2017年11月10日 金曜日
平成30年度税制改正の行方(資産税編)その1
平成30年度税制改正の要望が、各府省庁や関連団体から出そろい、年末の大綱へ向けて与党内での動きも活発化しているようです。その中で相続・贈与税・譲渡所得(資産税)に関連する項目をピックアップしてみます。
金融庁は「上場株式等の相続税評価の見直し等」「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」・「信託受益権の質的分割に係る所要の措置」・「相続税に係る国際的な課税のあり方の見直し」を要望しています。
「上場株式等の相続税評価の見直し等」
(1) 目的
高齢者が老後資金のために蓄えた資産を安心して保有し続けることのできる環境を整備する観点から、相続税に係る見直しを行うこと
(2) 内容
1.上場株式等の評価について、相続時から申告期限までの価格変動リスクを
考慮したものとすること。
2.相続時以後、通常想定される価格変動リスクの範囲を超えて価格が著しく
下落した上場株式等については、評価の特例を設けること。
(3) 注目点
上場株式は、価格変動が大きく相続後遺産分割までの値下がりについて相続人の責に帰すのは酷です。要望では、相続時の価額の90%相当額を評価額とするよう求めていますが妥当な水準と思われます。平成28年からの継続要望です。
「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」
(1) 目的
生命保険については、「遺族保障」として年間約3兆円の死亡保険金が支払われ、公的保障を補完していますが、国民が加入している死亡保険金額は、望ましいと考える死亡保険金額に比べておよそ6割程度となっています。死亡保険金は遺族の生活資金としての役割を果たしており、世帯主を亡くした配偶者と未成年の子からなる世帯における生活資金の確保を目的としています。
(2) 内容
死亡保険金の相続税非課税限度額について、「配偶者分×500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500 万円」を加算します。
(3) 注目点
被相続人が比較的若い場合には、それほど資産形成がなされておらず遺族の生活は死亡保険金で賄うケースが多いと考えられます。遺族の状況に応じて非課税額を変化させることには賛成します。平成3年度からの継続要望です。
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|2017年11月7日 火曜日
財産評価Q&A68 山林⑤(保安林)
財産評価 山林(保安林)
Q84
不動産登記簿上の地目が保安林と記載された山林の評価はどのようにすればいいのでしょうか?
A84
保安林とは、水源のかん養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公共目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林で、土砂流出防備保安林、防風保安林等それぞれの目的にあわせて森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の開発等が制限されます。
1、 保安林の評価方法
森林法その他の法令の規定に基づき、土地の利用又は立木の伐採について制限を受けている保安林等の価額は、制限がない場合の山林の価額から、その価額に山林の上に存する立木について加えられる制限の程度に応じて定められた控除割合を乗じて得た金額を控除して評価します。
なお、法令による地区の指定が重複することにより、伐採制限が重複する場合がありますが、この場合には、最も厳しい伐採制限に基づく控除割合によって評価します。
地方税法の規定により、保安林は固定資産税が非課税とされていますので、固定資産税評価額が付されていません。倍率方式により相続税の評価額を算出する場合には、その保安林が非課税でないとした場合に付される固定資産税評価額に倍率を適用して、保安林の制限がない場合の価額を評価します。
2、自然公園内にある山林(林地)の評価
自然公園には、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の3 種があります。国立公園又は国定公園の風致を維持するため、環境大臣が特別地域を指定しますが、特別地域は、第1 種特別地域、第2 種特別地域、第3 種特別地域に区分されるもののほか、地種区分の未決定地域があり、都道府県立自然公園もこれに準じます。
自然公園法による伐採制限がある山林は、「保安林の評価」に準じ、制限がない場合の山林の価額から、その価額に山林の上に存する立木について加えられる制限の程度に応じて定められた控除割合を乗じて得た金額を控除して評価します。
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