2013年3月29日 金曜日
税制をめぐる最近の動き
(1)平成25年度税制改正法案
平成25年度の税制改正にかかる「所得税法等の一部を改正する法律案」が3月1日に閣議決定され、国会に提出されました。
今回の税制改正法案においては、現下の経済情勢等を踏まえ、
・「成長と富の創出の好循環」の実現
・社会保障・税一体改革の着実な実施
・震災からの復興の支援等のための税制上の措置
等を講ずることとしています。
そこで、今回から、平成25年度税制改正の主な項目についてご紹介したいと思います。今回は、「成長と富の創出の好循環」の実現に向けた税制措置です。
イ 生産等設備投資促進税制の創設
国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合にその生産等設備を構成する機械装置の取得価額の30%の特別償却又は3%の税額控除ができる制度を創設します。
ロ 研究開発税制の拡充
総額型の控除上限額を法人税額の20%から30%に引き上げるとともに、特別試験研究費の範囲に一定の共同研究等を追加します。
ハ 所得拡大促進税制の創設及び雇用促進税制の拡充
労働分配(給与等支給)を一定以上増加させた場合、その増加額の10%の税額控除を可能とする所得拡大促進税制を創設するとともに、雇用促進税制を拡充し、税額控除額を増加雇用者数一人当たり20万円から40万円に引き上げます。
ニ 中小法人の交際費課税の特例の拡充
中小法人が支出する交際費のうち800万円以下の金額の全額を損金算入可能とします。
ホ 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
子・孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子・孫ごとに1,500万円までを非課税とする措置を創設します。
上記のほか、環境関連投資促進税制の拡充、商業、サービス業及び農林水産業を営む中小企業等の支援措置の創設等の措置を講ずることとしています。
下記URLから参考資料をご覧いただけます。
・パンフレット「平成25年度税制改正(案)のポイント」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian13.htm
(2)社会保障・税番号制度関連法案について
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(番号法案)及び関係法律の整備等法案が3月1日に閣議決定され、国会に提出されました。
社会保障・税番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤であるとともに、情報化社会のインフラとして、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものです。
税制上の措置としては、現行制度を前提として、納税申告書や法定調書等に「番号」の記載を求める等の措置を講じることとしています。
番号制度の導入によって、法定調書等の名寄せや申告書との突合が、番号を用いて、正確かつ効率的にできるようになり、所得把握の適正化が向上するものと考えております。
下記URLから参考資料をご覧いただけます。
・内閣官房HP「社会保障・税番号制度」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html
(3)消費税法施行令の改正
平成26年4月の消費税率の引上げに伴う住宅購入や雑誌購読などの適用税率に関する経過措置の細目並びに消費税の特定新規設立法人の納税義務の免除の特例について対象となる法人の細目を定めた消費税法施行令の一部を改正する政令を3月13日に公布しました。
下記のURLから参考資料をご覧いただけます。
・消費税法施行令の一部を改正する政令
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2013/seirei/bappon.htm
(4)転嫁対策特別措置法案について
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」が3月22日に閣議決定され、国会に提出されました。
この法案は、平成26年4月及び平成27年10月の消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税の転嫁を阻害する行為を迅速かつ効果的に是正し、また、消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為並びに価格の表示について特別の措置を講じるため、所要の法整備を行うものです。
法案の概要は以下の通りです。
イ 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
買いたたきなどの消費税の転嫁拒否等の行為を取り締まり、これらの行為を迅速かつ効果的に是正・防止するために、特定事業者による、特定供給事業者に対する、消費税の転嫁拒否等の行為を行ってはならないこととされています。
これらの行為に対して、公正取引委員会、中小企業庁長官、主務大臣は、検査、指導等を行っていくこととされています。
ロ 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
事業者は取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示や取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示など、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害するような表示を行ってはならないこととされています。
