同じ取り扱いをしています。

 このような子供は「推定を受けない嫡出子」と呼びます。このケースで、自分の子供ではないとの訴えは「嫡出否認の訴え」ではなく、親子関係不存在確認の訴えをすることになります。

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2016年9月23日 金曜日

民法親族編その12…裁判離婚②

民法親族編その12
1、 離婚原因
 裁判離婚では、離婚原因と認められる理由として、
(1)配偶者に不貞行為があった。
(2)配偶者から悪意で遺棄された。
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでない。
(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない。
(5)その他婚姻が続けられない重大な理由があるとき。
以上の五つを挙げています。
ただし、裁判所は、(1)から(4)までの理由があった場合でも、回復の見込みがあると判断したときは離婚の請求を棄却することもあります。
 
 離婚の原因というのは、さまざまなことが考えられますが、民法上は5つに限定しています。その中で(5)その他婚姻が続けられない重大な理由があるときとは、例えば、暴行・虐待、異常な性生活の強要、重大な疾病ないし身体的欠陥、性格の不一致などが挙げられます。また、性交不能も婚姻を継続しがたい重大な理由になり、慰謝料請求も認められることがあります。

2、 有責配偶者は離婚請求不可
 夫婦の間に離婚原因があったとしても、離婚原因を作った配偶者(有責配偶者)の側からは離婚請求はできません。これを認めると、不貞行為などを行った配偶者の勝手な離婚請求を許すことになるからです。
 ただし裁判所は、夫婦の別居生活が長期に及び、そして夫婦の間には未成熟の子供がいないという場合に限り、有責配偶者からの離婚請求も認められるとしています。しかし、相手方の配偶者が、離婚によって精神的、社会的、経済的に過酷な状況に置かれるおそれのあるときには認められません。

 有責配偶者からの離婚請求として離婚が認められなかった例として、ダブル不倫をしている夫婦の一方が離婚請求した事件で、破たんの責任は後から不倫をした夫側にあり妻の不倫は解決済みの問題であるとして離婚請求が棄却されています。また、嫁と姑の対立が原因離婚が争われた事件で、夫婦対立の主な原因は離婚請求した夫側にあり、妻は反省して夫の元に戻る希望を持っていること等を理由として離婚請求は認められませんでした。

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