ハ 価格の表示に関する特別措置
事業者は消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じているときに限り、税込価格を表示することを要しないこととされています。
ただし、税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならないとされています。
ニ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のため、事業者等が行う転嫁カルテル及び表示カルテルについて、消費税導入時と同様の独占禁止法の適用除外制度を設けることとされています。
下記のURLから参考資料をご覧いただけます。
・公正取引委員会HP
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/25index.html
なお、政府における転嫁対策の検討状況につきましては下記URLをご参照ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhizei/
以上 「財務省メルマガ」より
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|2013年3月22日 金曜日
平成25年税制改正大綱 相続税・贈与税編 その4
●教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の創設
これは、直系尊属からの教育資金一括贈与(一定の要件を満たすのものに限る)については、子・孫ごとに1,500万円まで非課税とするものです。この非課税の措置は、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの期間の贈与に限られます。
●その他の改正
二世帯住宅の構造要件の撤廃、老人ホームに入居していても一定の要件を満たす場合には特定居住用宅地等の適用が可能となる改正もなされています。これらは、平成26年1月1日以後の相続から適用されます。
教育資金の一括贈与は今回の改正の目玉ですが、もともと扶養義務者相互間の生活費・教育費・医療費の贈与は非課税とされています。ただし、それらの支払の都度贈与することが前提とされており、今回はまとめて贈与することが可能となったわけです
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|2013年3月21日 木曜日
平成25年税制改正大綱 相続税・贈与税編 その3
●未成年者控除と障害者控除の見直し
未成年者控除(20歳まで)は年6万円から20万円、障害者控除(85歳まで)は年6万円(特別障害者12万円)から10万円(特別障害者20万円)に拡充されています。
●相続時精算課税の適用要件の見直し
贈与者の年齢を60歳(現行65歳以上)に引き下げ、受贈者の範囲に20歳以上の孫(現行 推定相続人のみ)を追加しています。
精算課税の要件見直しは、教育費の一括贈与とならんで孫への生前贈与の促進を意図したものです。
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|2013年3月19日 火曜日
平成25年税制改正大綱 相続税・贈与税編 その2
●小規模宅地等の特例の拡大
特定居住用宅地等については、現行の適用対象面積を240㎡から330㎡に拡大、さらに、特定事業宅地等との完全併用が可能で、適用面積は最大730㎡となっています。
●事業承継税制の見直し
具体的には、雇用確保要件については、現行の「5年間の間、毎年8割以上」から「5年間平均で8割」とする等に緩和され、また、利子税の負担軽減や猶予税額の再計算の特例の創設等の負担軽減、事前確認制度の廃止、手続の簡素化等の見直しがなされています。
小規模宅地の特例については、基礎控除の引き下げにより都心部で自宅をを所有する納税者への配慮と言われていますが、240㎡以上の戸建てを所有する方がどれほどいるか疑問を感じます。事業承継税制もずいぶん見直しがなされましたが、あくまで納税猶予であるなど制度を適用するには厳しい条件が残されたままです。
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|2013年3月18日 月曜日
平成25年税制改正大綱 相続税・贈与税編 その1
オフィシャルサイトのブログと同じ内容ですが、相続税・贈与税の平成25年度改正案をまとめています。
資産課税の見直しも、昨年6月の税制抜本改革法附則第21条を受けての改正内容となっています。それでは、主な改正項目を概観してみたいと思います。
なお、以下の改正は平成27年1月1日以後の相続又は贈与から適用されます。
●相続税の基礎控除及び税率構造の見直し
基礎控除は4割圧縮され、定額控除5,000万円が3,000万円に、法定相続人1人当たり1,000万円が600万円になりました。
また、税率構造は、現行では相続税の課税価額が3億円以下40%、3億円超50%ですが、大綱では2億円以下40%、3億円以下45%、6億円以下50%、そして6億円超の金額は55%となっています。
なお、贈与税についても税率構造が見直されています(税率構造の一部緩和)。
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